第三十三話
~第三章~
第三十三話『東京迷宮 雷光の遺跡・超光速の戦い その5』
「わぁ~!! 何これ・・・広い~♪」
ある程度進んだ段階で巨大な場所が見えてきて
ここで、レースするんだね
「ラビリア姉さま~!!」
アクアちゃんがラビリアさんを発見する
あれって・・・車かな??
「あら・・・みなさんで、コースの下見ですか??」
「うん~♪ 明日だからね、みんなでコース見に来たの」
「そうですか・・・私は車を搬入しにきたんです」
赤と青と白と緑・・・
緑って、グリーンさん用は一応あったんだね
「グリーンさんが欠場した分、アイナさんの仕様に変更してあります」
それで、赤い部分があるんだ・・・
「申し訳ありませんわ・・・」
「いいのよ、あなたが車酔いだとは思わなかったので・・・」
4台の車・・・
あたしのは、レッドカーバンクルだって~♪
カッコイイ名前だね
アクアちゃんのは、ブルーリヴァイアサン
・・・海の神さまの名前なんだ、すごい
ノゾミさんのは・・・ホーリーアーク
聖なる方舟、伝承の想像上の船だって・・・おお~!!
グリーンさんに変わって、アイナさんのは・・・ライトニングストーム
雷と嵐だって・・・強そうだね
「コースの下見が終わったら、車の最終調整したいので個別に車まで来てください??」
「は~い、わかりましたラビリアさん!!」
「姉さま、行ってきます」
「自分には、ピット関連の情報をお願いしますわ??」
コースに出て、実際に走るのと同じように歩きで1周・・・
10キロだよね、疲れそう~
「計算上、車で走ると30秒くらいですわよ??」
「10キロを30秒で周るの!!」
「ええ、そうなりますわ」
「化物じゃないですか・・・」
「アクアちゃん・・・言い方!!」
「すいません、つい・・・」
でも、アクアちゃんの気持ちはわかんなくはないけどね・・・
10キロの距離を30秒で駆け抜けるんだもん
散歩気分で進んでるけど・・・
遠足してる感じになってくる
地面は舗装された場所だから、都会の道路だけど
「ライン様が、実験的に行うみたいで・・・オーディエンスも呼ぶらしいですわ」
「実験的・・・!?」
「このレースを世界大会としたいらしいですわよ??」
「世界大会!?」
アクアちゃんはいちいち驚いてるね
別に興味ないでしょ??
アクア(・・・唯ちゃん、ばらさないでよ)
唯(だって~、反応が嘘っぽいんだもん)
アクア(ライン様って聞いたので、興味ある感じにしたかったんです)
唯(ラビリアさんにラインさんに・・・アクアちゃん、何か嫌!!)
アクア(すいません、強い存在に憧れているんです)
そうなんだ・・・
だから、あたしにも何か特別な感情あるみたいだし
アイナさんにも興味あるし
アクア(昔からみたいで、どうしても強さに対して憧れがあるんです)
唯(あたしもなくはないから、別にいいんだけど・・・もう少し、やり方があると思うんだけどね)
アクア(やり方ですか・・・ワタシは普通にと思うんですか??)
唯(そうだね・・・アクアちゃんは、何かぎこちない気がするの)
アクア(無理しているように見えるんですね・・・それは、自覚があるので)
自覚があるって、自分で変だと思ってるってこと??
それでもってことは・・・そこまでして、しないとダメなの・・・
唯(アクアちゃんが真面目すぎだからかも、もう少し楽しく思ってみたらどうかな??)
アクア(楽しく・・・思ってても、実際にするのは難しいのですね)
あたしとも、やっと最近できてるみたいだもんね
すぐにできれば、誰も苦労なんて必要ないし
そうだ・・・無理にしなくてもいいんじゃない~!!
アクア(無理にしなくても・・・どういうことですか??)
唯(何かね、アクアちゃんって人に合わせようとすることが多くて・・・自分が本当にそれをしたいと思うことだけを楽しくすればいいんじゃないかな)
アクア(・・・う~ん、自分が望む場合にのみ実行すればいいんですかね??)
唯(うん、嫌いなものでも無理に食べようとする感じなんだよね・・・アクアちゃんって)
アクア(それは、あるかもしれませんね・・・苦手な感じでも無理してます)
唯(気楽じゃダメ?? それこそ無理かもしれないなら、あたしは何も言わないけど・・・)
アクア(まだ、本気で心を許してないんでしょうね・・・口では大好きとか言ってますが、ワタシって卑怯ですね・・・完全に心を直結したら、もっと仲良くできますか??)
