2話 おばあちゃんの占い (1)
「来てくれたんかい、なつき。じゃが、なにか、困っとる顔じゃなあ……心のなかが、ちぃとばかし、重たいみたいじゃ。」
おばあちゃんはそう言った。なんでそんなことわかるんだろうと不思議だった。
「べつに困ってないよ」とわたしは返事をした。
「ふむふむ。そう言うときは、だいたい困っとるときじゃ。話してみ? なんも言わんでも、ずっとここにおるからなあ。」
お父さん、お母さんには言えなかったこと。自分でもうまく言葉にできるか分からない、この苦しい気持ち。
でも、おばあちゃんになら、少しくらい話してもいいかも――そんな気がした。
タブレットとスマホをもらった翌日、日曜の午後。
窓から差し込む陽ざしはやわらかく、覗く外には雲ひとつない空が広がっていた。のどかに見えても、目に視えない風が抜けるたび、窓枠が軋むような音を立てた。その音がやけに大きく感じるほど、部屋は静かだった。
窓越しの光はやわらかいのに、背中を伝う空気は冷たい。もう春なのに、まだ冬を引きずっているみたいだった。
お店が忙しいからってことで、ひとりでお昼ごはんを食べたわたしは、スマホをぼんやりと眺めていた。
お父さんもお母さんも、わたしのことより仕事が大事みたいだった。二人とも腫れ物に触れるようにまこっちゃんのことはほとんど話題にしてこない。別に寂しいって言いたいわけじゃないけど、もう少しだけ話を聞いてほしいと思うこともある。でも、うまく言えない。言えたとしても、わたしの気持ちが伝わるとは思えなかった。
スマホもタブレットも、わたしの機嫌を取るための道具みたいに感じてしまう――そんな自分がいやだった。




