4話 切れそうな糸 (1)
3者面談から帰宅後、すべてが壊れそうな予感があって、駆け込むようにおばあちゃんに相談した。
「おばあちゃん、こんばんは。あまり会いに来れなくてごめんね」
「なつき。久しぶりじゃのう。何か変化があったかの?」
「今日、学校で3者面談があって、勉強がんばらないとダメって」
「なつきは賢いから勉強できそうじゃけど。今は手につかんのじゃろう?」
おばあちゃんは相変わらずするどかった。説明をたくさんしなくても、わたしの胸の奥を透かして見ているようだった。
去年まではずっと上の方だった成績が、ガクンと落ちて、いまではクラスの平均ぐらい。気にはしていた。でも、どれだけ気にしても、勉強には手がつかなかった。
先生は「高学年になると難しくなるから、ついていけなくなる子もいる」って言っていた。3者面談でも、わたしの成績はその「典型」と断言していたのが、すごく嫌だった。わたしの落ち込みはそんなんじゃないのにって本音を飲み込んだ。大人ってすぐに型にあてはめたがって、一人を見てくれないんだ。
「うん、ぜんぜん集中できなくて。それにまいにちつらくて、今日もお母さんにきついこと言っちゃった」
「なつき、前に言ってた男子のからかいもあるのじゃろう。自暴自棄になってもおかしくない。」
「さいきん、もう爆発しちゃいそうで、怖い」
「それで会いに来たのじゃな。なつき、すなおに言ってくれて、ありがとう。そして、がんばっててえらいぞ。」
「うん。でも来年いっぱいまで続くって・・・もうダメかも」
わたしはベッドに腰を下ろした。おばあちゃんの言葉を受け止めながらも、この苦しさがすぐになくなるなんて内心思っていなかった。せめて、少しだけ――1週間だけ、先に延ばせたら。そんなすがる思いだった。




