第八十三話 神様、誰も止められません。陛下 VS ポチとかチャン
今回は、ほぼ会話に終始しています。
特設休息場は重い空気が充満しています。
「国王陛下に申し上げます。しばし、こちらにてご休息を頂いたのち、ダンジョンにご案内をさせて頂きます」
「此度は世話になる。ところで、ハモンとよろず屋店主は何処におる」
「ハモン殿下とよろず屋店主は、ダンジョンの入口にて待機しております」
「そうか。ではここに呼ぶように」
「ハモンです。今はプラムを名乗っております。お呼びにより参上いたしました」
「よろず屋店主でオオサキケンモと申します。お呼びと伺い参りました」
「うむ。その方が店主か。して、従魔はいかがいたした」
「はい。この場にお連れするのは控える様にと言われておりましたので表に控えさせております」
「誰がそのような指示をだした」
「調べて参ります」
「店主殿よ。申し訳ない事を致した。従魔達を連れてきは貰えぬか」
「かしこまりました。では、いったん下がらせて頂きます」
表に出れたのは良いけど、ホント疲れる…… もう帰りたくなってきたよ。でも、ポチ達を連れて戻らなきゃいけなんだよな……気が重い。
『おい、いつまで我らを待たせる』
「みんな中に入って来て」
『えぇ~ さっきは入るなって言われたよ~』
「悪かった、良いから付いてきて。お願だから」
「陛下。従魔達を連れて参りました」
「この獣達がお主の従魔か」
『おい、そこなる人間。我等をそこいらの獣と一緒にするではない!』
「この獣は人間の言葉もしゃべるのか」
『わしもしゃべれるぞ』
「いまのは、そのトカゲか」
『わしはトカゲではない。訳あって小さくなっておるがのう』
「店主、ケンモと言うたな。その従魔を余に献上せよ」
「父上、いえ、陛下。それはいけません。そのような事をしたら国が滅びます」
「ハモンよ。国が滅ぶとは物騒なことをいうな」
「はい。こちらの方々はケンモ殿の命で小さくなっておりますが、元を正せば、イーカン神の神使でフェンリル様。それに古代龍様です。それと、この地の守護獣でダイヤモンドタイガー様、あと、次期スライム族長様です。例え陛下でも素直には従いますまい」
『そこなる人間の長よ。我は親愛なる神・イーカン様の神使。フェンリルのポーチンである。例え人間の長だとて、我に無礼を働くとただでは済まさんぞ』
『わしも人間の長などに使える気はないわ。力ずくでと言うならそれ相応の対応はいたすぞ』
『おいらも、変異魔獣が出たら行くよ~言っておいたけど。出たの?』
『あるじを困らせたら、ジャルラがやっつけるよ』
「お主の従魔は余に従わぬと言うておる。それは余に反旗を振るうと言う事か!」
「陛下」
「ハモンは黙っておれ、余はよろず屋店主のケンモに聞いておる」
『我の主は我が選ぶ。我が主に危害を加える物は神を害することと同じと思え』
「恐れながら陛下。ただいまイーカン神の勅命を遂行中です。私の従魔達を差し出すことは出来ません」
「その方は余の命に従えぬのか!」
「お言葉ながら、陛下はダンジョンのご視察に来られたのか、私の従魔を攫いに来たのかどちらでございますか」
「父上、従魔の件は手を引かれてください」
『人間の長よ。こ奴が言うた通り、イーカン様の勅命を邪魔する者は例外なく排除する』
「出来る物ならやってみるが良い。ラトス。城に帰るぞ。兵の準備だ!」
「陛下。お気を鎮めてください。この従魔達が本気になれば我が国の兵では太刀打ち出来ません」
「お前まで……」
『ダンジョンに入らぬなら我らが居る必要ないな。帰るぞケンモよ』
『それがよかろうな。人間の長よ。少し頭を冷やすが良いぞ』
『ケンモたんには誰も触れさせないよ』
『あるじ~ あるじ~ ちゃんと守るからね』
「父上、ご冷静な判断を」
(ホホホ……良い感じで揉めておるのう)
笑い事じゃないでよ
(そろそろわしが仲介に出るころじゃろうが)
仲介にって、何企んでの
(人間の長とポーチンが揉めとるじゃろ……そこにわしが行ってな……)
余計なことはするなよ……
(まぁ~ わしに任せて置けば良いのじゃ~)
嫌な予感しかしないな……