Fm収容所
続けて二話目まあ、正しくは一話目です!
「かっけぇーー!」
高速道路を走るバスの中から和田和宏は身を乗り出しながら遠くに見える平和の象徴の像、Fmを見つめながらそう呟く。
「和宏君、危ないよ〜!」
今にも乗り出しそうな和宏をあわあわとしながら止めているのは同じ部隊に所属することになるだろうクラスメイトの相川沙奈。
容姿は非常に整っており美少女と形容出来るほどだ。タレ目気味の優しい眼差しに常に笑顔を絶やさない。
ボディは出るところは出て締まるところは締まるという完璧なプロポーション。髪は艶やかな黒髪をサイドテールに纏めて肩の方に流している。
実際ファンクラブなど判明してないのも含むと恐らくは100はくだらない。
性格は明るく社交的、しかしいわゆる天然なところもありそこがポイントでそのお陰で星の数の男がノックアウトされたのは言うまでもないだろう。
しかし、そのような美貌を誇ってると言うのに言い寄ってくる男は皆無と言っても等しい。
何故かというとその理由の大部分は和宏にあった。
和宏の容姿はいたって普通、でも平均より少し上というレベルで、沙奈と何故そこまで仲睦まじく話してるのかは周りのものは謎に思っているが、何より和宏と話している時の沙奈の表情は、輝いているのだそれはもう恋する乙女のように。
実際沙奈は和宏の事が気になっている、それはあるきっかけがあったことで異性として認識するようになったのだ。
ちなみに二人が出会ったのは今から丁度二年ほど前だ。
周りから見たら二人は付き合ってるように見えるが実際は付き合っていない、和宏も沙奈の事はある程度は意識してるっちゃしてるのだが自分の事は友達だと思われてるだろうと、某ラノベの主人公達顔負けの鈍感さを発揮している。
ある程度はある程度なのだが…
…まあ、その割りには沙奈が和宏にお弁当を作ってきたり一緒に登下校したりしているのでそれはもう…勘違いされてもしょうがないだろう。
実際学校の中でお似合いカップル決定戦みたいなのがあった時だんとつで一位を取ったのがこの二人というほど周りのものたちからも公認の仲なのだ。ちなみに決定戦があったことを和宏と沙奈の二人は知らない。
なので男達も嫉妬はするが二人の初々しいやりとりを遠巻きで見て女子と混ざって和んだりしていることも多々ある。
「分かった分かった、だから服引っ張んなよ」
「もう、はしゃぐのもいいけどもっと落ち着いてね和宏君、こっちが心配しちゃうんだから」
「はいはい、了解しました、沙奈さんっと」
「ふざけないでよ〜!」
「わるいわるい」
注意された和宏は悪びれもなく笑いながらからかうように敬礼する。
それに対して沙奈は頬を膨らませながら和宏の肩をポカポカと叩く。
周りのもの達は何か甘いものを食べたかのような感じになりながらその様子を見ている。
「はいはい、お二人さんイチャつくのはそこまでにしなさいな」
「「イチャついてない(よ)!!!」」
そんな二人をかからかうように注意したのは和宏の小学校の頃からの腐れ縁の友人、沢田研二だ。メガネをかけていてちてきな雰囲気がするが実際はおちゃらけたような口調から察するに普段から和宏と沙奈の二人をからかったりしている。
「おいそこー、はしゃぎすぎるなよ、そろそろ着くからピシッとしろ」
三人ではしゃいでいると先生が注意してくる。
「すいませんでしたー、以後気をつけます!」
「全く、お前はそういいながら気をつけようとしないじゃないか…」
「いやー、それほどでも〜」
「褒めてない…」
態度を正す気配もない和宏に先生はもう呆れている。
いつも通りというかそのように過ごしているとFm配備軍に到着する。
ここにはFmが約20機駐屯しており入口のところには4体程のFmがそこに立っている。
直角を主体としたフォルムに頭や膝などの関節部分には流曲線が施されている。
現在そこに立っている2機は銃火器などを多く積んでることから攻撃型遠距離タイプのFmと分かる。
残りの2機は攻撃型近距離タイプだろう。見えるところには主な武器は見えないが収納式に長けているのか腕や脚などが遠距離タイプと比べると大きく盛り上がっておりあとは腰に柄だけの剣が備わっている。
この剣は高出力のブレードを出すことができるいわゆるビームソードの様な物だ。刃は主にプラズマで構成されていて切断面などは熱で焼けただれることになるだろう。
「生Fm始めて見たわ、やばい、かっけえ!」
主に男子生徒がハイテンションになりながらFmを見ていると4機のFmは右腕を胸の高さまで持ち上げ軍隊式の敬礼を取る。
その行動に男子生徒の興奮のボルテージも上がる。
バスはそのFmの前で停車して先生の指示でぞろぞろとバスから降りる。
やがて生徒の整列が終わると一機の近距離型Fmのハッチが開きそこから隊長らしき人物がワイヤーをつたりながら降りてくる。
そして隊長らしき人物は生徒を一瞥すると声を張り上げる。
「生徒諸君、本日はFm駐屯機関"大和基地"に来日頂きご足労だった。俺は今日案内をさせてもらう、陸軍軍曹、柳浩昭だ」
そう言って浩昭は敬礼する。
それにつられて生徒達も姿勢を正す。
