第四十八話 神様、ダンジョン宿はオープンです
いよいよ、宿屋ダンジョンのオープンです。
入口はダンジョン温泉の隣に設け、部屋のイメージ画と部屋番を表示して、冒険者が好きな部屋を選べる自販機方式にした。
これは、経験したことがあるユウゴ君の意見を取入れたけど、イメージ画が必要なのかは疑問が残る。
部屋はビジネスホテルをイメージしてもらえたら分かりやすいかな。だけど、浴室は温泉施設が隣に有るのだから要らないとポタンさんに言われ、作れなかった……。
オレ的には、一人でゆっくり入りたいけどね……
「ケンモさん……ここの作りはどうなってるんですか?」
あぁ~ユウゴ君は知らないんだ……
「宿も大浴場も空間魔法で作ってあるんだよ」
「そんなこと出来るんですか」
「空間魔法でも、これはオレのチートだけどね」
「凄いです」
「この店の2階部分が宿になっているんだけど、そこの大浴場をダンジョンと結んで、ダンジョン温泉に。その横にいまダンジョン宿を作ったんだよ」
「ということは、全部ここの2階に有るってことですか」
「そうだよ。だから緊急時には宿や大浴場からもダンジョンを出られるんだよ」
そんなこんなで、10階層のダンジョン宿がオープンした。
反応は様々、地上の宿をイメージしてた人にはガッカリ物件だけど、宿代が安いから助かるなど……。
だけど共通した見解は、野営するより遥かに休まる。だった。
プラムさんも現役時代、野営は寝袋で寝ていて、眠りも浅さく疲れも取れ難いと教えてくれた。
ダンジョン内で温泉が入れるだけでも想像外なのに、宿で寝られるなんてここ以外に無いと力説してた。
でもね、他にダンジョン内を快適に冒険してもらう楽しそうな案が、なかなか思い付かない貧相な発想力だからね、みんなの意見も採り入れて行くつもりなんだ。
「みんな。まだまだ深い層のセーフエリアにも展開していくから、僕だけの発想では面白味も薄れてくるから、なにか思いついたら何でも言ってください。お願いします」
「もちろんです。商業ギルドと関係なく、協力させてもらいます」
「私もです。ギルドの仕事より楽しいですから」
二人ともありがとう。
「イケメンもっと雇ってください」
いや……それは違うでしょ……
「店長…… モツ食べさせて」
……それもどうかと……
「僕は珍しい素材で薬をたくさん作りますね」
ほどほどにお願いします……
~~ツインに泊まった冒険者の会話です~~
「さすが、よろず屋だな……ベットが広くて寝心地も良いや」
「シングルが取れなかったのが残念ですけどね」
「えっ……一人が良かったのか?」
「そりゃ、静かな所でゆっくり寝たいでしょ」
「おれって、そんなにうるさい……」
「自覚がなかったんですか」
「…………」
「さぁ~ 温泉入りに行きますよ」
「ここは部屋に風呂が無いんだよな……」
「隣に有りますからね。その分、安く泊まれるならありがたいことです」
「それもそうか……」
「はやく、行きますよ」
(わしのコーナーが……)