第七十九話 神様、オアシスエリアの弊害が出ていました
タマの一撃で17階層のボスは焼け落ち、戦利品の回収していた時にふと思った……
16階層でも17階層でも他の冒険者を見ていなかったからだ。
「なぁ~。上級者ゾーンに入ってから他の冒険者って見たか?」
「……そう言えば見ていませんね」
「僕も見てないよ」
「私も……」
「もしかして、15階階から降りてこないとか……?」
「それは考えられますね」
「あそこはお宝の宝庫。素材集めで時間も忘れるよ」
「そうです。鉱石もいっぱい。掘り放題ですよ」
これは実態調査をして、お宝の質か量を落とす必要があるな……
そんな事を考えながら18階層に進んだ。それはココには二度と来たくないからだ。
18階層ではプラムさんが手にした魔剣で大暴れ。ジャルラも楽しそうに魔物を退治していた。
「さすが魔剣です。切れ味も良いですし、あれだけ使っても刃こぼれ一つしていませんよ」
『あるじ~ ジャルラもいっぱいシュッってしたよ』
「ジャルは強いな~」
『ほんと!ジャルラ強い~ あるじ守るよ~』
やっぱりジャルは可愛いと思いながら、セーフエリアに魔方陣を刻んだあと地上に戻ってきた。
16階層に設置した自販機の売上データを見たら、わずかに有った売り上げがオアシスエリア誕生以降、まったく売れていなかった。
「ケンモさん。一度15階も見に行ってみたらどうですか」
「そうだね。行って見てくるよ」
15階店の横から出て一回りしてみたが、見かけたパーティーは10組程しか居なかった。
まさか……ジジィの13・14階層を難しくしようと言ってたのを思い出し、近くに居たパーティーの人に聞いてみた。
「すいません。よろず屋の店主だけど、ここ解放された割には来ている冒険者が少なくないですか?」
「よろず屋って、ダンジョンの売店の人?」
「はい。そうです」
「確かに少ないってか、13階と14階がキツくて、あれクリアできるのは上級に近いパーティーじゃないと無理だよ。それに、噂を聞いて早めに武器の手入れをしてるみたいだけど、それでもギリギリって感じでオレたちもここまで来たからな」
「そんなに難しくなってるの?」
「俺たちも13.14でポーション買ってたから乗り切れたようなもんだぜ」
「あれは危なかったな~。もし買い忘れてたら撤退を余儀なくされてたかもな」
「おう、ココに魔物が居なくて助かったよ」
「そうそう。後からポーションも追加購入させてもらうぜ」
「それはどうも。ありがとうございます」
「でもよ~ 地上よりポーションが安いからさ、迷わずに使えるからホント助かってるぜ」
「お役に立ててよかったです」
だけど、言われてみればその階は毎日完売状態だった気が……
「話を聞かせてくれてありがとう」
「そうだ、13階で魔石の魔力チャージが出来たらって声が挙がってるぞ」
「えっ、そうなの?」
「おう。それだけ大変なんだよ」
「貴重な情報ありがとう」
「じゃ~な」
「ありがとう」
そうか……だから武器の強化が増えてたんだな。でも魔力チャージか……
13階にでも臨時店を出すか…… みんなと相談しよう。
地上に戻り相談をしたら、13階に臨時店を出すことにし、ポーションも12階層より深部の自販機はユウゴ君作だけを売ることになった。
「ちょっとケンモさん。ここ数話私たちの影が薄いんですけど」
「店長……私もカレー食べたかった……」
「セリナ、カレーどころじゃないわよ!」
「出番より、カレーが大事だわ」
(あの~これはワシのコーナーなんじゃが……)
「五月蠅いわね! 誰が決めたのよ!! ケンモさんが決めたの? それとも貴方?」
(貴方って……一応…神なんじゃがのう……)
「あら、ケンモさんにジジィって呼ばれてるじゃない」
(それはそうじゃが……)
「貴方よりジジィの方が良いわけね!」
(そうは言うてはおらんのじゃ……)
「じゃ~ 何が言いたい訳??」
(ケンモ……この女子怖いのじゃ……)
巻き込むな。オレは知らん! 知らんぞ!!