詩「後ろ姿の完了」 2018 10 16
「後ろ姿の完了」 2018 10 16
間違いないという間違いを探しておぼつかない足元を見ないようにする
隣の家の窓が開くとしょうがないと思いながらこの家の窓を閉める
あの犬は後ろ姿しか見たことがない
昨夜の叫び声は見渡すと黒だった
あなたは「間違いない」とよく口にする
かといって訝しいフリをするわけにはいかず
よくわからないうちに期限が迫り「そうだね」と言ってしまう
子連れの親子がいる
子どもは振り向かず結局私は一定の距離で子どもの後ろ姿を眺め続ける
人生は誰かの後ろ姿についていくのみなのだろう
私には価値という言葉に意味を見出せない
果たして「主体性がない」という言葉は人に向けられるものなのだろうか
すると私は犬以下なのだろうか
おぼつかない足元には重力が発生している
気を抜くと足音は空に消える
隣の家の窓に吸い込まれてしまう