第四十九話 神様、今回は主役。主役ですよ! イーカン様~~
オレはふと思った…… 果物が欲しい!
この街に来てからフルーツを食べてない。市場でもなかなか見かけない。
理由は分からないが、この星には無いのかと思ったくらいだ……
ポタンさんに聞いたら、有ることは有るが流通が少ないそうだ。
年中気候が安定しているから、足の速い果物は産地近くには出回るが、この街は遠いためなかなか届かないと言われた。
なんと!これは重大事件である。年中いろいろな果物が出回っている日本で育ったオレには欠かせない食べ物の一つ。それが無いのだ。まさに重大事件だ。
ジジィ~ジジイ~急用だ。
「呼んだか……って、これは本編か? 久しぶりに本編での出番か!」
「そうだよ」
「…………」
「どうしたの?」
「嬉しいのじゃ……」
「それ持ちネタ? 十一話と三十一話でもこのネタ使ってるよね……」
「相変わらず詰まらん男じゃのぅ~」
「ワンパターンのボケが面白いの?」
「……そんな昔の回……読者も忘れとるわ」
「オレは覚えてるから……」
「…………」
「で、なんの用じゃ」
「そうだった…… その三十一話の時に、何でも望みを叶えてあげると言ったまま、まだ何も望みを叶えてもらってないよね」
「そうだったか……」
「魔石を強請ったら、無理だと逃げたのは誰?」
「……そんな昔の話……忘れたわい」
「その時の願い事、いま叶えて!」
「もう時効じゃろ……」
「そんなこと言う? 約束を破るような神は神じゃないから。もう本編に出さないよ」
「……それは脅迫か」
「ただのお願いです」
「……分かったわい。願い事を言うてみい」
「果物が食べたい」
「買えばよかろう……」
「気候が良くて、足の速い果物はこの街には産地から届かないんだって」
「そうじゃったかのぅ……?」
「そうだよ。だからこの街でも果物が食べれるようにして」
「……それが出来ぬのじゃ。自然の形態を変えようとすると、この星すべてに影響がでるのじゃ。いくら神でもそれは出来ぬ。創造主殿に叱られるわい」
「……………使えんジジィだな」
「良いこと思いついた! ダンジョンのドロップ品にすれば良いじゃない。果物階層だけじゃなく、肉階層とか食料品しか出ない階層が有っても楽しくない」
「おぉ~~ それなら出来るぞ。もともとわしの裁量で作ったダンジョンじゃ」
「じゃ~ 10階層は果物を出して。そこで買取るから。肉は5階層ね」
「わかったわい。では、ちと改良して来るでな、楽しみに待っておれ」
「おぉ~ 今日はジジィが神様に見えるぞ」
「見えるとは何じゃ! 本物じゃよ!!」
「いちいちツッコミは要らんから早く行けよ」
「……いつも思うが、お主は冷たいのじゃ。冷たすぎるのじゃ~~」
「ケンモさん~ フルーツが食べられルようになるって本当ですか」
情報が早いね、ユウゴ君って地獄耳?
「神さまの声が聞こえてました」
…………
「聞いちゃ不味かったですか……」
そうだね。これからは聞かないで……
「わかりました~」