第八十七話 神様、ホント…… 困ってます
陛下の視察の終わり平常運転かと思いきや、カレット殿下の登場に辟易……
「プラムさん……どうしようか??」
「カレット、ココには私も居ますからお前は城に帰りなさい!」
「えぇ~嫌だよ。陛下の許しも貰ってきたし」
「でも、殿下にいろいろさせるわけにはいかないし……」
「プラム兄さんだってやってるよね」
「私は冒険者ギルドの職員として来てるので良いのです」
「とにかく、お帰りください。店主としてはっきりお断わりします」
「王命でも?」
「はい。王命でもです。お客も委縮して来なくなるし……」
もうかれこれ一時間以上も同じやり取りをしている気が……
「店長。そろそろ自販機のセットに行かなくていいんですか?」
「えっ、もうそんな時間??」
「そうですよ」
「リーザさん……自販機のセットお願いしても良いですか?」
『おい。我らの飯はどうした。あれだけ協力したんだ。美味いのを食わせろ』
『昨日のデザートは美味かったぞ。今日も頼む』
『それ良いな。おいらも食いたいな~』
『あるじ~ ジャルラも~~』
あぁ~ジャルラ……今日も食べさてあげるよ……
オレは約束した手前、昨日の夜ごはんの後、デザートにホールケーキをネットで買って出した。
それを腹ペコ軍団は気に入って追加を迫られたが、なんとか誤魔化して押し切った事が今のおねだりとなっていた。
「ケンモさん。自販機の補充終わったわよ。ご褒美に私もホールケーキ食べたいわ」
「店長。ホールケーキって何ですか……」
「セリナ知らないの? 昨日の夜に従魔様達にご馳走したのよ」
「店長。私も食べたい」
「二人は仕事だから、いちいち強請らない」
「食べのもは別よ。特に甘味は女子の必須アイテムよ」
「女子って……」
ビシバシビシバシ。何でこうなるの……
「ケンモさん。僕の事忘れてない?」
いや、忘れてた! ってか、まだ居たのって感じなんだけど……
「でさぁ~ 僕の部屋はどこ??」
「……取り敢えず、プラムさんと同室で……」
「それは私がお断りします。カレットは城に帰りなさい!」
もしかして、また振り出しに戻るの?? ホント勘弁して…… お願いだから殿下には帰って欲しい。
そうだ。ここは現実逃避で夜の仕込みをしよう。
「セリナさん。夜の仕込みをするので手伝ってください。他の方はいつものようにお願いします」
「僕は何をすればいいですか」
「お願いだからお城に帰ってください……」
「えぇ~~~~~~~~~~~」
お付きの護衛の人……ほんと仕事の邪魔。お願いだから連れて帰って。
「分かりました」
「ラトスさん……」
「今日の所はお連れして帰ります。国の後押しの仕方は改めて陛下と相談しまして……」
「それも要らないから。何もしないで。そっと見てるだけにして。陛下にもそう伝えて」
「分かりました。陛下にはそうお伝えいたします。ではカレット殿下。いったんお城に戻りますよ」
「嫌だよ~~~~」
「……殿下をお連れしろ」
「ココに居る~~~~~」
(ほほほ……楽しかったぞい)
何処が……
(お主の困り顔がじゃよ)
ほぉ~~~ ジジィも楽しい顔にしてやろうか?
(それは要らぬお世話なのじゃ)
人の不幸を喜んでんじゃねぇよ!
(お主が言うか!)
はぁ?
(わしの不幸を喜んどるじゃろが……)
楽しんでねぇよ。仕向けてんだから……
(よけ悪いわ!)