唯(それは、わかんないよ・・・完全に一緒じゃないんだもん、違いがあるから好きになったりするんじゃないのかな・・・相手に魅力を感じるんだと思うよ)
一応ね、心を見ることができるんだけど
100%じゃないから、不安に思うのかな
でも、全部出したら面白みが無い気がするの
アクア(見えない方がいい場合もあるってことですか・・・それを考えたことはなかったですが、確かに想像する楽しみとかありますよね・・・)
唯(うん、今はかなり近くに感じられているけど・・・まだ不明な部分も多いでしょ??)
アクア(はい・・・良くも悪くも唯ちゃんには楽しませてもらっています)
唯(そんなことを聞いたんじゃないんだけど~!!)
良くも悪くもってどういう意味よ~!!
アクアちゃんは、あたしの何を期待してるの・・・
「また、二人きりのラブラブですわね・・・一応、コースの下見なんですのよ!!」
「はっ!! グリーン様・・・申し訳ありません」
「いえ、自分に謝罪は不要ですわ・・・自覚を持って頂ければそれでいいのですわ~うふふ」
そういえば、さっきからグリーンさんはデバイスではなくて
タブレット端末みたいなモノを使って何かをしてるみたい・・・
これって、コースの下見だけじゃなくて
レースのことを調べてるのかな??
「唯ちゃん・・・自分のしている事をわかっているみたいですわね、いつの間にか複雑な情報でも処理できるだけの演算を宝石にアクセスできるようになってますのね・・・うふふ、素晴らしいですわ♥」
「グリーン様!? 何を言っているんですか・・・唯ちゃんはそんな事??」
完全に違うとは言い切れない、自分がいる
でも、それを否定する自分もいるんだよね・・・
これが、多重人格ってことかな
複数の自分が一度に心にいる感じがしてる
でも、心地よい感じがするのは・・・みんな、あたしだからかな
アクア(本当なんですか・・・唯ちゃん!!)
唯(う~ん・・・まだ、よくわかんないんだけどね)
アクア(やはり、ツイール様に記憶を奪われてるのですね・・・これは、本人へ確認しないとダメですね)
唯(ツイールさん??)
アクア(この世界に来る際の入口を守る女神様です)
唯(女神・・・ラインさんと同じ??)
アクア(世界空間都市という場所だったと思います)
唯(そこにいる神さまなんだね・・・)
アクア(ワタシも記憶が奪われているので、全てを覚えはいないみたいです)
あたしもだけど、アクアちゃんもここへ来るときに
記憶がなくなっているみたい
どのくらいの記憶が残ってるのはわかんないけど・・・
「アクアちゃんも記憶が無いんですわよ・・・自分もですが、どのような本当の自分かわかりませんわ」
「・・・そうですね、空白な部分を感じていないですが、あるんですよね??」
「私は、直接介入していますので記憶は欠落していませんよ・・・」
「ノゾミも~♪ ここへは直接来ましたよ~!!」
あたしとアクアちゃんとグリーンさんは、ツイールさんの世界空間都市から来たみたいで
アイナさんとノゾミさんは、そのままここに来たんだって
「女神以外で直接介入はできないと聞きましたが・・・アイナ様とノゾミ様は、どういう存在なんですか」
「私は宝石の関係で上位属性となるので、特別扱いみたいです」
「ノゾミは・・・普通に歩いて来ましたよ~♪」
あたしも歩いてたら、いつの間にかだった気がするんだけど・・・
どうなんだろう
アクア(唯ちゃんこそ、特別扱いな可能性もありますよ・・・実は、直接介入してて)
唯(・・・だって、あたしも記憶ない部分があるっぽいよ??)
アクア(それは、記憶じゃなくて・・・もう一つの唯ちゃんじゃないかと思うんですが)
唯(そうなのかな??)
あたしの存在が特別なのかもしれない
アクアちゃんの言っていることが、完全に否定できないから
「唯さんは・・・記憶をそのままな気がするのですが、実際どうなんですか??」
「う~ん、そこはわかんない・・・でも、ノゾミさんのように歩いてたら、いつの間にかここに来てたんだよね・・・急に森に入口に??」
「ノゾミの場合に近いですね・・・ノゾミもいつの間にかこの世界になってましたよ」
「まだ、不思議な部分が多いですわね・・・ライン様の言う謎は女神と共に解決する気がしますわ」
ラビリアさんは迷宮に謎はないと言ってました
それは、実際の迷宮を解明する意味では、何もないということみたいで
ラインさんの言っていた、謎というのは・・・世界そのものの謎みたいです
密かにグリーンさんがラインさんと密談しているらしい
内容はまだ教えてくれないんだけど・・・
「ノゾミ・・・足痛くなってきた~!!」
「ワタシも少し疲れました・・・この地面は足に悪い気がします」
これって、アスファルトかな
舗装道路って・・・あたしは普通に感じるけど
地面は土とかだよね??
