第六話 神様、そろそろ開店できそうですか?
「いざ、拡張!」 あれ?
「かくちょ~~う」 ふん??
「ひろがれ~~~っ」 なんでだ??
まったく変化ないじゃん…
ただいま2階の拡張に悪戦苦闘中である。
「イーカン様、イーカン様。拡張できないんですけど… ちょっとこっちにきてよ」
(……)
無視か…
それなら、「ココにも面白いラノベが有るんだけどなぁ~~」
「なに!ラノベじゃと!!なぜそれを早く言わん。タイトルはなんじゃ?」
「神様はラノベがお好き。だって」
「おぉ~同志の話しか!早く見せるのじゃ」
「空間拡張の仕方を教えてくれたらね」
「そういえば、先ほどから拡張だの、広がれだの言いながら踊っとたのう。なかなか面白かったぞい」
「サポートしてくれんじゃなかったんですか?」
「いやいや、お主を見とると面白いからのぅ~ 助言を忘れるんじゃよ」
「ど~せ、ラノベに夢中なくせに」
「イメージじゃ。如何なる魔法もすべてイメージじゃ。想像力も遊び心も持たんお主には難しいかのぅ」
「…ラノベ、要らないんですか?」
「いる。いるのじゃ。まったく、短気じゃのう」
「…」
「この本をやるから受け取れ。その中の写真を見て気に入ったのが有れば、『これと同じ』と言うだけじゃ。造りも調度品もすべて再現されるじゃろう。さぁ、ラノベを寄こすのじゃ」
あぁ~もう早く終わらせよう。って、なにこの本〝全国の温泉・一度は泊まりたい高級宿100選〟
日本の旅マガじゃん。どこまで手抜きなんだよ…。
うお~っ!この部屋はシックな感じで良いよな。よし!「これと同じ!」
げっ、ほんとに同じだよ。
次の部屋は…
これなんか良いじゃないのかな?「これと同じ!」
それからは「これと同じ!」を繰り返し、客室10部屋を作った。
日本の高級宿をコピーしたから風呂は温泉。トイレは洗浄機能付き。
5人位のパーティーなら全員が泊まれる広さ。
さすが、一度は泊まりたい宿だ。
あとは、自分の住居スペースに客が来れないようにすればOKだ。
しかし、魔法の練習をしなかったのは反省しないとな。
「だから三話で言うたじゃろ、使わないと慣れないのじゃと」
「言われれば… そう言われたような気もしなくもないか…」
「それよりじゃ、商業ギルドで宿屋の登録と小売り店の登録を忘れるんじゃないぞよ。営業許可証が無いと開店が出来んからのう。健闘を祈る。さらばじゃ~」