第三十六話 神様、明日の仕込みが待ってました
店に戻ると置手紙が置いてあった。
[店長へ。ダンジョンの自販機セットと明日の仕込みをお願いします。大根は下茹でをしておきました。セリナ]
忘れてた~~~~~~~~。
急いでダンジョン店の自販機をセットしに行ったら、既に待ちの行列が出来ていたよ……。
みんなに平謝りをしながら自販機を稼働させました。
うん。これはポタンさんとリーザさんも出来るよう明日教えよう。
地上に戻り、明日の仕込みを始めようと厨房に向かったとき、背後から不穏なオーラを感じた。
『おい、我らの飯は』
『お腹空いたよ~~』
『そうじゃ、美味いもんが食いたいぞ』
おまえらな……
『先ほど肉の塊を焼いておったろう。それでよい』
『いい匂いしてたもんね~~』
『期待できそうじゃの』
……ハイハイ。
こちらの葡萄酒とネットで買ったバルサミコ酢にしょうゆ・みりん、砂糖でソースを作り、粒マスタードを添えてローストバッハ丼を作った。ローストバッハは低温でじっくり火を通したので赤みが強いローズ色に仕上がり見た目も華やかに焼きあがっていた。
まだかまだかとうるさいポチとかタマの腹ペコトリオに早く食わせて黙らせることにした。
本来は薄く切る処を厚めに切って噛みごたえをだしておいた。決して薄く切ることが面倒くさいからではない。何しろカットするのに秘密兵器が用意してあるからね。
『こりゃ美味い。お主たちは毎日これを食っておったのか』
『こ奴が作るのは何でも美味いぞ』
『そうだよ~ だからおいらは従魔になったんだよ~』
『ここに来れてワシも運がよかったわい』
「明日はダンジョンに行かないから、ポチとかタマみんなで狩りに行って肉とって来てよ」
『『『つなげて呼ぶな』』』
「じゃ~ポチタマ…とか? あっ、疑問形トリオも良いな」
『『『よくない!』』』
「ねぇまた唐揚げつくるからさ~ 鳥肉が欲しいな。」
『うむ』
『わかったよ~』
『狩りの時は元の姿でもいいんじゃな』
「いいけど、街から出てからにしてよ」
『あいわかった』
さて、いよいよブリ大根作りだ。
大鍋で湯を沸かす。その間にブリの血を綺麗に洗い取る。その後、湯通しして臭みを取る。
水の代わりに日本酒多めとみりんを火にかけアルコールを飛ばし、しょうゆと砂糖、ショウガを加えて10~15分ほどブリを煮る。いったんブリを取りだし、煮汁で下茹でした大根を5分ほど煮る。あとはブリを戻し温め直せば出来上がり。付け合わせに白髪ねぎと青菜のお浸しも用意してみた。
次は、ローストバッハのカット。ここで秘密兵器の登場だ!
じゃじゃ~~~~ん。ミートカッター!!(パチパチパチ~)
ネットショッピングの大手、ハマソンで見つけたんだよね。すでに雷属性の魔石を創造魔法で組み込んであるから準備はOK。大量にできた魔石様様だよ。電化製品も取り寄せ放題だもん。
秘密兵器でラクラク作業。あっという間にスライス完了。仕込みも完了。
仕上げの盛り付けは明日セリナさんが来たら一緒にやるだけ。
しかし、とかチャンには驚いたけど、今日もいろいろあったな……
ほんと疲れたよ……ゆっくり温泉に入って寝よう……
自販機造りは明日でいいや。
(古龍はまだ怒っとるかのぅ~)
[怒っとるわい! 簡単に治まるか!!]
(…………)
早く謝っておけ。
(わしは神じゃ!)
だからなに??
(…………)