第五十九話 神様、神様、第3王子が来ました
商業ギルドの仕入れ担当者はメルイエさんと言うらしい。
「ほぉ~ 洗浄機能付きトイレですか。ポタンさんそれも詳しく聞かせて欲しいですね」
「話すより、体験して見てくださいよ」
「それが良い。百聞は一見にしかずですからね」
「こちらに来てください」
今のうちにどこかに逃げようかな……
「店主さん。逃げないで下さいよ」
はは…… 見抜かれてるよ……
「いや~素晴らしいです。実に素晴らしい。あれは癖になりますね」
「そうでしょ~ あれを使うともう他のは使えませんよ」
「店主。ポタンさんの話だと近く発売をするとか」
「私が検査で来た時にそう言ってましたからね」
あれはその場しのぎで言っただけだし……
「その……まだ資金的に無理なんですよね……」
「資金なら当ギルドにお任せください」
「いや……そこまでしてもらうわけには……」
「気にしないでください。何なら前金で払っても良いですよ」
「あ…それだけじゃなくて、魔石で動かしてますので、そのサポート問題も有りますし……」
「あぁ~定期的な交換が必要って事ですね」
「まぁ……そうなりますか……」
「それも問題ないです。ギルドで対応しますので」
あぁ~ダメだ……断る文句が出てこないよ……
「実は、マッサージ機も10階層まで潜って体験してきました」
「はぁ~そうなんですか」
「はい。実に快適で気分爽快。私も一台買わせて頂きますよ」
「こんにちは~~~ ハモン兄さんは居ますか~」
「カレット!」
「ハモン兄さ~~ん。やっと会えました~」
メルイエさんに押され気味で困っていたその時、店先が騒がしくなった。
「まさか、こんなに近くに居たなんて思っても居ませんでした」
「カレットこそなんで居るの」
「先日。親父の使いでラトスが来たでしょ? その時、兄さんに似た人を見たと言ってたから、確認しに来ちゃいまいた」
「来ちゃいましたって……勝手に出てきちゃダメだろう……」
「ちゃんとメモ書きは置いて来ましたから大丈夫です」
「大丈夫じゃないから」
ちょっと席を外して店の方に出てきたら……
「あっ、店主さんですよね。いつもハモン兄さんがお世話になっています。弟のカレットと言います」
「はぁ~ オオサキケンモです」
「初めましてって、これからよろしくお願いします」
「えっと……プラムさんの弟さん?」
「はい」
「ケンモさん、直ぐに帰しますので気にしないでください」
「えぇ~~ まだ帰らないよ~ しばらくここに居るつもりだし」
「ダメだ!」
「なんで~~ せっかく会えたのに、直ぐに帰れって、それは無いでしょ~ ねぇ~ケンモさん。って、僕もケンモさんと呼んで良いですよね」
「そ…そ…そうだね……」
「私は許しません。今すぐ城に戻りなさい!」
「はっ? 城??」
「あっ…いや……えっと……」
「いま城って言いましたよね??」
「はい。僕はメテルナ王国第三王子。カレット・ジャバン・メテルナと言います」
えぇ~~~~~~~~~~~第三王子!!
って、ことは……
「すいません。騙したつもりはないのですが、私は元第一王子でハモン・プラム・メテルナが正式名称です」
「プラムさんっておっ…王子だったの……」
「……はい。でも、王位継承権は返上していますので、今は冒険者ギルド職員のプラムです」
「えっ、兄さん知らないの? 継承権は残ったままだよ」
「なに~!」
他のみんなが口を開けたまま固まっている…… そう言えばここは店先だった……
緊急事態で話が出来なくなったことを伝え、メルイエさんにはお帰り頂き、カレット王子殿下はプラムさん……ハモン王子殿下…… の部屋にお通ししてもらった。
「すげぇ~~城の部屋より豪華だね。僕もここに住んで良いよね?」
「ダメに決まってるだろ~~」
「じゃ~僕の部屋を用意してもうもんね~ 良いでしょ~ ケンモさん」
勘弁してください……
(ケンモよ。また面倒事を引き寄せたのか)
引き寄せてないし……
(見ていて楽しいのじゃ)
楽しくないし……
(そうか! わしに意地悪ばかりするから天罰が下ったんじゃな)
ほぉ~ その天罰は神であるジジィが下したってことだな
(…………ラノベに書いてあったんじゃ)
なんて?
(主人公は災難が好き……)
どんなラノベだ!!