第四十六話 神様、炭焼きは如何ですか
今日は古骨鶏の炭火焼き
ポチとかタマが獲ってきた古骨鶏を使って、塩とタレで焼き上げる。
そのまま食べても美味しいし、丼にしても美味しい。そんな事を考えながら下準備中だ。
モモにはしょうゆベースの甘ダレ。胸は塩。皮はレモン汁で食べるのがオレの好みだけど、今日は全部位をごちゃ混ぜにして、塩とタレで焼くことにした。
軟骨はこっそり食べることにするよ。あのコリコリ感は堪らないもん。
しょうゆ・酒・みりんに砂糖を煮立たせ、ダレを作る。塩は香り付け程度の香草を加えてこちらもOK。炭はネットで購入。今回は火力が優しいナラ炭を使う事にしたよ。
庭に、先日買っておいたバーベキューコンロ2台を出して、セリナさんと焼いていく。
煙の匂いにポチとかタマだけでなく、ユウゴ君やプラムさんもやって来た。
特にユウゴ君は日本を思い出したのか、オレの耳元でクレクレ攻撃が凄まじく、はっきり言って腹ペコトリオよりもうるさい。
焼き上がったのからポチとかタマに出し、ユウゴ君とプラムさんにもご馳走した。
「うおぁ~焼き鳥だ~~ うめぇ~~~ 最高にうめぇ~~」
「ユウゴ君……落ち着いて食おうか……」
「いや~美味いです。まさか焼き鳥が食えるとは思いませんでした」
「わかったから……ゆっくり、よく噛んで食べよう……」
「これだけでここに来て良かったです。もっと食べて良いですか」
「あぁ……腹を壊さない程度に……」
「ありがとうございます」
そんなユウゴ君をよそに、セリナさんがつまみ食いしながら焼いているのが微笑ましかった。
腹ペコトリオも、黙々とひたすらに食べていたから美味しかったのだろう。
二人が満足したところで、店番を交代してもらい、リーザさんとプラムさんにも食べてもらう。
オレも焼きながらつまみ食いをしてたけど、なんかこれ食ってるとビールが欲しくなるよね……
当然、我慢はしたさ。仕事中だからね……
でも、良い感じの炭火を見ていたら、ステーキも食べたくなり、こっそりブラックバッハの肉を焼いてみた。
『おい、違う匂いがしてきたが、なんの肉を焼いている』
げっ……、目聡くポチがやって来た。鼻までは誤魔化せなかったか。
『違うお肉やいてるの~ おいらも食べるぅ~~』
『違う肉か……美味そうじゃな』
結局、腹ペコトリオにもブラックバッハのステーキを焼いたよ……
『うむ。古骨鶏の炭焼きも美味いが、ブラックバッハの炭焼きも美味いな』
『ほぉ~ブラックバッハか…… 焼くとこんなにも美味くなるのか』
『そうだよ~。もう生では食べたく無くなるよ』
『たしかにそうじゃな』
『おい。もっと食うぞ。焼いてくれ』
まだ食べるの?? まぁ~良いけどね。
『おいらも食べるぅ~』
『我にも頼むぞ』
はいはい。もう好きなだけ食べて……。
腹ペコトリオも満足したのか、昼寝を始めた。
それからは明日の日替わり用に、とにかく古骨鶏を焼きまくった。
(楽しそうじゃなぁ)
楽しいよ。さっきまでは……
(わしの存在を忘れてはおるまいな……)
忘れてないよ。
(ではなぜ誘わんのじゃ)
…………今だけ忘れてた。
(いつもじゃろがぁ~~~)
えへっ。