第五十六話 神様、冷蔵庫を買いました
よし、日替わり用の…… あっ!弁当箱が少ない……
そうだ、いままで考えていたことを実行しよう。
「ポタンさん弁当箱だけど、特注で作れる職人さんをご存知なら紹介して貰えないですか」
「職人さんですか?出来ると思いますが、急にどうしたんですか」
「いままではネットショッピングで購入してたけど、出来るだけ地元調達しようかと思いまして」
「それは助かります。職人も喜んで作ってくれると思いますよ」
「残りが少ないので急いでお願いしたいのだけど、大丈夫ですか」
「では、ギルドに戻ってリストアップして来ますね」
ポタンさんは仕事が早い。
「ケンモさん。ギルマスがね、商業ギルドを通じて発注して欲しいと言っていました」
「それは構いませんが、どうしてですか」
「理由はですね、登録している職人さん達に平均して発注することで、みんなの収入を安定させたいと言う事です」
うん。薬師へのポーション発注と同じ発想だね。
「わかりました。早急に作って貰いたいのでよろしくお願いします」
今回、発注する点で拘ったのは、丼の具材を後のせ出来るように本体収納タイプの二段式だ。これだと具材のつゆがご飯に吸い込まれることなく出来たて気分を味わえると思うんだよね。
あとは通常の弁当箱も同時に作って欲しいとお願しておいた。これ大事だからね。
「わかりました。ではそのように発注してきますね」
弁当箱の件はこれでOKと、あとは冷蔵庫と冷凍庫をどうするかだな…… あっ、製氷機も。
実はミックスジュースの時に言われたんだ。ユウゴ君に……
「ジュースの氷が早く溶けて水臭くなっていましたよ」
やっぱりかぁ……常温の果物を使ったから、急速で冷やすのにネットで買った氷を使ったけど、ユウゴ君の指摘はもっともだ。これは作り手として減点だよな。
「冷蔵庫は買わないんですか」
欲しいよ。欲しいとは思ってるよ。
「買えば良いじゃないですか」
そうなんだけどね……
「買いましょうよ」
たしかに、冷蔵庫が有れば、冷やした果物を使えるから、氷も早くは溶けないけど。ってか、ユウゴ君……今日はかなり攻めて来るよね。
「そうしましょう」
ということで、ユウゴ君に背中を押された事も有り、業務用の冷蔵庫と冷凍庫。それに製氷機も。
冷蔵庫は厨房用とは別に店頭に置くガラス製の物も3台購入した。
まぁ~これで冷菓も作って売ることが出来るから良いか。
早々に雷属性の魔石を嵌め込んで設置した。
さて、冷菓第一弾とし、プリンを作ろう。その前に、蓋付きのガラスの器が欲しい。
ポタンさんに言ったら、ものの1時間もしない内に1000個も集まった。
あちゃ~ 数を指定して無かったよ…… 反省。
気を取り直してプリン作りだ。ボールに卵黄だけを集め、グラニュー糖と合わせておく。
鍋に牛乳と生クリームバニラを加え、沸騰しないように温め、粗熱を取ってから卵黄が入ったボールに少しずつ加えて混ぜ合わせて行く、良く混ぜたら、こし器で一度こすと滑らかな舌触りになる。
後はお湯を浅めに張った鍋に入れ8~10分ほど蒸すだけだ。自然に粗熱が取れるのを待ち冷蔵庫で冷やす。カラメルは好みも有るので別添えにした。初めてなので200個だけ作ってみた。
残っている白身でカップケーキを作っておいた。作り方はこれも簡単だ。
卵白を泡立て、メレンゲを作っておく。ネットで買ったホットケーキの粉に指定の量より少なめの牛乳と少量の溶かしバターを入れて溶いたところに、メレンゲを加えて混ぜ合わせ、カップケーキの型に移したら、あとは180度のオーブンで焼くだけ。
こちらは300個が出来上がった。
さて、明日は日替わり弁当にプリン。カップケーキと売るのがたくさんあるからね。店番の三人には頑張ってもらおう……
でも、リーザさんにまた〆られるかな?? 仕事増えた~~っ!って。
オレはし~らない
(おぉ~美味そうなのを作ったのう~)
ジジィには無いよ。
(ツレナイこと言うでないわ……)
たまにはお金払ってよ。
(わしとお主の仲じゃろう……)
じゃ~なおさら払って
(泣くぞ……)