第七十七話 神様。再び16階層へ行ってきます
今日は定休日。ポチの希望を受けて16階層から先に潜ることにした。
『出だしのボス戦は我がするぞ。前回出来ぬままに終わったからな』
『おいらはその次だよ~』
『わかっておるわい、だれも邪魔はせんから安心せい』
『ジャルラもシュッシュッしたいのに……』
『ちゃんとジャル坊の出番もあるから待っておるのだ』
『ほんと?……ジャルラ、我慢する……』
『ジャル坊はえらいのう』
「じゃ~行くよ」
早々に16階層のセーフエリアに出てきた。メンバーはプラムさんにユウゴ君にリョウ君。前回と一緒だ。ポタンさんはダンジョンでの買取り品を商業・冒険者の両ギルドに売りに行ってくれた。
『フフフ…… 小賢しい輩よ。待っておるのだ~!』
ミョ~に気合の入っているポチ。ボス部屋を開け、中に入ると余りの瞬殺にオレは何が居たのかさえ分からなかった。
『ポチよ。張り切り過ぎじゃな』
『ポーチン様……スゴイです。ジャルラ、尊敬です』
『おいらは次のボス戦に備えるよ~』
「本当に私の出番が無いですね、さすがポチ殿」
『お主までポチと呼ぶか!』
『良いではないか。仲間なんじゃからのう』
「あぁ~ここに扉が有りますよ」
「こちらにも扉が……」
ユウゴ君とリョウ君が隠し扉を見つけた。
「油断しないように。まずは罠とか仕掛けがないか調べてみましょう」
『大丈夫だ。罠も仕掛けもないぞ』ポチが鑑定で調べてくれた。
「では開けますね」
「あぁ~~これはミスリル鉱石の山です!全部持ち帰りましょう!!」
リョウ君が興奮して鉱石の山を撫で回している。
「宝箱もありますよ」
「開けますか?」
「仕掛けが無いか確認してからです」
「ケンモさん。早く見てくださいよ」
調べても何もなかったことから宝箱を開けた。そこには金貨や宝石の他に何かの器材がはいっていた。
「これは何ですかね?」
「オレも分からないし……」
「ちょっと見せてください。……これは遠心分離機です!」
「遠心分離機? 何に使うの?」
「薬草から抽出した成分をこれに掛けると、必要な成分と不要な成分に分ける事ができる器械です」
「それって……」
「はい。故郷で使われているのと同じですね」
「なんでそんなのが有るの?」
「……さすがダンジョンってことにしておきましょう」
「……そうだね。それはユウゴ君が使うと良いよ」
「ありがとうございます」
『おい、次の部屋に行くぞ。そしたら17階だ』
『ポチはせっかちだねぇ~』
もうひとつの部屋も罠などの仕掛けは無かった。そちらには金の延べ板や魔剣などがあった。
「これは素晴らしい魔剣ですね。私が持ってもしっくりきます。振り具合も抜群です」
「じゃ~プラムさんが使って」
「良いのですか??」
「オレには使えないし、この軍団にも不要だからな」
「確かに。では遠慮なく使わせてもらいます」
「みんなにもこれをボーナスで分けるか……無理を聞いてもらってるし」
「喜びますよ」
『もう良いなら次に進むぞ』
『ねぇ~ ねぇ~ ボスじゃなかったら、ジャルラもシュッってして良い?』
『おうおう。思い切りしてよいぞ』
『ワ~イ あるじ~ あるじ~ 早く行こう~』
そしてオレたちは17階層にやってきた。
こっ…これは…… 悪夢の再来か…… 足元には黒い物体が蠢いていた。
「ゴ○層だ~~~~~~」思わず叫んでいた。
ジジィ! ジジィ! 出てきやがれ~~!!
(ほぉ~ お主が呼ぶとは珍しいな)
ジジィ……また○キ層なんか作りやがって!!
(ホホホッ…… 上級者向けじゃからのう、苦手意識に反応しとるんじゃろ)
しとるんじゃろじゃねぇ~よ! 消せ。今すぐ消せ!!
(そりゃ無理じゃな)
何でだよ……
(仕返しだからじゃ~~~~)
…………
『ポーチン様、仕返しは我らが居ない時にしてほしいのだ』
(どうしてじゃ?)
『またアレを使われたら我らにも被害が出る』
そうだった! オレには……オレにはアレが有ったんだ!! 〔32話参照〕
『よいか、使うでないぞ』
『おいら、まだ死にたくないよ~』
フフフ……
『絶対に使うでないぞ~~!』