第十六話 神様、犬と猫が従魔(ペット)になりました
「お待たせしました。私が冒険者ギルドのギルマスで、テトロン・ホーデンです」
「オオサキケンモです。よろしくお願いします」
「お訪ねの件は紹介状にも書いてありました。神様の命を受けているとか。何か証明できるものはありますか?」
「証明ね……」
(ワシが直々に説明しようぞ)
いや、神様は人前に出られないって言ってたでしょ……
(この機を逃したらワシの出番がなさそうじゃから……)
なさそうだからじゃなくて、おとなしくラノベでも読んでて。
『では、我が証明しよう』言うや否や犬が大きくなった。
『我は犬ではない!フェンリルだ!!』
ほら、ギルマスが腰抜かしてるから。もう少し穏やかに行こうよ。
『我は偉大なる神、イーカン様の神使である。主の命を受けこ奴の元に遣わされた。そこなる人間よ。こ奴の手助けをするようイーカン様に成り代わり命ずる』
『おいらは普段は小さくなっているけど……ほら。これが本来の姿。霊獣ダイヤモンドタイガーだよ。おいらもこの人間の味方だから、よろしくね』
『イーカン様は、ご自身がお造りになられたダンジョン内で売店を開くようこ奴に命じた。これより下見を兼ねてダンジョン内に入る故、手筈を整えよ。これは神の命であるゆえ、心せよ』
もう~事を大きくしないで……。
「えっと……、ダンジョン内でお店を出すための準備で、ダンジョンに入るつもりなんですが、この犬と『フェンリルだ』猫を『猫じゃないよ~』連れて行きたいのですが……大丈夫でしょうか?」
「いや……えぇっと……従魔登録をして頂けましたら……自由にお連れ出来ます」
「では、従魔登録してもらえますか?」いいよね? と二人?に聞いたらOKをしてもらえた。
「わ……わっ…わかりました。お……おっ…お待ちください」
ギルドカードを渡すと職員を呼んで指示をだし、ふたたび話を続けた。
「ところで、どのようにお店を出すつもりですか?」
「先日、商業区の外れによろず屋というお店を出したのですが、そことダンジョン内のセーフエリアに空間魔法で繋ぐ予定ですが、一度そこに行かないと繋げないのです」
「なるほど。で、この神使様と霊獣様がお供されると言う事ですね」
「はい。オレはまだDランクなので護衛役が必要なんです」
「えっ、Dランクの冒険者なのですか?てっきり商人かと思いました」
「……両方登録しています」
「そうでしたか……。しかし、神使様と霊獣様を従魔にされているお方がDランクというのもアレなので……私の権限ではBランクまでしか上げることが出来ませんが、ランクアップをさせて頂きます」
おぉ~そんなことできるんだ。でもDランクのままでも良いだけどね。
「あとは、ジジィ…神様と相談して詳しくお話が出来るようになったら、改めてお力添えをおねがいします」
「今後の事は受付に話を通しておきますので、何かあったら直接私にお話しください」と、
新しくなったBランクカードを貰い帰宅した。