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軽薄な九十九

一尺八寸かまつかちゃんの存在を忘れていました。無理にキャラを増やしすぎてもあつかいに困りますよね。ていうか、あのキャラはボツになったはずでは……。八月一日ほずみ先生と漢字が似ているからやめよっかなって頭ん中で思案してました。


さて、どーでもいいですが、招き猫の雑学いきます。

右手を挙げている猫→お金を招く。

左手を挙げている猫→お客を招く。

うちにおいてある招き猫は、左手です。


ぼくは左利きです。よく「頭わるいのに、左利きなんだねー。なおさら幻滅するわ」とかののしられます。……なおさらって、なんだよ?


ちなみに本当は、クロスドミナンス。いわゆる交差利きです。

両利きでもなく……

まあ、ぼくには利き手なんていう概念が、そもそもありません。

けっこう、多いですよ。そういう人。田舎はとくに因習がありますから。

 10分休憩の時間――

「よう、月見里。きのうお前からもらったクレープうまかったぞ。ありがとな」

 九十九は月見里に礼をいった。

「どういたしまして……」

 月見里は顔もあげずに応じた。

 オンラインゲームに夢中になっているからだった。

 そのゲームは無料携帯ゲームで、アバターを豪奢(ごうしゃ)にしたい、強力なアイテムがほしいときに、リアルのお金を払う、いわゆる課金制度になっていた。月見里は月額315円までなら使うことを許されているが、その代償として小遣いを減らされることになっている。

 月見里は、課金するか否かの見極めで悩んでいたのだ。

「そういえばさあ、四十川も喜んでたぞ」

「ああ、そう。いまはどうでもいい」

「どーでもいいのかよ。で、どんな感じなんだ? ゲームのほうは……」

 あまり芳しくない月見里のリアクションに、すこしがっかりしてしまった九十九だったが、しかしべつの角度から攻めてみることにした。

「このゲームのイベントが、きょうまでなんだけど、課金するかしないかで頭を抱えてたんだ」

 オンラインゲームをやっていると、ときどきイベントがある。

 課金をすれば、当然のようにチート同然でゲームを有利にすすめることができる。

 リアルでもお金を使って女の子の興味をひこうとしている月見里だから、もちろんゲームでもそういう誘惑には弱い。

 月見里のような凡庸ぼんような煩悩にとっては、この世には蠱惑的こわくてきな小悪魔が多すぎるのだ。

 まさしく――外面げめん菩薩ぼさつ内心如夜叉ないしんにょやしゃまたは外面げめんにょ菩薩ぼさつ内心如夜叉ないしんにょやしゃである。

「高校卒業したら、そのうち借金も抱えるんじゃねーか?」

 九十九はよっぽどそれを言いそうになったが、口をつぐんだ。

 代わりに、

「自分の財布さいふと相談することだな」

 と、テンプレートの言葉を返した。

 月見里はあっさりとうなずき、

「まあこのイベントは夕方5時までだから、それまでにランキングの結果とかを視野にいれたうえで、課金するかしないかを決断する」

「それがいい。ところで――」

 九十九は単刀直入に、

「四十川のこと……どう思ってる? 好きか、嫌いか」

 月見里は困惑したように、

「好きか嫌いか……。そりゃあクラスメートなわけだし、もちろん好きだ。が――よく考えると……よくよく考えてみると、好きかどうか、わからねー。どっちだろーなー。おれが好きだ! というよりは、相手に好きになってほしい。好かれたい。嫌われたくないし嫌いたくない、というか……」

「じゃあ、好きか嫌いかでいえば、好かれたいってわけだ?」

「あわよくば、好きになってほしい……けどな」

 泡を食うことにならなきゃいいけど。

「そうか。手間、とらせて悪かったな」

 九十九はさっと手を挙げて――

 スタイリッシュに――あくまでも主観的ではあるが、カッコよく――

 その場を立ち去った。


 つぎの、10分休み。

 3時間目と4時間目のあいだ。――つまり3時間目が終わったあとで、4時間目が始まるまえ。

「月見里いわく、好きか嫌いかでいえば、好かれたい。あわよくば、好き――になってほしい。だってよ。これで貸し借りや、プラスマイナスはゼロだな」

 九十九はすがすがしそうに言った。

「そうね。――それよりさ、九十九はどう思う?」

 四十川は甘えるような声をだした。

「どうってなにが?」

「なにって……。私たちは、まあ中学生のころから、付きあいは長いわけだし……」

「ああ、わかったわかった。理解した。自己流で解釈した。つまりはアレだ――アレ。……アレっていうとハリケンジャーを思い出すけど」

「アレってなに?」

「知らん」

 と。

 無駄話に花を咲かせなかったところで――

 九十九は念入りに、念を入れることにした。

「お前にくぎをさしたところで、どうせぬかに釘だろうけどさ。それでもいちおう忠告しておくぞ。――勘違いするなよ。おれはお前を好きじゃない」

 断言した。

 断った。言いきった。

「勘ちがいというよりは、筋ちがい。気が散っているし、気がちがっているし、まちがっている」

 やれやれと肩をすくめて、

「おれは口ベタだし、八方美人だからさ……。そりゃあ勘違いされてるかもしんねーけどよ。おれなんてさ、腕一本脛一本で生きているから、ただただ手練手管を弄して、胸突き八丁の土壇場を口八丁手八丁を駆使して処理しているだけの人間なんだぜ。わかる? もしかしたらそのとき、ノリで告ったかもしれないけど、おれには恋愛感情なんて皆無かいむだ。どころかほんとうは友情だの馴れあいだのも好きじゃねーんだ。月見里……つーか、クソデブとつるんでんのも、ただの暇つぶしだ」

 ははっと……。

 それでもどこか自嘲的じちょうてきな。

 自重じちょうしているような。

 ひきつった――笑いかただった。

 しかし感傷に浸ったり、感想をいったりするには。

 時間があまりにも短すぎた。または――早すぎた。それこそアレが。

「だーれが、クソデブの穀潰ごくつぶしじゃー!」

 教室の隅っこ。黒板の手前――教壇に座っていた月見里は、

 教室の奥。黒板とは対極――ロッカーに面したほうの九十九に、

 ――突っ込んだ。

 その巨躯きょくは、九十九に追突し――

 月見里は力士さながらの勢いで、九十九を吹っ飛ばした。

 九十九の矮躯わいくは、ほとんどなんの手ごたえも抵抗もなく――大型車にひかれたみたいに、宙に投げ飛ばされた。

 これぞ暖簾のれんに腕押しだとでもいうように、軽々と――

 九十九は受け身もとれず、

 背中をロッカーに、したたかに打ちつけて、うずくまってしまった。

「ドラゴンボールの悪役で、だれがいちばん好き?」なんていう質問を生徒からよく受けます。七五三国語教諭です。


だれが好きか……これには一律に、『フリーザ様』と返答しています。昭和生まれの人ならわかるでしょう。同感してくれますよね。

圧倒的な戦闘力――100万でしたっけ?

ビックリですよ! べジータが大猿になって倒すのかと思えばそうじゃないですし、元気玉もダメかーみたいな。


広島風のヤクザみたいな、独特の味がありました。

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