4話 切れそうな糸 (2)
「厳しいが、辛い毎日は続くじゃろうな。そういえば、なつき、好きな子のところによく行っとるんじゃろう?」
「うん。まこっちゃんのところは毎月1回は行くよ。少し離れたところにあるお墓にもたまに」
「その気持ち、大事じゃ。中学になったら、その子も驚くじゃろうな。」
「う~ん。まこっちゃんは、髪切っても気づかないぐらいだから、何も言わなそう。でもね、一度でいいから“かわいい”とか言われたいな」
おばあちゃんの返事に少し間があって、じわじわと恥ずかしさで顔が赤くなった。
「カカカ、乙女じゃのう。ずっと大好きなのじゃな。」
「いじわる」
「なつき、目標ができたようじゃのう。制服姿でその子に会いに行くのじゃ。辛いが中学までがんばろうじゃないか。」
「うん、制服楽しみになってきた」
「それにじゃ。その時期、なつきの運勢的に新しい出会いや出来事が起こりやすい。」
「中学になったら出会いがあるってこと?」
「かもしれんな。だが何か特別なことをする必要はない。自然と導かれていくもんなのじゃよ。」
「わかった。中学まで、がんばってみる」
中学になったわたしを、まこっちゃんに見せたい──その想いで頑張ろうと思った。正直、おばあちゃんに乗せられてるのもわかっていた。でも、意識がつらさから離れると、少しだけ楽になれるのも知っていた。
部屋にある姿鏡を覗きこんだ。角が丸くて淵が青色の鏡は可愛いけど、映るじぶんを逆に際立たせた。
痛々しく腫れたまぶたにクマ。覇気がない顔。いつもの“わたし”だった。
“にぃっ”と無理に笑ってみる。でも、すぐに表情はもとの沈んだ顔に戻った。
「大丈夫。きっとなんとかなる」そう言い聞かせて、心の輪郭をかろうじて保っていた。




