第七十二話 神様、お食事処の開店です
告知期間も終わり、いよいよ新生よろず屋のオープン。その前に最終確認だ。
厨房は今まで通り。肉は従魔軍団が狩りで取って来てくれるし、野菜は畑で取れるし強化もした。買うのは魚介系とお酒などの飲み物に調味料。これはネットショッピングで調達と決まっている。
対応の流れとしてはレジで色分けした料理札と飲み物札を購入してもらい、その札の色と同じ色のエリアにある料理や飲み物とを交換する事になっている。面倒に見えるがお金の管理が一か所で済むのでこちらとしては都合が良い。
「これより配置を発表します。惣菜カウンターはセリナさん。お酒・飲み物カウンターにプラムさん。会計レジはポタンさんでお願いします。フロアはユウゴ君。ダンジョン10階はリョウ君でお願いします」
「ケンモさん私は??」
「リーザさんは、食器洗いをお願いします」
「えぇ~~手が荒れちゃうわよ~」
「では、私が洗い場に入るので、飲み物カウンターをお願いします。ケンモさん良いですよね」
「はい。良いですよ」
出来上がった惣菜は大皿に盛りカウンターへ並べた。注文を受けてから小鉢に取分けるスタイルだ。
見た目も大事だからね。飲み物も専用カウンターを設け、そこに来てもらうセミセルフ方式だ。だけど、テーブルの片付けだけはこちらでやる。だって酔っ払いにやらせられないでしょ。
「店長……ポテトサラダが無くなりそうです。あと、枝豆も」
「わかりました。枝豆は茹で上がっていますから出してください」
「ケンモさん。ビールが足りません」
「ビールだけ? ほか足りてる」
「日本酒も少ないです」
「了解!」
初日のご祝儀利用なのか、かなりの人出だ。だけど椅子が無いので回転率も良い狙い通りだよ!
ほとんどの人が小鉢2~3品とお酒2杯くらいで帰っていくから、以前のような行列にはなっていない。
うん。儲けるには薄利多売しかないな。
「唐揚げは完売で~~す」
「揚げ出し豆腐も完売しました~~」
客はまだまだ途絶える気配を見せない。別の追加料理が必要だな。よし、白菜のツナ煮を作ろう。短時間で簡単に出来るしな。
白菜を食べやすい大きさに切ったら鍋に入れ、ツナのオイル漬けをオイルごと入れたら、しょうゆを適当に入れる。白菜から水が出てくるまで弱火で煮て、水が出てきたら中火にし15分ほど煮て完成。途中、味見をして味の調整も忘れない。
「そろそろ宿泊客も来る頃ですよ」
「なら、セット用のご飯も準備しようか」
これも簡単。なめ茸の炊き込みご飯。お米三合になめ茸煮の瓶1本が基本。あとはそのまま炊く。仕上げに青ネギを乗せたら出来上がり。そこに惣菜3品を選んでもらい、汁物を付けたらセットは完成。
このセットは宿泊客だけに用意したセットで500ギル。金券5枚分だ。単品で頼むより安く設定してある。
「ケンモさん、ミニカツが無くなります」
「いまから揚げる」
「金券でセットとビールをお願いします」
「ありがとうございます。こちらの札は惣菜コーナーで、こちらはお酒コーナーにお出しください」
「あっ、泊りの人は唐揚げも受けて良いからね」
「わかりました~。いま出て居ませんが、唐揚げも有りますのでお申し出くださいね」
「では、その唐揚げと、白和え、白菜のツナ煮を下さい」
「はい、出来ましたらこの札の番号でお呼びしますので、あちらのテーブル席でお待ちください」
「初日、お疲れさまでした。みなさんの頑張りでトラブルもなく終わりました。ありがとうございます」
「あぁ~つかれた~~。飲み物が重くて地味に腕が痛いわ」
「だからプラムさんにお願いしたんだけど、明日はどうします」
「……手が荒れるよりはマシだわ!」
「では、明日もお願いしますね」
「わかったわよ……」
『おい。我らの飯はどうした!』
忘れてた~~~~~
「ごめ~~ん。急いで用意させて頂きます~~~」
(ケンモよ……美味そうな惣菜が並んでたな)
日本では毎日店で作ってたから懐かしかったよ
(それで……わしの分は無いのかのう)
売りもんだよ。有るわけないじゃん……
(そこを何とかするのが優しさじゃろが……)
お金くれたら大皿一盛でも置いておくよ
(友達甲斐がないのう~)
えっ、友達だったの??
(!!)