第2部:第12話:『龍次』
ドクン・・・ドクン・・・
暗闇の中に居る・・・
その暗闇の中、横たわる俺、その横たわる俺を見るもう一人の俺・・・
『またか・・・お前の体は俺の体だ。
そう易々とやられたら、こっちがたまんねぇんだよ』
と俺を見ながら言う。
俺「誰だ・・・」
と聞くと
『龍次だ。お前の闇の部分とでも言っておこうか』
と自分の事を言い消えた。
そして、俺は俺の体でなくなった・・・
暗闇から見える俺の体。
銃弾は真っ直ぐ刀神機の中枢へ向かってくるが
スカ・・・と音のような物がした瞬間銃弾は粉々になった。
そして、俺の体が
『さぁて、ちゃっちゃと終らせるか』
と言う。
もちろん、俺ではない・・・
龍次だ・・・
龍次「システムメニューオープン
全てのシステムを俺へ」
と自分にシステムを持ってきた。
桜はどうやら俺と同じで気を失っているようだ。
そして、恐るべき事が起きた。
機体がとんでもないスピードで動き出した。
あまりの速さに消えたように見える。
そして、詠唱が鳴り響く
『我が呼ぶは、獄閻の炎!炎は罪と罰を繰り返す度に巨大になり、善なる存在を焼き払う!
我の炎から逃れる術はなし!【黒焔龍】!』
と言うと俺の技に似て、剣に炎が纏わりつく。
しかし、圧倒的に違うのは・・・
炎が黒い事・・・
俺の炎は断罪の赤き炎、
では龍次の炎は例えるなら、善を裁く闇の炎・・・
龍次「くくく・・・謝ってもゆるさねぇぜ・・・
苦しみながらあの世で悔いな!」
と言うと剣を振る。
すると、黒い炎は敵に広がって敵を覆いこむ。
敵機は黒い炎に少しずつ包まれていく。
恐らく何かの衝撃でオープン通信が開かれたのだろう
『やめろ・・・やめてくれ!暗闇が・・・暗闇がくる・・・
うわぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!』
と断末魔が聞こえ、敵機が爆発した。
龍次「くくく・・・いいねぇ・・・最後の懇願何とも惨めだったな・・・」
俺は龍次を見ているとなんだか意識が暗闇に包まれていく・・・
あれが・・・俺の闇の部分・・・
今まで抑えていた影の部分・・・
闇は抑える様とすればするほど肥大化していく・・・
俺がもう無理だと諦め様とした時、
『甘えてください』
と、桜の声が聞こえた。
そうだ、俺はもう一人じゃない。
桜がいる。
犬神がいる。
サラがいる。
俺はもう一人じゃない。
そう思ったとき光が見えた。
小さな光は次第に大きくなって行き俺は意識を回復させる。
そこは見たことのない天上だった・・・
俺「ここは・・・」
と横を見ると、そこには桜が眠っていた。
俺「そうか・・・無事・・・なんだな」
と俺は自分の手を何度も握る。
よく周りを見るとどうやらホテルのようで外も夜と言う事で俺はもう一眠りする事にした。
しかし、桜が寝ぼけているのか突然俺の布団に潜り込んできた。
最初は怒ろうかと思ったが、今日の事を思い出し止めた。
結局俺は、桜と一緒に寝た。
桜が近くにいたおかげか、夢の中で俺はとても暖かい中に居た気がした。