第六十九話 神様、僕の可愛いジャルラが……
臨時休業も二日目になった。みんなが集まる前に一仕事だ。
12階層と14階層に自販機のセットとダンジョン温泉と宿もリンクさせてきた。
10階層まではパーティーを組んだ冒険者達がそこそこ居たが、12階層はほとんど見かけなかったから、自販機の内容も日替わり弁当は10食だけ。ポーションは中級の他、上級も用意した。
地上に戻るとすでにみんな集まっていて、逆に遅いと怒られた。
「ケンモさん。待っていましたよ」
「レア素材を取りに行きましょう」
「昨日も結構いい鉱石が取れたからなぁ~」
『おい、飯の用意は出来てるよな』
「それなの……」
『当然だ! 暴れた後は腹が減るからな』
『おいらの良いところ、今日も見せちゃうからね~』
『あるじ~ あるじ~ ジャルラもね、シュッシュッってやるよ』
「うん。無理しないでね。でもジャルラがとても強くてビックリしたよ」
『当然だ! 日ごろから狩りで鍛えておいたからな』
『そうそう。でもおいらは優く教えてるよ~』
『わしもちゃんと教えておるからな。ジャルの成長はかなりのものじゃそ』
余計なことを……可愛いオレのジャルちゃんを返せ!「みんなありがとな」
「では行きましょう」
15階層セーフエリアからのボス部屋へ。
『ねぇ~ ねぇ~ ジャルラがやっつけていい?』
『おう。やってみるろ』
『わ~~い。ジャルラ頑張る~』
『わしらも付いておるでな、安心せい』
『いつもみたいにやれば大丈夫だよう~』
ボス部屋に居たのはヒュドラだった。しかし、ジャルラの先制攻撃一発で息絶えた……
「ジャルラ……凄い! 凄いよジャルラ~」
『あるじ~ 一発で終わっちゃった。もっとシュッってしたかったのに』
「つえぇ~ このスライム強すぎだよ」
「こんど研究の協力をしてださい」
そういえば、ドロップ品集めでジャルラの戦闘って見たことなかったな……
「ジャルラ……攻撃が早くて分かんなかったけど、どんなことしたの?」
『えぇっとね……コレを悪いのに当てるだけだよ』
ジャルラがこれと言って見せてくれたのが、ネットショッピングで出た缶のゴミをまるでピストルの弾のように変形させたものだった。
「これ、ゴミの缶だよね?」
『うん。あのね。缶をね、取り込んで、色々な形にして遊んでたの』
「そ…そうだったんだ」
『それでね、狩りの時に丸くして悪いやつにぶつけてたの。そしたら、ポーチン様がね』
「ポーチン様? ポチで良いのに」
『おい!変なこと教えるな! ジャル。ちゃんと我の事はポーチン様と呼ぶのだぞ』
『うん。それでね、丸じゃなくて。先を尖らせろと教えてもらったの』
そりゃ威力も上がるわ……
ボス戦もジャルラの活躍であっけなく終わり、16階層へと降りてきた。
出迎えてくれたのはヒュドラの団体さんだったけど、これも敵じゃないと言うかの如く、瞬く間にポチタマジャの従魔軍団とプラムさんによって片付いた……
「……ここからは上級者向けだったよね」
「そう聞いてますけど……」
『フン、準備運動にもならん。我の敵ではないわ』
『わしは年じゃからの。少し楽をさせてもろうたわい』
『おいらも物足りない感じだよ~』
頼む。ミタマ猫になってくれ…… 可愛くないんだよ……
『あるじ~ ジャルラももっとシュッってしたいな』
ジャルラ~ これ以上強くならないで~~
(今日はこのコーナー有るんじゃろうな)
さすがに2日連続で無しはないでしょ。
(なら良いのじゃがな……)
ジジィもかなり心配性だな。
(こう見えても、デリケトなのじゃ)
デリケートね…… 見えないけど。
(ではどう見えるのじゃ? まさか、バリケードとは言わんじゃろうな)
そんな昭和ギャグ……
(では何のじゃ?)
……アーケード?
(何じゃそりゃ)
アーケードはアーチ型…アッチケイ……アッチ行け…… バンザ~イ!
(……苦るしいのう)
すいません……