第三十五話 神様、居候が増えたんですけど
ジジィの被害者がここにも居ました。羽トカゲの…… とかチャンでいいや。
『ワシは古龍のクリスタルドラゴンじゃ。名はシトリンじゃよ』
「羽トカゲじゃなかったの?」
『小さいからそう見えるだけじゃ』
「そうなんだね。じゃ~ダンジョンに送ればいいかな」
『ワシは穴には戻らんぞ』
「じゃ~本来の住処に帰ったら?」
『ここに住む。美味い物が食えそうじゃからな』
『こ奴の飯は美味いぞ』
『もう生肉は食べられないよ~』
『お主は……フェンリルのポチと(ポーチンだ)……ダイヤモンドタイガーのタマか!』
『ミタマだよ~』
『久しいのぅ~ ワシもここに住むことにしたからのう、よろしく頼むぞ』
「そこ、勝手に決めない!」
まったく、今日は厄日だ。
篭からだして庭に出てから本来の姿になってもらった。
シトリンって名前からも想像がつくってか、そのまんま。黄金色した水晶のような龍でした。
「ここに居候するなら無闇に元の姿にならないでね!客も驚くし…家も狭いんだから」
『承知したわい』
「あと、とかチャンも自分の食い扶持は自分で取って来てね。お店でも使わせてもらうけど」
『……承知した』
「なに?いまの間は??」
『いや……とかチャンと呼ばれるのはどうかと思っただけじゃ……』
「可愛くていいじゃん。とかチャン」
『諦めろ。我らとてポチタマだからな……』
『ご飯抜かれるよりは良いよね~』
『そうじゃな……美味い飯には勝てんからの』
「……ポチタマも同じ条件だから、とかチャンも一緒に狩りに行けば?」
『……そうするわい』
『古龍……じゃない。とかチャンだったな……よろしく頼む』
『とかチャン……よろしく~』
『お主たちまで……』
「とにかく、ポチとかタマ。みんな仲良くしてね」
『『『つなげて呼ぶな』』』
そういえは、冒険者ギルドに従魔登録をしきゃいけないんだった。
騒ぎが起きないうちに登録に行こう……
「この羽トカゲを従魔登録したいんですけど」
「羽トカゲですね」
「あっ、いや…今はそうなんですけど……実はクリスタルドラゴンなんです」
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
声が大きいですから……
「すいません。取り乱しました。ほんとにクリスタルドラゴンですか?」
「……はい」
ちょっと待ってくださいと言うと、テトロンさんを呼んできた。
「クリスタルドラゴンを従魔登録するとは本当ですか?」
これです。と、肩に止まっている羽トカゲを指さした。
確認が必要とかで連れてこられたのは倉庫。ここで、とかチャンには本来の姿になってもらった。
うぅ~~~~ん。やっぱそうなるよね……倉庫に居た全員が絶句してたよ。
意識が戻ったテトロンさんにいきさつを聞かれたので、とかチャンから聞いた話も織り交ぜて伝えた。
さすがに飯が目当てってことは内緒にしたよ。
とかチャンには街中では羽トカゲの姿で居ることを条件に従魔登録をしてもらえた。
よし、用事も終わったし早く帰って自販機を作ろう。待っていてくれる人が居るからね。
(なぁ~そろそろわしの時間か?)
それはない!
(ひどいのじゃ)
〔ひどいのはお前じゃ!〕
(おったのか古龍……)
〔今日からここが住処じゃ〕
(ナント! ケンモよ、追い出せ。追い出すのじゃ~)
や・だ・ね
(裏切者~~~~~~)