第三十三話 神様、閃きました!
あっ! 閃いた!! 魔石を作れば良いんだ!!
7階層に着いたとき思わず声をあげた。
ヒントは魔剣ブラックシードの鑑定に出てきたアダマン鉱石。
鉱石で連想したのがダイヤモンドだ。中学だったか、高校だったか? 物理の時間に習ったよな……人工ダイヤの作り方……思い出すんだ。思い出せ~~思い…あっ! 思い出した!!
忘れないうちに実験だ。地上に戻るぞ。
ポチタマを急かしてセーフエリアにやってきた。もちろん途中に出てきた魔物はポチタマの餌食である。
『なぁ~ポチでも良いが、ポチタマと括るのは止めんか』
『そうそう……おいらもポチタマじゃね~ 気が滅入るよ~』
飯半分にするぞ!
『『好きに呼んでください』』
ふん、腹ぺこコンビが。
痕跡の魔石で魔法陣を書くと、地上店へと移動した。
たしか、人工ダイヤは炭素を高温高圧合成法で作られてたはず……。これを応用してダイヤを作り、その時に魔素を込めれば魔石が出来ないかと考え、媒体を炭素の塊である炭を使ってみることにしてみた。
今回は色々ある炭の中から、堅い備長炭(10キロ入り)をネットショッピングで買い、庭に出て来た。
備長炭を箱ごと置くと、そこを中心に1メートル四方の魔法障壁を張った。
次に、火と雷の複合魔法で障壁内を高温高圧に保ち、障壁内に発する魔素を炭に吸集させ、更に石化させるイメージを組み立ててみた。雷魔法を連動させたのは単に雷属性が欲しかったからだ。
ダイヤ成形の原理が間違いでなければ、魔石にも応用が出来るはずだ。いや、出来て欲しい。
複合魔法を連続展開して1時間。いくら魔力が無尽蔵とはいえ、体力は無限では無い。
軽いめまいを起こし倒れそうになった時、障壁内で変化が起こった。
軽い爆発音が起こったかと思ったら、箱が砕け透明感のある宝石が散らばっていた。
全ての魔法を解除し、早々に鑑定してみたら……出来ていたんだ。欲しかった魔石が!!
【鑑定】 魔石(極上)。雷属性。1グラムに付き電気供給100時間。魔力チャージ可能
まさか、本当に出来るとは…… しかも、極上って……
大きさは大小バラバラになったけど実験は大成功だ!!
それより集めなきゃ……喜びもつかの間、疲れた体を引きずりながらすべての魔石を拾い集めた。
作業が終わった頃、「何してたんですか?」とポタンさんとプラムさんがやってきた。
「それ……魔石ですか?」「しかも大量にありますね」「ダンジョンの産物ですか?」
二人から質問攻めだ。
自分で作ってみたとは流石に言えないよなぁ…… でもダンジョン産とも言えないし……
「実は…ですね…… ある実験をしてたら……。偶然に出来ちゃった物なんです。」
「……この魔石を作ったんですか?」
「これは……雷属性ですね」
「凄い凄い! 凄いですぅ~~。これで自販機も増やせますね~。あっ、これだけ有るんだから商業ギルドにも売ってくださいね」
「冒険者ギルドにもぜひ、お売り下さい」
いや…… 大量過ぎて逆に出せないでしょ……。
『今夜はご飯くれるよね?』
『分からんぞ……見ろ。フラフラだ』
『二日も生肉は嫌だなぁ~』
『我とて同じだ。でも無理にさせてみろ。また怒るぞ』
そこの腹ペコども!ご飯の心配より、俺の心配しろ!!
『『飯が大事だ』』
(こらポチタマ! このラストコーナーは、わしのコーナーなのじゃ!!)
いつ決まったの??
(…………いま?)