2話 おばあちゃんの占い (4)
意識がふっと遠のいて、プールの底に沈んでいくような息苦しさに襲われた。たまらず頭のなかのまこっちゃんを押さえつける。目をぎゅっとつぶり、歯を食いしばって、心はただ、暗くて深い場所に沈んでいった。
「なつきは大殺界が重なっとるが、もうすぐ抜ける。いまは準備の時期なのじゃ。何をしても結果が出ず、苦しいと感じるのが普通。本当に辛いと思うが、受け入れるしかないんじゃよ。」
思いがけない返事に、言葉を失った。大殺界?準備の時期?苦しいのが普通?受け入れる・・・しかない?
「ずっとつらいの?」
「ずっとではない。さっきもいったろう。来年いっぱいまでじゃと。」
その言葉に、ほんの少しだけ、胸の奥が軽くなった気がした。
「良かった。そのあとは、どうなるの?」
「がんばりが徐々に形となって現れて、新しいなつきに出会えるじゃろう。」
新しいわたし。そんな都合の良いようなことが、本当にあるの?
クラスの男子が休み時間にアニメの話をしているのを聞いたことがある。異世界に生まれ変わってチートで一方的に敵を倒すのが面白いんだって。何が面白いのか全然分かんないけど、思い通りにならない毎日に現実逃避しているだけに思えて呆れちゃう。そんな都合のよさが頭をよぎった。
あの日から続いている胸の苦しみ。まとわりついて離れない、この気持ちの悪さ。
どこへ行っても付いてきて、消えてくれなかった。
ネットで何度も答えを探したけど、救いはなかった。かえって、気持ちが沈むだけだった。
だけど、おばあちゃんの言葉は、機械的な感情のない回答とはちがって温かさが伝わってきた。それが、ほんの少しだけど、このつらさをごまかしてくれていた。




