第六話
~序章~
第六話『東京迷宮 遺跡編 その3』
順調に何階層も上がって行って
この遺跡の一番高いと思われるところまでやってきたみたいです
今まではいくつかの部屋があったりして
歩いて移動して
階段を発見しては上の階に進んでいたんだけど・・・
「この階はこの部屋だけなの??」
「そのようですわ・・・ここで、ボスの部屋に行けるヒントを見つけるのでしょうか」
行けるヒントって、どういうことなんだろう
あたしはこの階にボスが住んでいるのかと思ってたから
ちょっぴり不思議です・・・
「転送システムか召喚システムか単純に行き止まりか・・・サーチしても平気でしょうか??」
「サーチは唯ちゃんの掌握が優先されているから、問題ありませんわよ」
あたしのスキルの効果があって、アクアちゃんのサーチがトラップに引っかからないんだって
さっきみたいにアクアちゃんが倒れないってことだよね
じゃあ・・・問題ないのかな
「サーチ レディ オープン!!」
部屋の中央でしゃがみながらスキルを使っている
地面が青く染まっていって
そのまま壁と天井と全部が青い部屋みたいになっている
「転送装置があるみたいです・・・地下にボスが潜んでいるようです」
「では、今現れたあれが装置ですわね・・・アクアちゃん、ありがとうですわ~♪」
グリーンさんが壁にある機械を操作している
さっきはあれなかったよね??
これがアクアちゃんのスキルで見えるようになったんだ・・・
「すぐにボスの部屋に行くのかな・・・」
「どうでしょうかね・・・地下に転送はすぐにできますよ」
転送ってどういうようになるのかな・・・
地下って、エレベーターみたいになるのかな??
アクア(空間転送で、ここから地下の部屋に瞬間的に移動されるんです)
唯(瞬間移動ってこと!!)
アクア(そういうことになります・・・あ、唯ちゃんの世界ではまだその技法はありませんね)
唯(アクアちゃんの世界では、あるの??)
アクア(地球だけ特別な場所らしいです・・・全ての基礎らしいですから)
唯(地球が基礎って、何を言ってるの??)
アクア(ここを含めて、地球以外の世界は全て幻想の風の中ですから)
唯(幻想の風?? 何それ・・・)
アクア(地球を守るために眠り姫の聖域を発動させたリーア様が築いた世界です)
唯(地球を守る?? 何かあるの・・・リーア様って誰??)
わかんないことが本当に多すぎます
あたしの知らないところで、何が起きているんだろう
地球が危ないってことなのかな??
「お二人共・・・転送開始しますわね??」
「唯ちゃん、ワタシに掴まっていて下さい!!」
「あ、うん」
転送ってどうなるんだろう・・・
ちょっと、期待と不安が同時にあるよ~♪
「イグニッション エンター ロード!!」
グリーンさんが機械操作をして
その機械から声がして
その瞬間に、目の前が真っ暗になった!?
「わわっ!!」
明るさが戻ったかと思うと
さっき見た部屋とは違う部屋にいた
これが転送なんだろうか・・・
「地下階層に移動してきました・・・もっと下層があるようです!!」
「ボスは最下層ですわね・・・唯ちゃん眼鏡越しで下を見てもらえますか??」
何だろう・・・
言われるように眼鏡をしたまま下を見てみた
「・・・あ!!」
これって・・・ボスだよね??
属性:水属性
弱点:火属性
戦闘力:50000
形態:地上系・防御型
距離:10m
「唯ちゃん・・・情報出ましたか??」
「あ・・・ボスの情報出ました~!!」
戦いに備えてってことかな
グリーンさんが何かしています
アクア(先制攻撃を阻止するために聞いたんだと思います・・・)
唯(あたしに攻撃させないためってこと??)
アクア(そうです、ワタシもそうですから・・・)
唯(女神への進化を阻止させるためか!!)
あれ・・・今の何??
あたしが勝手に喋ってるよ・・・
アクア(あなたの本性が隠れているんでしょう・・・)
唯(・・・あたしの本性??)
アクア(進化への道が、思った以上に早いのかもしれません)
唯(アクアちゃんは、あたしをどうしたいですか??)
アクア(一緒にいたいだけです!!)
唯(それは、あたしもアクアちゃんと一緒にいたいよ)
アクア(その気持ちをずっと抱いていただければ・・・ワタシは特には望みません)
どういうことなんだろう・・・
あたしの気持ちが変わってしまうのかな??
