第五十五話 神様、畑が・・・
裏庭の畑に来ています。ユウゴ君…なんてことを……
プラムさんに呼ばれて畑に来てみたら、目の前には巨大な野菜群。童話に有った大きなカブを実体験した気分に陥ってる。
事情を聞いたら、ユウゴ君作の《お野菜さん。大きく元気に育ってね》という肥料?と言うより、成長促進剤を与えたら、一晩でこうなったとか……
安易に使用を許したプラムさんの口が塞がらないと言った顔は面白かったな。
じゃなくて、これをどうするかだよ……
実況すると、白菜はオレが抱き着いても手が回らない。小松菜は生えてるって言うより、地面に置いてあるって感じ。スーパーで売るなら一株で10袋は作れそう。人参は大根か?って思ったほどさ。
マジでどれだけ大きいか分かってもらえました?? それだけデカいんだよ。ここに植えてある全部……
ほんと、人目に付かない場所で善かったとこの時ほど思った事は無いよ……まったく。
「あっ、ケンモさんも見てもらえました。スゴイでしょ~この野菜」
……スゴイを通り越して絶句してたんだけど………
「ユウゴ君…… どうすんのこれ……」
「さっき味見したけど、問題なかったですよ」
「……そうじゃなくて、どう処理するの」
「みんなで食べましょうよ」
「…………」
まったく事の重大さに気付いてないよ…この子
とにかく、《お野菜さん。大きく元気に育ってね》だっけ? ひとまず使用禁止にしないと……
「ユウゴ君。薬を使う時は事前にオレに相談してもらえるかな」
「まずかったですか??」
「これを見る限りね……」
「わかりました……」
そんなやり取りをしている所にみんなが集まって来て、畑を見るなりおもしろ顔大会が始まっていた。
「みんなにも言っておくけど、ユウゴ君が薬を使いたいと言われたときは、使う前に必ずオレに言ってください」
「「「「わかりました」」」」
今のみんなは実に素直だった。気持ちが悪いほどに……
重ねて言おう。それだけ衝撃が強かったと。
さて、野菜を消化すべくみんなで収穫し、これで八宝菜を作ることにした。
一度に野菜をたくさん食べられるし、肉や魚介も同時に取れる。一石二鳥三鳥だもんね。
使う肉は、これもダンジョンでの収穫したヤマニボンタンの肉だ。臭みの無い猪肉と思ってくれ。
肉食べやすい大きさに切り、魚介と共に、塩コショウと酒で下味をつけ、軽く片栗粉をまぶしたあと、さっと油で揚げ焼きしておく。
何処からか酢豚じゃないのか?と聞こえてきたが、今回はバラ肉でないからこうして作ると肉の旨味と油のコクで美味しさが増すのだよ。まぁ~作り方はいろいろあると言う事さ。
野菜は白菜・人参・小松菜にキノコ。あとはネットで買ったタケノコとキクラゲを硬い物から順に炒め、火が通ったら魚介と肉を戻し入れ、古骨鶏の骨から取ったスープに砂糖・醤油・オイスターソースに酒や塩コショウで味を調え、水溶き片栗粉でとろみを付けたら、あとは香りのゴマ油を加え出来上がり。
まずは腹ペコカルテットからだ。ご飯にのせて、中華飯にしてだしてやった。
『うむ。これも美味いな』
『お肉が少ない気もするけど、美味しいよ~』
『確かに美味い。けど、わしももう少し肉が多い方が嬉しいぞ』
『あるじさまのご飯美味しいよ~ ジャルラもっと食べたいな』
たまには野菜たっぷりも大事からね。今日はこれで良いんだよ。
(ケンモよ。わしがジャルラを連れてきたお蔭でゴミ問題も解決したろ。褒美にわしにも中華飯を食わせてくれ)
……ほら。
(いいのか??)
要らなきゃ食うな
(要るわい。だが、素直過ぎて怖いのじゃ……)
ほぉ~~ いつもは素直じゃないと思ってたんだ……
(いや…そんなことはないぞ……)
じゃ~なに?
(意地悪で冷たいと……)
取り上げ!
(あぁ~~ わしの中華飯~~~~~)