第二十六話 神様、自動販売機は反則ですか
大浴場に設置した集金システムで思いついた。
閉店後から稼働する自販機を置いたらどうだろうか?
雷系の魔石を使えば、地球のような電気が無くても動かせるかも?
しかも、このアンテナショップを閉じた後でも商品管理さえすれば良い。
売るのも日替わり弁当とポーションに絞れば問題ないはずだ。
「ポタンさ~~ん。雷属性の魔石って手に入りますか?」
「魔石ですか? 有りますが、そこそこの値段しますよ」
「いくら位ですか?」
「そうですね……大きさにもよりますが、最低でも5万ギル~ですかね?」
最低で5万ギルか……
急いで手持ちのお金を数えてみたら、いつの間にか180万ギルに増えていて驚いた。
調べたら宿の収入が大きかった。なんせ宿には支出する項目が無いんだよね。だってクリーン魔法かけるだけで新築同然、指紋一つ残ってないほど綺麗になるからね。
しかも、パーティーで泊まれば一人当たりの宿代が他の宿より安くなるとかで、常に満室。
えっ? ポタンさん?? ポタンさんは納戸棟の2階に、お気に入りの部屋を増設しています。
よし、奮発するか。これも投資だ。
ポタンさんに50万ギル程で買える魔石を用意してもらう事にした。
ネッとショッピングで適当な自販機が無いか探したが、結果は無い!
ジジィに (呼んだかのぅ?) 呼んでない!
(自販機がほしいのじゃろ? イメージをしっかり構築しればそれすら作れるぞい)
ありがとう。もういいよ。出てこなくて……
(だから……お主は冷たいのじゃ……)
お弁当部分は保温機能と腐敗防止機能を付けて、ポーション部分には常温に。
後は破壊防止と犯人拘留機能に……あれやこれやで以下省略。
完成!!
これに魔石を組み込んで作動すれはOKだ。
『おい、腹が減ったぞ。夜食は何だ』
『おいらもペコペコだよ~~』
自販機構想に耽ってたら、ポーチンとミタマが帰ってきてた。
「ゴメンね。今から作るよ」
『早く作るのだ』
『早くしてね~』
今からでも簡単に出来るもの……しゃぶしゃぶにしよう。
ピッグキトンの肉を薄切りにし、熱湯にくぐらせた後、冷水で〆る。
大根のサラダの上に盛り付け、胡麻ドレッシングを掛ければ出来上がり。
『おぉ~これも美味いぞ』
『肉にかけてあるのが香ばしくて美味しいね~~』
『おかわりだ』
『おいらもね~』
「それは、明日の日替わりになるやつですか?」
ポタンさんが魔石を持ち、涎を垂らしながら聞いてきた。無言のおねだりかな?
「いえ、違いますが……食べます?」
「ぜひ、お願いします」
待ってましたとばかりの即答が可笑しかった。
「「私たちもいますから……」」
という事で、リーザさんとセリナさんにもご馳走しましたよ。
皆を帰してから、自販機に魔石を嵌め込んでテストを繰り返し、不具合が無いことを確かめ、明日から稼働することにした。