第七十話 神様、ドレースさんがやってきました
ダンジョンも16階層のセーフエリアに来ている。
16階層に来たとたん魔物のお出迎えを受け、とかチャンのドラゴンブレス一発で魔物は居なくなり、あとは、ドロップ品と素材集めの時間となった。そして今、オレは自販機の設置をしている。
『我の出番がなかったぞ』
『おいらもだよ~~』
『あのね~ ジャルラもプシュってしたかった』
『ジャルよ。お主は先ほどボス戦をしただろうが』
『そうだよね~』
『すまぬ……まさかブレス一発で魔物が全部いなくなるとは思わなんだんじゃ』
『フン。ボス戦は我がやるぞ』
『じゃ~ その次はおいらがやるよ』
『ジャルラもやりたい~』
『ほんと…すまんのだ』
『おい。まだ自販機とやらは終わらぬのか』
「もう少し待ってて」
『それが終わったらちと早いが飯にするぞ』
「そうなの? 良いけど……」
『早く終わらせろ』
どうやら魔物退治が出来なくてポチの機嫌が悪いようだ。
「終わったから飯にしようか」
『今日は何じゃ?』
「肉巻きおにぎりだよ」
『主殿。早く出すのじゃ』
はいはい。お肉がいっぱい食べられるようにご飯は少な目、肉厚めに作ってある。
オレは魔方陣のテストをするからとひとり地上に戻る。すると誰も居ないはずの店にはポタンさんが居た。
「あっ、ケンモさん。どこに行ってたんですか」
「ダンジョンに潜ってた」
「そうでしたか、ギルマスが今から来るそうですが予定は大丈夫ですか」
「今から? 予定は明日じゃなかったの」
「そう言われてましたが、早くまとまったようでして……」
「ポタン・カートン。ケンモさんは居たのかしら。 あら、居るじゃない。丁度いいわ」
「いや…あの……今はちょっと都合が……」
「あら、私が出向いてるのよ。それより優先するのって何かしら」
「……だから…今は……」
「なんでも良いから座りなさい!」
「……分かりましたけど、少し待っててください」
ダンジョンに戻るとみんなに事情を説明し、今日のダンジョン進行は終了した。
もちろんポチの機嫌がさらに悪くなったのは言うまでもない。
「まず、結論から申します。お店の小売りは終了し、宿は2,5倍に値上げしてもらいます」
「えっ!お店を閉めるってことですか?」
「そうです。その代りに卸し業をしてもらいます」
「おろし……ですか」
「ここの日替わり弁当を売りたいと希望しているお店がかなり有るのでそこに卸してもらいます。店舗は宿の食堂でもしなさい!」
しなさい!って……まさか地上店の閉鎖を言われるとは思いもしなかったよ。
さて、どうするか……。
「店舗を宿の食堂にって事ですが、宿泊者以外にも提供して良いんですよね」
「それは構いません。ただし、適正価格でお願いします」
「もちろんですよ~」
「では、引き続きポタン・カートンを常駐させ監視…いえ、協力をさせて頂きます」
「いま、監視って言いかけましたよね……」
「気のせいです」
「いや、言ったし……」
「男が細かいことを言うのじゃありません! では、そう言う事で良いですね!!」
「わかりました」
「では、これで私は失礼します」
「ポタンさん。これのどこが経営指導なんですか??」
「さぁ~。ただ、言われた苦情を押し付けただけですかね……」
「やっぱ、そうなんだ……」
だけど、その時オレはすでに考えていた。地上店は立食い飲み屋を兼ねて、宿泊者にご飯を提供しようと……。
3日間の休みが明けたとき、全員を集めて今後の方針を伝えた。
「えぇ~商業ギルドの指導により、お店はダンジョン内だけにして、地上はお
酒も出す飲食店に変更します!」
(ケンモよ……いいのか?)
なにが?
(売店を閉めるんじゃろ?)
そうだけど
(なに呑気にしておる)
何か問題でも?
(問題じゃろ! タイトルが「ダンジョン内で売店を開いています」なんじゃぞ……)
大丈夫だよ
(どこが大丈夫なのじゃ??)
だって、閉めるのは地上だけだもん
(???)
まだ、ダンジョン内で売店を開いています
(なんか……最終回みたいじゃのう???)
終わらないし