第2部:第8話:『夢』
しばらくサラを見ていると、
いつの間にか俺も寝てしまったようで、気が付くと時計は深夜12時を指していた。
サラは、もうぐっすりと眠っている。
その証拠にス〜ス〜と寝息を立てている。
俺はサラの寝顔を少し見てクスッと、ついつい笑ってしまった。
そして、サラに顔を近づけ
俺「おやすみ・・・」
と、囁き髪を少し撫でた。
サラは『ん〜』と嬉しそうな顔をしていた。
俺は(良い夢を見てるんだろうな)と思いながら
カチャ・・・
と、静かに扉を開き
パチン
と、電子音と共にサラの部屋は暗闇に優しく包まれた。
そして、俺は部屋から出て開いた時と同じようにゆっくりと、閉じた。
部屋を出ると、そこには桜が椅子に寝ていた。
俺は『やれやれ』と、少しため息をつき
俺「ここで寝ると風邪ひくぞ」
と、忠告するが起きるはずもなく
俺は『よっと』と、掛け声のような物を出しながら桜をおぶった。
そして、部屋に戻りにベットへゆっくり降ろした。
俺は、そのまま部屋を出ようとするが突然、手を掴まれた。
後ろを見ると桜が涙を流しながら俺の手を掴んでいる。
俺は手を離そうとした時、『いかないで・・・』と、寝言を言った。
ただの寝言と言えば、それで終わりだが桜は涙を流していて、そう言われると何だか少し可哀想に思い。
俺も、もう寝ることにした。
布団に入り掴まれていない方の手で桜の頭を撫でる。
俺「どこにも行かねぇよ」
と、囁くと少し笑顔になった。
俺は、寝る前に時計をセットして目を閉じた。
暗闇の世界・・・
その中に、ポツリと一人だけいる幼い頃の俺
何があったのか分からないが、泣いている。
その自分を見ていると、自分の中に悲しいと言う感情が流れ込む。
しかし、その俺を泣き止ませようとする人間が二人・・・
一人は幼馴染の女の子・・・
もう一人は着物姿の女の子・・・
だが、幼馴染の女の子の目から光が消え
その女の子が、どんどん遠くに行ってしまう。
俺は、追いかけるが距離が縮まる所か、離れていく
そして、女の子は暗闇の中に消えた。
俺は、ただ泣いていた。
そんな俺を、優しく抱いてくれる着物の女の子
女の子は、俺を抱きしめたまま俺の名前を繰り返し呼ぶ・・・
煉次様・・・
煉次様・・・
煉次様・・・
その声は、段々現実でも聞こえるようになってくる。
『煉次様・・・煉次様・・・』
気が付くと俺の目の前には桜がいた。
夢の中の幼い頃の桜と重なる。
桜「煉次様・・・大丈夫ですか?うなされていましたよ」
と、桜が少し心配そうに聞く
俺「あぁ・・・もう大丈夫だ・・・もう・・・大丈夫」
まるで自分に言い聞かせるように言い桜を抱きしめた。
そして、桜と目線が合い
そのまま、顔と顔が少しずつ近付き唇を重ねた。
少しの間、桜と俺は唇を重ね続け、突然時計のアラームを鳴り出す。
俺と桜は驚き顔を離す。
しかし、アラームと気が付き俺と桜は『プッアハハ!』と、笑い出す。
一通り笑った後、俺と桜は昨日お風呂に入っていない事に気付き温泉に入る事にした。