「それでは、これから大和基地の案内をさせて貰う、ついて来てくれ」
そう言うと浩昭は自分が乗っていたFmにハンドサインを出すと他のFmと一緒に隊列を組みズシン…ズシンと重い音を立てながら生徒たちを囲うように歩き出す。
そして5分程歩いたところには高さ25m程のFm収容所がある。
何故高さがそれほどあるかというとFmの大きさは基本14.5mあるのだ。整備などをする時には立たせることもある、つまりそのくらい大きさがなければ収容は出来ないのだ。
「ここはFmの収容所、ここでは主に整備を行っている、そしてこの奥には会議室がある、今回はそこにて講義をさせてもらおうと思う」
それから生徒達は会議室に入り込み講義をしてくれる浩昭をキラキラとした目で見つめている。
その純粋な視線を受けている浩昭は少し微笑ましそうにしてから壇上に上がり講義を始める。
「それではこれから講義を始める、疑問に思うことなどがあったら遠慮なく言ってくれていいぞ」
そう言うと後ろにあるスクリーンにデカデカと"Fmについて"というロゴが映し出される。
「皆も知っているだろうがFmとは"FutureMachine"の頭文字を取りFm、何故Fmかというと初めて戦闘に参加したのは1945年、つまり今から70年前、第二次世界大戦の時に得た文字通り未来の技術だったのだ、次はFmの分類についてだ」
そう浩昭が言うとスクリーンの画面は変わりFmの分類について説明に移る。
「基本Fmは大まかに分けると"攻撃型""機動型""支援型"の分類に分けられる、そしてさらにそれらを分類すると」
そう言うとスクリーンは攻撃型と書かれた画面に変わる。
「攻撃型は"近距離型""遠距離型"に分けることが出来る、先程見ただろうが銃火器を多く積んでいたのが遠距離型、刃のない剣を持っていたのが近距離型だ、俺はその近距離型を専用機として使っている」
次にスクリーンに映し出されたのは機動型。
「次に、機動型は主に"高機動型""飛行型"に分けられる、高機動型はそのままだが飛行型は少し違う」
そして、次は飛行型が飛んでいるシーンが映し出される。
「飛行型は追加ユニットなどを付けていないと短時間飛行、まあ簡単に言うと跳ぶことしか出来ないのだ」
「それじゃあ飛行型は飛ぶことは出来ないのですか?」
跳ぶことしか出来ない、その事を疑問に思った和宏は手を上げて疑問点を聞く。
「いい質問だな、その答えはな、飛行型でも追加ユニットを付ければ長時間飛行を可能にする事が出来るのだ、その追加ユニットの名は"イカロス"このユニットを付けることで垂直の飛行だけではなく横への飛行を可能にしたのだ、まあイカロスと言う名で察することが出来ると思うが連続使用は二時間が限界だ」
肩をそこで竦める。
ネーミングセンスが皮肉を込められていることを浩昭は察しているからだ。
浩昭は次にと声を張り上げる。
「そしてこれがFmを未来の技術たらしめる能力だ」
画面が変わり演習の映像に変わる。
画面の両端にはFmが立っており片方はハンドガンをその手に持ち、もう片方はその手には何も持たないで距離をおよそ100m程離れている。
そして演習始め!と大きい声が上がるとハンドガンを持ったFmが片手に持ったハンドガンの照準をもう一体のFmに合わせその引き金を引き弾丸を吐き出す。
生徒達が当たると思い息を飲むがその予測は大きく外れる。
打たれたFmはまるで予測したかのように弾丸を避けたのだ。
それからも弾丸をばら撒くがことごとく避けられ終いにはハンドガンを二丁構えてタイムラグをつけながら打ち出す、しかしその弾丸をFmは全て避ける。
そして弾を打ち終えたのかカチッカチッとハンドガンが音を立てる。
そして打たれたFmは…全くの無傷だった。
生徒達は驚愕に目を見開く。
そして浩昭は自慢げに胸を反りながら。
「これがFmが誇る、演算コンピュータの能力だ」
浩昭曰く
演算コンピュータとは風速、弾丸の速度、動作、などから計算し、着弾地点を予測することが出来るコンピュータだという。
勿論攻撃なども予測する事が出来る。
しかし、その演算コンピュータも 万能ではない、視界に入っていない攻撃に対しては無力なのだ。
なのでFm搭乗者のおおよその死因は演算コンピュータの能力を過信することだ。
それに着弾地点などを計算出来ても機体の操作などを誤れば攻撃を受けてしまう。
「つまりはFmの演算能力も万能ではない、生徒諸君の中でFmに乗りたいという人もいるだろう、しかし、演算コンピューターの能力を過信するな、与えられた力だけで満足するな、戦いに身を投じた時点でお前らは守りたいものを守るために力を求めろ!…だがな、例え力が無くても今は出来ることを精一杯やればいい、守れるものを精一杯今持てる力で守り切れ、俺から言いたいことはこれだけだ、これで講義を終わる」
熱が入ったように浩昭が語った言葉は生徒達の心に響いた、ただFmに乗りたいと思ってた生徒はこの言葉を聞いて考えを改めただろう、その中に和宏も含まれており和宏は守りたいものを思い浮かべて、必ず守るのだと決意を固めた。
王道ロボットものが書きたかった!
あともう一回あげると思います。