6話 今も好きな人 後編 (3)
瞳を見開いて、驚きを隠せなかった。隣町に住むわたしより、同じ小学校だから家は近いのかもしれない。でも、想いの強さだけは負けるはずないと思っていた。それなのに――
「ずっと、来ているんですか?」
「ここ半年ぐらいからかしら。それまではあんまり来てなくてね。ただ、お墓参りにはずっと行ってたみたいで、お花変えたり、お掃除もしてくれてたのよ。綺麗にしてくれるの誰だろうって不思議だったんだけど、矢上君に何度も訊いたら、ようやく白状したのよ。誠と違って、本当にできた子なのよねぇ」
そんな男の子がいるなんて、想像もできなかった。去年のクラスの男子といえば、からかってきたり、ゲームの話ばかりだったりで、言い出したらきりがないぐらい。
でも、男の子がみんながみんな同じじゃないってことぐらい分かってる。まこっちゃんはすごく優しいし、その親友の矢上君も優しいような気がする。
それにお墓参り。わたしもまこっちゃんのお墓には一人で行っている。うちで仕入れた初物の果物をお供えしたくて。それでも季節の変わり目に1回ぐらいしか行ってない。
「あ、あの・・・。わたしもお墓参り、行ってます!・・・たまにですけど」
「ふふ、あら、なっちゃん、なんだかライバルができたみたいな言い方だね」
「そ、そんなんじゃないですよ」
わたしは大袈裟に頬を膨らませてみせた。
「ふふっ、なっちゃんって、やっぱりかわいいよね」
優美さんはイタズラっぽく微笑んだ。
「わたしはただ・・・お線香上げに来る人が減ったって・・・優美さんが。・・・だから気になって」
優美さんはさっきの仏前の話に反応するように、席を立つと二杯目の紅茶を入れてくれた。今度の紅茶にはレモンが添えられていた。レモンを絞るって一口飲むと、爽やかな酸味がケーキの甘い余韻をすっきりと洗い流してくれる。
「同級生でまだ来てるのなっちゃんと矢上君だけよ。だからね、私には二人の存在が特別なの。それに、誠にとっても二人は特別だったと思うのよ」
「わたしと・・・矢上君が・・・特別」
その言葉は嬉しい反面、少しだけ複雑な気持ちを連れてきた。




