3話 逆風 (2)
帰り道、からかわれた出来事が頭の中をぐるぐる回った。
今までは、こんなことなかった。去年までは、花音ちゃんもわたしもこんなひどいことをされてなかった。
じゃあ、なんで今・・・?もしかして、花音ちゃんが別クラスになったから、わたしが標的になったのかな、って。
幼稚園の頃からの親友、花音ちゃん。
友達も多くて、スマホも流行も、何でも詳しい。
だから、ずっと一緒にいたかった幼馴染。
だけど、なぜかスマホをもらった日、花音ちゃんをLINEにすぐ登録しなかった。なんとなくだった。何でなのか、自分でも理由がよく分からなかった。
でも、おばあちゃんの言葉が、それを説明してくれたのかもしれない。
――「いまは準備の時期なのじゃ。何をしても結果が出ず、苦しいと感じるのが普通。受け入れるしかないんじゃよ。」
――「がんばりが徐々に形となって現れて、新しいなつきに出会えるじゃろう。」
花音ちゃんに頼っていたら、わたしは甘えてダメなままだったのかもしれない。
新しい自分になるために、花音ちゃんは自然と離れていったのかもしれない。
でも・・・今日だって、目を閉じても、あの瞬間が頭から離れない。
はぁっと長いため息をついた。
「来年までだなんて、絶対無理だよ」そう心の中でつぶやいた。
おばあちゃん・・・本当に“受け入れるしかない”の?
夏希は立ち止まり、ランドセルに括りつけたスマホを両手で握った。だが、画面を見つめるだけで一度もタップすることはなかった。