アクア(石段に近い感じですが、もっと硬い感じで特に膝に影響する気がするんですよ)
唯(地球だと、道路こんな感じだよ)
アクア(・・・でしたら、慣れておく必要がありますね・・・まだ、厳しいので少しずつです)
唯(うん、無理しないようにね)
あたしと一緒に帰るって話をしてたから
この道路が普通にあるって言ったら
頑張って慣れるんだって・・・アクアちゃんのためにも戻れるようにしないとね
ラインさんの話は、帰れないみたいに言ってたからね
でも、それもあたし次第だとも言ってたし・・・
「ノゾミさんは、まだ倒れた影響があるのではありませんか??」
「その可能性はありますわね・・・自分が背中におんぶ致しましょうか??」
歩くのを止めて、グリーンさんはノゾミさんの前で背中を向けてしゃがむ
おんぶできるように
「・・・ノゾミは、疲れていますがまだ歩けます!!」
「そうですか・・・自分は心配ですわよ??」
「グリーンさん、もう少し様子を見ましょう・・・」
本当に歩けなくなったら、ノゾミさんも言うよね
あたしも疲れてるけど、まだ歩けなくはないから
それに、全部歩いてみたいかなって思う
「ノゾミさんが自分でダメなら・・・そのときにおんぶしてもらえばいいんじゃないかな??」
「あ、はい・・・唯さんの言う様にします」
「わかりましたわ、遠慮なく言って下さいね」
そう言うと、立ち上がって・・・また、歩き出す
ノゾミさんもあたしと同じ考えなのかな~??
どうかはわかんないけど、コースの全部を見たいから
唯(ノゾミさん・・・自分で最後までコースを歩きたいと思ってます??)
ノゾミ(え、あ・・・う~ん、そうではないのですけど・・・グリーンにあまり気を使わせたくないの)
唯(え~もっと甘えてもいいんじゃない・・・グリーンさんは、そっちのほうが喜んでくれますよ??)
ノゾミ(そうですか!! 心配していると言ってますから、大丈夫だってアピールしたいんです・・・)
難しいんだな・・・
お互いを信頼しているんだろうけど
簡単に甘えることができないの??
ノゾミ(・・・唯さんは、アクアさんに甘えたりするんですか??)
唯(甘えることは、どうかな・・・たまに、いじめてみたいなって思うけど~うふふ♥)
ノゾミ(いじめる?? 唯さん、そんな方なんですか・・・ノゾミもいじめるんですか??)
唯(あたし、乱暴なキャラじゃないよ!! ノゾミさんはいじめませんって~!!)
とは言ったけど・・・わかんないかも??
あたしも全部をわかってないから、もしかしたら未来は・・・
でも、今は自分で抑えきるよ!!
アクアちゃんは、恋人だから・・・あたしも甘えてるんだろうね
だから、いじめたくなるとか言えるのかも
ノゾミ(仲良しだからですか・・・アクアさんは、納得されてそうですね??)
唯(どうなんだろう、今聞いてみようかな・・・)
ノゾミ(いえ、それは聞かないでいいので・・・唯さんは、あまりアクアさんいじめないで下さい)
唯(うん・・・わかった、あたしも泣くアクアちゃんはあまり見たくないし)
あ、そうだ・・・本当に聞きたかった質問してなかったね
ノゾミさんがグリーンさんにおんぶされたいかを聞きたかったんだ~♪
唯(最後に、質問いいですか??)
ノゾミ(ノゾミにですか、いいですよ・・・)
唯(ノゾミさんは、グリーンさんにおんぶされたいですか??)
ノゾミ(・・・はわわ~!! グリーンにおんぶ・・・されたいんです、が・・・ダメです)
急に慌ててるよ??
ダメって、やっぱり心配させたくないのかな・・・
でも、逆だよね
唯(さっきも言ったけど、その考え逆かもしれないよ・・・あたしが聞いてあげる??)
ノゾミ(え・・・いいよ~!! 唯さん??)
お節介な感じかもしれないんだけどね
もう、あたし気になって・・・どうしようもないんだ~!!
唯(グリーンさん~!! 質問いいですかぁ~??)
グリーン(はい?? どうしました・・・唯ちゃん、あれ・・・ノゾミもいるの??)
ノゾミ(唯さんの質問は答えなくていいから~!!)
グリーン(・・・ノゾミは黙っててくれますか??)
あ・・・これ、失敗したかも??
どうしよう~あたし、好奇心だけで
二人の仲を悪くしてしまうかも・・・