第十三話 神様、この犬なんですけど
足元に纏わりつき、話しかけてくる犬。
嫌な予感に、ことごとく無視をして、急ぎ買い物も済ませ帰宅した。
案の定、付いてきた。
『おい、無視をするな。我を誰と心得る』
誰と心得るって、黄門様かよ。と、突っ込みながら話を聞くことにした。
「で、さっきから何?家まで付いてきて」
『やっと答えたな。我はイーカン様の神使。フェンリルのポーチンだ』
「へっ、ポチ?」
『ポチではない!ポーチンだ!!』
「その名前、誰が付けたの?」
『親愛なるイーカン様だ』
もうポチでよくない?どう見ても犬だし……
『おい。いまポチで良いとか思っただろ』
何でわかったんだ?? 心読まれてる??
「そ…そ…そんなこと…思ってませんよ」
『フン、顔に出ておるわ』
うぉ~正直すぎるぞオレの顔。ポーカーフェイスを覚えねば。
「で、神使様がなんでオレのところにきたの?」
『イーカン様のご命令だ』
あっ、さいですか……
「おいジジィいるんだろ。出て来いよ。あっ、やっぱ来なくていいわ」
あっぶなぁ~下手に呼ぶとまた話がおかしくなるからなぁ~。
いつまでもダンジョンにお店が開けないと読者も離れる。
いや、怒り出すころだ。いつまでも引っ張るつもりだ!って。
話を進めるためにも、お犬様には早々にお帰りただくか。
『おい。我は犬ではない。フェンリルだ』
だから何でわかるの? 顔に出てた??
「お主、ワシを呼んで、やっぱ来なくていいとは何じゃ? もっと早く呼ばれると思っとったぞい」
あぁ~来ちゃったよ…。ジジイが出たがりなの忘れてた……。
ジジィの話では、ダンジョンに店を出す前にオレに潜って体験をして来いと言った。
ただ、俺はDランクで大変だろうと、ポーチンを伴に連れて行け。と言うことだった。
「おい、ワシのセリフを平書きで済ますとは意地悪じゃのう。しまいにゃ泣くぞい」
「でさぁ~ 餌とか分からんし、世話できんぞ」
『我は神使ゆえ、世話も食い物は要らん』
「それは助かる」
「ワシは置いてけぼりか」
だけどこの生意気な子犬とダンジョンに潜るは面倒だなぁ~ 「ワシを無視するな」
『フェンリルじゃ!犬ではないぞ。って、子犬扱いか!』
あと、お店はどうしようかな?
こういう事は開店前にして欲しかったよな~、
もうジジィ案件は全部が後手後手なんだよなぁ~。
「おぉ~忘れとった。これを渡そうと思っとったんじゃ。これはのう~ 痕跡の魔石じゃ。空間魔法で移動するには一度行った場所じゃないと行けぬからのぅ~ この石で魔方陣を刻んで来るのじゃ。さすれば次回から空間魔法でそこまで移動できると言うわけじゃ。使い方はポーチンに教えてもらえばいいのじゃ。ふぅ~ 今度は言い切ったから満足なのじゃ。ではさらばじゃ!」
「ジジィ、犬を回収していけ」
『我はフェンリルじゃ』
もういいよ……