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師匠降臨


★第22話目


目が覚めると、そこは見慣れた天井。

自分の家の居間だ。

あれ?何で俺はここに……

いつもの神社で、イソギンチャク系魔族に襲われて、そこにグライアイと謎の鎧武者のおっちゃんが現れて……

「そ、そうだ!?」

ガバッと勢い良く跳ね起きる俺。

どうやらソファーの上に寝かされていたようだが……

と、不意に人の気配を感じ振り返ると、そこには白衣を着たおっさんが佇んでいた。

その腕の中には、黒兵衛がいる。

良かった、生きてて。


「し、師匠ッ!?」

今なら分かる。

このおっちゃんは、俺が敬愛する喜連川の主治医の先生ではないか。

何で今まで、出会っても思い出せなかったんだか……

「え?あれ?何で師匠がここに……ってか、俺は一体……」


「ハッハッハ……全てを思い出しかね、神代クン」

師匠はナイスな笑顔を見せながら、戸惑う俺の肩をポンポンと軽く叩いた。

そのダンディーな微笑み……さすがだ。


「し、師匠。お、俺……どうして忘れて……いや、それよりも、何が何でどうなっているんだか……」

まだ記憶は混乱中だ。

俺は魔女様に無理矢理、魔界へ送り込まれ、そしてプルーデンスやリステイン、グライアイと知り合って……

ってか、あの襲って来た魔族はなんだ?

何でこの世界に?

いや、それよりも、プルーデンスやリステインが転生した女の子を捜さないと……

それが約束だし……

それに、まどか達も。

ん?あれ?何でアイツ等は消えて……


「大分に混乱しているようだが……まぁ落ち着け。順を追って説明しよう」

師匠は苦笑を溢しながらそう切り出した。

「その前にだ、神代くん」


「な、なんですか師匠?」


「うむ。……お茶とお茶菓子は無いのかね?」


「こ、これはとんだ粗相を……」

俺は慌てて急須にお湯を入れ、お煎餅を皿に盛って、それをテーブルの上に置いた。

黒兵衛にも、取り敢えずジャーキー的な猫用おやつを用意してやる。

「で、師匠……詳しい話をば」


「ふむ……」

ソファーに腰掛け、煎餅を齧りながら師匠がゆっくりと口を開く。

「そもそも、全ては神代クンが異世界へと赴き、かの地で冥府の門の番人である、リステインとプルーデンスと出会った事から始まる。その辺りの事は既に思い出しているじゃろ?」


「え、えぇ…まぁ……って言うか、何故に師匠がその事を?何で知ってるんです?」


「……ま、ワシはちょっと特別でな。今回の君の因果にも関わりがあるし、何より、のどかお嬢さんに、まどかチャンの魂を救う方法を教えたのは、実はワシじゃ」


「うぇッ!?と言う事は、もしかして俺が魔界へ行ったのも……」


「もちろん、ワシが推薦した。神代君しかいないと、お嬢さんに薦めた」

師匠はそう言って、美味そうにお茶を一飲み。

そして茶目っ気な顔で、

「実際、君にしか出来なった事だろ?」


「ぬ、ぬぅ……そりゃまぁ……確かに」


「そして君は無事にミッションを終え、人界へ戻ってきた」


「リステインもプルーデンスも死んじまったから、無事と言って良いのかどうか……や、それよりも、そこから記憶が飛んでるんですよ。魔界へ行ったのは9月頃なのに、記憶的には3月からで……しかも高2から出直しで、まどか達とも出会ってなくて……」


「因果の消失、そして発生による時の強制力が発動したからじゃよ」


「ど、どーゆー意味で?」


「ふむ……この辺りの事は少々複雑でな。説明が難しいので少し端折って話すが……君と言う人間が、この世界から消えた。これが因果の消失だ。ま、普通は人間が一人二人消えたところで、時の流れにそれほど影響は与えない。が、君は特殊な因果を持つ者だ。故に、君が別次元……魔界へ行くと同時に、この世界で強制力が発動した。今と同じ状況じゃよ。分かるかね?君と言う個人が存在しない世界として、新たに構築された。歴史そのものの塗り変わりじゃな。ここまでは理解できたかね?」


「な、なんとなくは……」


「うむ。そして再び、神代君はこの次元世界へと戻ってきた。因果の発生じゃ。これにより、この世界では再び強制力が発生し、神代洸一、と言う個が存在する世界として構築された」


「な、なるほど。でも何で時が遡ってるんです?俺と言う個人が存在する世界なら、魔界へ行った時の時間に戻せば早いのに……」


「……魔界にて、神代君はリステイン、プルーデンスと言う個と交わったからじゃ。これにより、新たな因果が発生した。それを基点とし、新しき因果律が形成された」


「???」


「ま、分かり易く言えばじゃ、色々と辻褄を合わせる為に、皆と出会う直前と言う場面まで、時間軸が戻ったと言う事じゃな。もちろん、記憶も含めてな」


「むぅ……確かに、魔界の事とか何にも憶えてなかったですけど……でも、辻褄を合わせるとか、どう言う意味です?皆と出会う前って……俺がのどかさんやまどか、真咲姐さんや優ちゃん達と知り合う前って事ですよね?何か関係があるんですか?」


「分からんかね?」

言って師匠は、どこかニヤリとした笑みを溢した。

「リステインやプルーデンスの生まれ変わり、人間に転生したのがあの娘達だからじゃよ」








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