そんなことないよ!!
「唯ちゃんは、ここで待機してもらえませんか・・・アクアちゃんも一緒に待ってて下さい」
「グリーン様だけで、ボスを退治されるということですか??」
「そうなりますわね・・・五万くらいでしたら、ソロでも対応できます」
「託しても、いいのですね??」
あれ・・・あたしのために無茶するってことですか??
そこまでして、あたしの女神への道を遅らせたいと・・・
何か、もどかしい気持ちですね
アクア(詳しくはまだ、言えませんが・・・きっと、唯ちゃんもわかってくれると思います)
唯(う~ん・・・)
意味はわからないけど・・・
変わらないよ、きっとではなくて絶対にね
アクアちゃんがずっとあたしの隣にいるなら、大丈夫~!!
「では・・・パッシブではない、先制攻撃をお見せしますわ」
「よろしくお願いします、グリーン様」
あれ・・・グリーンさんがいないよ??
ん!?
おおっ、下に移動してる~!!
「風属性の特性で、移動に特化したスキルがあるんです・・・高速で移動できるスキルを使用しています」
仲間が戦いを開始すると表示が出てる~??
シーカーシステム:グリーン・高速スキル発動
シーカーシステム:グリーン・ボスと交戦開始
シーカーシステム:グリーン・攻撃スキル発動
このシーカーシステムって何だろう??
本当にわかんないことまだ多いよ
でも、グリーンさんの行動がわかるんだ・・・
このデバイスって、本当にすごいね
「詳細を出すこともできますよ・・・今の状態は起きている事柄の表示のみだと思うので」
「へぇ~、詳細って詳しくわかるってことだよね??」
どうなるんだろう・・・
シーカーシステム:グリーン・ファーストステップとオールストーム使用
シーカーシステム:グリーン・エリアボス『ブルーエレメンタル』へ攻撃を開始
シーカーシステム:グリーン・セカンドステップとエアロアタック使用
おお~あとはスキルの説明も見てみよう~♪
ファーストステップ:先制攻撃・風属性の特殊スキル三段階の手順で1セット目、誰よりも初動できる
オールストーム:移動兼攻撃・風属性の高速移動と高速攻撃を同時に可能とするスキル
セカンドステップ:先制攻撃・風属性の特殊スキル三段階の手順で2セット目、連携して行動できる
エアロアタック:多段攻撃・風属性の連続攻撃スキル、無数の風の刃を発動させて対象へ攻撃できる
説明がわかりにくいよ~!?
もっと、あたしでもわかるようにならないのかな・・・
これって・・・あたしがおバカだから悪いの!!
ううっ~
アクア(ワタシでよければ、もう少しわかりやすく説明してみますが??)
唯(アクアちゃん・・・あたしが悪いのかな、デバイスの説明はわかんないことが多いの・・・)
アクア(唯ちゃんは、悪くはありません・・・世界の違いですから、仕方ありません)
唯(う~ん・・・そうなのかな)
何か、アクアちゃんが・・・あ、本当にそう思ってるのか~♪
お互いの心がわかるのは、こういう時は便利と思っちゃう
ごめんねアクアちゃん
アクア(いえ、自由に心をわかるようにしたんです・・・唯ちゃんの好きにして構いませんよ♥)
唯(あたしの心もアクアちゃんの好きにしていいよ~♥)
何か嬉しくなってきた~♪
二人で繋がっている感覚って、いいよね~♥
説明・・・アクアちゃんの
アクア(どの説明からしますか??)
唯(正直、全部なんだけど・・・終わったら、順番に教えてくれますか??)
アクア(そうですね・・・今後の分析にありますから、グリーン様も含めてお話します)
唯(うん・・・お願いしま~す!!)
わ~い!!
何か楽しみができたよ~♪
シーカーシステム:グリーン・サードステップとファイナルアタック確定
シーカーシステム:グリーン・ボス沈黙
シーカーシステム:戦闘終了
あ・・・勝ったのかな
グリーンさんがボスを倒したみたい
アクア(ほぼワンサイドな戦いみたいでしたね・・・圧倒的な勝負)
唯(わ~!! すごかったんだね??)
「属性解放の遺跡だったようですわ・・・アクアちゃんのね~♪」
「ワタシのでしたか・・・だから水属性の敵ばっかり出てたんですか」
何々!!
アクアちゃんの何があったの??
