第二十五話 神様、大浴場を開放しました
魔石のチャージ?
リーザさんが言うには、冒険者の武器には魔石が組み込まれていて、戦闘が激しくなればなるほど威力が落ちて行くので、魔力チャージが出来れば武器の威力を回復できるらしい。
ただ、魔力チャージはかなりの魔力を使うので、普通に魔法が使えるだけでは出来ないらしい。
「初めて聞いた話なので、魔力チャージが出来るかどうかわかりません」
(出来るはずじゃ。お主のチートはトータル創造魔法じゃからのぅ~ 魔力も無限じゃし)
……でたなジジィ……
(化け物みたく言うではないわ)
さいですか……
(もっともお主に柔軟な発想があれば、わしも苦労せんのじゃがのぅ~)
悪かったね……。もう帰っていいよ
(……いつも感じるが、扱いが雑なのじゃ……しまいにゃ泣くぞ……)
ポタンさんが持っていた魔石付きのペンに魔力チャージをしてみたら、思いのほか簡単にできた。
これを見ていたリーザさんが、なにやらポップを作り始め、出来たのは……
《 魔石のメンテナンス出来ます、魔力チャージはお任せください 》
できました。とニコニコ顔のリーザさん。有無を言わせないその雰囲気にオレは苦笑いだよ。
休憩も終わり、残り1時間半。セリナさんと明日の仕込みに入る。
本当はハンバーグ弁当にしようと思っていたが、肉以外にもと言われたので、急遽、ネットショッピングで白身魚のフライ(業務用)と卵は多めにし、お酢・らっきょうの甘酢漬けを購入したよ。
これはタルタルソースの中に入れると美味しいんだよね。
セリナさんにゆで卵の皮むきと、らっきょうの微塵切りをしてもらっている間に、マヨネーズを作る。
「魔力チャージお願いしま~~す」
リーザさんから声が掛かったので作業を中断し、鋼製の剣を受け取った。
まずは、鑑定を使って魔石の属性と付与魔法。それとパワー残量を調べてから、不足分を補う。
思ったほど時間もかからず、わずか3分で完了。ついでに鍛冶をイメージしながら、剣の修復もしてあげた。
そういえば、金額設定をしてなかったけど大丈夫だろうか?
リーザさんには魔石チャージ分だけを貰うようにお願いして、セーフエリアの様子も覗いてみた。
「これからの時間は、ここで野営するパーティーが増えてくるんですよ」と教えられた。
あぁ~だから閉店時間が早いと言われたんだなと納得した。
そうだ! 野営する人に向けたサービスをすれば利用者も増えるかも??
例えば、バーベキューセットがあるから、食材込みで夜食として売り出すとか、お風呂も入りたいよね…… あっ、宿の大浴場を開放したら喜ばれるかな? どうせ使われてないし……
思い立ったがなんとかで、少し離れますと言って、大浴場に。
空間魔法を使い、宿側からの通路を閉鎖して、ダンジョン側に通路を設けた。
番台も無いから入湯料はフリー設定にするか……別に儲からなくても良いしね。
脱衣所の入り口前に料金ボックスを置いて、1ギルでも入れないと開かないように設定した。
備え付けのボディー石鹸とシャプー・リンスの残量を確認したら営業開始。
念のため、盗難と破壊防止の魔法も掛けておくことにする。
店にもどり、リーザさんに看板をかいてもらい、入り口に設置した。
《 ダンジョン温泉・1ギル以上 》
ネーミングセンスに冷たい視線を受けたことはスルーしたさ。