第八十一話 神様、厄介ごとばかりで困ります
このところ姿を見せなかったカレット王子がとんでもない話を持ってきました。
「プラム兄さ~~ん 遊びに来ました~」
「カレット! また抜け出したのか!!」
「今日はちゃんと許可取ってきたよ」
「ホントだろうな!」
「本当だよ。今日は陛下の勅旨を持って来たんだよ」
あぁ~なんか嫌な予感しかしないけど、勅旨と言われるときかないわけには行かないよな……
「陛下の勅旨? 誰に宛てたものだ」
「兄さんとケンモさんだよ」
「へっ? 俺も??」
「どちらかと言うとケンモさんがメインかな?」
「聞きたくないような……」
「では読むね。勅旨。本日より三日後、ダンジョンの視察を我メルテナ八世が直々に行う。故にハモン第一王子、よろず屋店主オオサキケンモの両名に同行を命じる」
はぁ~~~~~ なんでオレまで同行しなきゃいけないの!まさか・・・
「そのまさかです。先日会いたければ自身が出向けと神使様が申されましたので、陛下が直接出向かれることになりました」
わっ! ラトスさん。どこに隠れてたの……
「いや……なりましたって、陛下も忙しいでしょうが……」
「はい。今回は視察ということで公務としてお越しになります」
「無理に来なくても……」
「ケンモさん。冒険者ギルドから呼び出しがきました」
「勘弁してくれよ~~」
「では、私共はこれにて失礼致します」
「俺はまだ居るから先に戻ってていいよ~」
「なりません。殿下にもお戻り頂きます」
「えぇ~久しぶりに来たんだからまだ良いよね」
「殿下をお連れしろ!」
「離せ~~~~~~」
またもやお連れの人に連れていかれた……もうお約束になってるな。
「ケンモさん。冒険者ギルドから呼び出しを忘れていませんか」
「そうだった。プラムさんも一緒に行ってください」
「分かりました。私も同行を命じられていますからね」
冒険者ギルドに着くなりテトロンさんに連行された。
「どういう事だね。今王宮からの使者が来て陛下直々にダンジョンを視察されるから警備を出せと言って来たぞ」
「オレに聞かれても知らねぇ~よ……」
「私も初耳でした」
「じゃ~なぜお前たち二人が同行するんだよ」
「だから知らねぇ~よ」
「私も聞きたいぐらいです」
「とにかくだな、警備もなにも……お前の店から出発だ。良いな!」
「嫌ですよ」
「じゃ~陛下に1階層から入らせて魔物と遭遇させるのか!」
「オレの店の視察じゃなく、ダンジョンの視察なんだから入り口から入るのが当然だろ」
「私も同感です。魔物退治の戦闘要員を必要と感じて要請をされたんだと思いますね」
「……じゃ~ お前の従魔も同行させろ。それくらいは出来るだろ!」
「本人たちに聞いてみないと返事は出来ません。どうしてもと言うなら、高級な美味しい肉を用意してくれたらそれで説得はしてみます」
「足元をみおって……」
従魔を同行させる交渉材料にブラックドラゴンの肉を大量に貰ってきたけど、これで説得が出来るかどうか……気が重い。
「ということで、ポーチンもミタマもジャルラもシトリンも。みんな一緒に行ってください。お願いします」
『本当にお主は都合のいい時だけポーチン呼びだな』
『ワシは初めて名前を呼ばれた気がするわい』
『ミタマもだよ~~』
『あるじ~ あるじ~ ジャルラあるじ守るために行くよ~』
「ジャルラ~~~~」思わず抱きしめてしまった。
(ホホホ……ケンモよ)
カレーは無いよ
(美味いが、さすがに3日連続はなぁ……)
じゃ~何しに来たの?
(何しにって……わしのコーナーじゃから……)
リーザさん呼ぼうか?
(いや……あの女子は恐いからのう……)
「誰が怖いって??」
(あっ…いや……誰って…… ケンモ。何故呼んだんじゃ)
呼んでないぞ
「で、誰が怖いのかしら???」
(…………さらばなのじゃ~~)