3話 逆風 (4)
6年生の夏が終わり、レオネスが最下位を確定させた翌日。
苦手な石川先生と、お母さんとの三者面談があった。
うちの周りは田んぼばっかりの田舎でのんびりしている。それでも、中学生になったら将来を考える時期、って先生は言っていた。
将来やりたいことは前はあったけど、それはお母さん、お父さんにも言ってないこと。
まこっちゃんのことを知っているから話してもいいけど、話したところで可哀そうな目を向けられるのはわかってる。そんなの誰も嬉しくないよ。
結局、面談では将来のことは何も考えていないと答えた。
「将来、やりたいことはまだ決まっていません。考えてみたけど、思いつかなくて」
「そうか。何か趣味や興味あることで仕事にしてみたいっていうのでもいいんだぞ」
石川先生は表情ひとつ変えずに言った。慣れてるなぁ、って思った。やっぱり、仕事として先生をやってる感じがする。
「・・・」
「なつき、あなた野球好きでしょ。何か夢はないの?」
ーー野球!
まるで刃物で切られたように胸が痛んだ。一番触れて欲しくない言葉だったのに、昨日あれほど言ったのに。
どうして、お母さんはわたしのこと、全然わかってくれないの?
反射的に、きつい言葉が口をついて出た。
「野球で夢なんてあるわけないでしょ!」
「なつき・・・」
親子のやり取りに石川先生はさほど取り乱さずに一つ咳ばらいをして、会話を繋げた。
「まぁまぁ、お母さん。まだ決まっていないお子さんも多いですよ。だから将来、なりたいお仕事を見つけたときのために、中学は勉強を頑張っていきましょう」
「はい・・・勉強、がんばります」
いつものように、表面だけの言葉を返した。