アクア(ワタシの能力が解放されるようです・・・)
「最下層に祭壇がありました・・・」
「では、そこでワタシの解放がされるのでしょうか??」
よくわかんないけど、アクアちゃんが強くなれるなら
じゃあ、祭壇って場所に行ってみましょう
「グリーンさん、ありがとうございました~!!」
ボスを倒してくれたので、お礼したよ
一人で頑張ってくれたから
直接戦っているところを見れなかったのは、少し残念だったけどね・・・
「祭壇は地下6階みたいです・・・」
「そのまま、安全に進めますわ」
敵とかトラップとか、ないのかな??
安全なら、いいよね
「よ~し・・・祭壇に行きましょう~!!」
「はい、行きましょう」
3人で地下を進んでいったよ~
天井に照明があるんだけど
薄暗い感じで
ちょっと、怖いかも・・・
「お二人共、足元に注意して下さいね??」
「平気です!! スキルで足場安定させていますから・・・」
へっ??
アクアちゃん・・・スキル使ってたんだ~!?
って・・・あ、本当だ~♪
「アクアちゃん、ありがとう~♥」
「いえ、当然というか・・・パッシブですから問題ありません~♪」
うふふ・・・アクアちゃん、あたしがお礼したから~
少し照れてるよね??
リンクの使い方、段々わかってきちゃった~ふふ~ん、ふふふ~♪
アクア(恥ずかしいですか・・・唯ちゃんに言われるなら、お礼は何でも嬉しいです)
唯(ふぅ~ん・・・そうなんだぁ~?? じゃあ、沢山お礼することになりそうだね~♥)
嬉しいかも・・・あたしもアクアちゃんにお礼できるようになりたいな~??
でも、あまり頑張りすぎるとダメなんだっけ・・・何かちょっとだけ不公平だったりするよぉ~!!
アクア(・・・しかし、唯ちゃんだけは特別なんです!!)
強い口調で言われてしまった感じです
実際喋ってないからわからないけど
伝わってくる感覚は、そうだったの・・・
アクア(すいません・・・でも、でも・・・ああ~もどかしい、うううっ!!)
唯(そこまで悩むことなの・・・ねぇアクアちゃん??)
苦しみに近い感じでアクアちゃんが、ずっとあたしのことで・・・
早く、悩みを共有か解放させてあげたいよぉ~!!
アクア(ご迷惑をおかけしてしまっているようですね・・・でも、心配してくれて嬉しいです)
アクアちゃん・・・どんどん、あたしも頑張るよ
出来る範囲でね~♪
「ここが祭壇の部屋ですわ・・・アクアちゃんが一人で入ったほうがいいかも」
「はい、お二人共・・・少し、お待ち下さい」
あたしとグリーンさんに頭を下げた
それで、部屋の中に入っていった・・・
「アクアちゃん・・・気をつけてね~??」
アクア(声が届かないと、困るから・・・こっちで)
唯(あ・・・うん)
アクア(十分に気をつけて、おきますね)
こっちを見ないで、心に話してくれた
段々、喋りと語りが混ざってしまいそうなんだけどね・・・
いつも一緒にいるなら、どっちでもいいかな??
唯(あ、ごめんね・・・終わるまで少しだけ静かに待ってるから)
やっぱり集中したほうが、失敗とか減るよね
できるだけ、おとなしくアクアちゃんを見守ることにしました~
「唯ちゃん・・・最後に君もこれやると思いますので、眼鏡越しに見てて下さいな??」
「あ・・・はい、これをあたしもするのか~」
さっき、一度しまったんだけど
またスイッチを押して眼鏡を出したよ
このデバイスから出てくる眼鏡で見ると
色々と情報を教えてくれるから
最後って言ってたけど・・・あたしも
アクアちゃんのやっているのと同じことをするんだって
「そんなには難しいことは、ありませんが・・・一応ですわ」
「うん・・・一応なんですね」
とグリーンさんと話していたら
アクアちゃんの近くで光が出てきた・・・
やっぱり、青い光なんだね
属性によって色が決まっているのは、わかりやすくて
あたしでもわかるのがいいかも
グリーンさんの言っていたように
見て難しい感じではなかった
部屋の奥に何か置いてあって
その前でしゃがみこんで、お祈りをしているみたい
何かを喋るとか、念じるとか
そういうのもないみたい
ただ、青い光がアクアちゃんの身体に入っていくみたいに見える
力をもらっているのかな??
