第二十話 神様、おにぎり弁当が大人気です
今日から期間限定で、5階層のセーフエリアにアンテナショップを開く。
一応、冒険者ギルドと商業ギルドには話を通してある。
まもなく11時。開店の時間だ。
「ポタンさん。今日の日替わりは、おにぎりセットです」
「おにぎりセットですか?」
「まずは食べてみてください」
「…はい…。?? なんですかこれ~! これは売れます!」
「ありがとうございます」
「この茶色いのは何ですか?」
「それは唐揚げ。鶏肉を揚げたものです」
「これも美味しい」
「でしょ~。で、お店は180個、ダンジョンは20個とします」
「少ないです。追加を用意してください。それで値段は?」
「50ギル」
「安すぎ。200ギルで売りましょう」
「…ではお店は100ギル。ダンジョンは…50ギルにしたいな?」
打ち合わせを終え、5階層に記した魔方陣に空間魔法で繋ぎ、店の窓を開けた。
イメージは、某Mマークのドライブスルーと言えば分かるかな?
ダンジョン側にカウンターを設け、おにぎりセットと各ポーションのポップをセットし、準備はOK。
11時開店。
地上店は、すでに常連化?した客が来はじめた。試食もしてもらい、12時には150個が売れ、残すは30個。
ダンジョンは?と言うと、12時を過ぎた頃にセーフエリアの利用者が来はじめた。
「おっ、こんなところに店がある」
「昨日来たときは無かったわよ~」
「ねぇねぇ~おにぎりってなに??」
「俺も初めて見るぞ」
などと、遠巻きに話題にされているものも、近寄ってくる人は居なかった。
まぁ~こんなもんだとは思ってたけどね。
「あのぅ~。お願いなのですが…」と、ひとりの女の子がやってきた。
「実は、お水を切らしちゃって、補給してもらうことは出来ますか?」
おぉ~これだよこれ。こういう要望を拾うのがアンテナショップの目的だからね。
「もちろんできますよ。水筒1本に付き1ギルだけど、このおにぎりセットを買ってくれたらサービスで水筒5本まで補給しますよ。あっ、これ、食べてみて」と試食のご飯を勧めた。
「美味しい!これ、なんですか?」
「お米です。ほんのりと甘いでしょ? これで作ったのものです」
「ひとつ下さい。でも…、おいくらですか?」
「ココに書いてあるけど、50ギルだよ」
「2個ください。あと、お水もお願いします」
はいよ。って感じで100ギルを受け取り、水筒5本に水を補充してあげた。
この子をきっかけに冒険者たちが群がり、オレは修羅場を味わった。
そういえば、今回も前回もジジィが出て来なかったな…。
静かでいいや。