あとでアクアちゃんに聞いてみれば、わかるかも~
デバイスの情報で
アクアちゃんが儀式??を始めてから
10分が過ぎたみたい
儀式って何だろう・・・
属性を解放するための・・・パワーアップするってことかな
あ・・・終わったみたい
光が消えて
アクアちゃんがこっちに戻ってくる
「お待たせしました・・・祭壇に封じられた、ワタシの属性能力を解放できました」
「(^ω^)~コントロールクラスまでは、発動可能ですわよ」
コントロールクラスって何だろう
レベル15のソウルスキルを発動できるの・・・う~ん??
え・・・他の属性も使えるようになるんだって!!
唯(すごいね、アクアちゃん!?)
アクア(あ・・・まだ、ワタシには負担が大きいので難しいです)
唯(わわっ・・・ごめん、危ないんだね)
アクア(いえ、死ぬとかではありませんから・・・時間が経てば、すぐに慣れます)
慣れるものなんだ・・・
だから、あたしのために時間を伸ばすってこと!?
唯(段々わかるって、こういうことなんだね・・・)
アクア(少し違いますが、半分くらいは正解です)
\(^o^)/わ~い!! 半分正解だったよぉ~!!
嬉しくて、少しワクワクしちゃった
あ・・・そうだ、迷宮の謎がわかってないよ~??
まだ、言っていない部屋があるから
そこでわかるのかな・・・
アクア(いえ、謎の一部は・・・今の儀式でワタシが得ましたので終了です)
唯(おおぉ~!! アクアちゃん、スゴ~い♪)
なぁ~んだ、謎の一部をアクアちゃんが得たって
じゃあ、ここの遺跡から出るんだね
「この隣の部屋が外へ出る転送装置があるみたいですわね・・・」
「唯ちゃん、出ましょう??」
「あ、うん」
隣の部屋に、上の階にあった機械と同じのがある
あれで、また転送をするんだ
「また、自分が操作しますわ」
グリーンさんは、機械の扱い得意なのかな・・・
今度聞いてみよう~??
「よしっと、二人共・・・外へ戻りますわよ??」
「唯ちゃん、ワタシに掴まって!!」
「はぁ~い♪」
そして、一瞬真っ白な光に包まれたみたいだった
そのまま遺跡の入口にいた・・・
この未来的な移動というのかな??少しだけ、怖いんだよね
「この森を進んだ先に街があります、今日はそこの宿屋で宿泊いたしましょうか??」
「そうですね・・・ワタシは疲れましたので、それでお願いします」
街があるんだ・・・
森の先って、どのくらい歩くんだろう??
アクア(歩く必要はありません・・・グリーン様が運んでくれますよ)
唯(運ぶ!? どういうこと??)
アクア(風属性のスキルで一気に街まで移動すると思いますから)
あの、ボスと戦った時みたいなのを使うのかな??
わわっ、心の準備が・・・
「準備とかは無用ですわ・・・一瞬な感じですから」
と、あたしとアクアちゃんを両手で掴むと
身体の重さがなくなる感じがして
本当に一瞬な??感じで、森ではない場所に移動した
「んっ!! あれ・・・何ともない??」
「唯ちゃん、ごめんなさい・・・躊躇されたほうが危ないの」
ううっ、転送よりは怖くはなかったけど
やっぱり、速い移動は慣れないかも
「先ほどの森が唯ちゃんの知る地名で言うと『三鷹』というそうです、それで遺跡は『深大寺』だそうです・・・で、『調布』がこの街です」
「へぇ~、本当に地名はあたしの知っている東京と同じなんだね・・・何か複雑かも」
遊びに来ていたのが三鷹だから、周辺はそうだよね
武蔵野とか府中とか小金井とかだったような
南に歩いていたから、調布なんだ・・・
「やっぱり、名前だけで・・・東京じゃないね、絵本とかアニメとかで見る街みたいだし」
まず、舗装されていない道路が街の中央通りな時点で違う
ビルもないし、鉄道も・・・
あ、鉄道は最近は地下になったんだっけ??
でもでも、レンガの家のとかあるよ~!!
それにね・・・あれって、馬車が走ってるし~
「変わってしまった東京という都市の原型は残ってはいないかと思いますわ」
「うん・・・地名だけみたい、同じなのは」
ここまで来ても、まだこの状況をちゃんとわかっていない
というか、最後までわかんないかもしれない
この東京という名の迷宮を彷徨う挑戦者なんだね、あたしたちは・・・