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花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜  作者: ソニエッタ
呪いの皇子と森の片隅のお花屋さん
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新たな問題発生2

ゼーレが魔力草を口にし、ほっとした様子で椅子に深く座り直したころ、隣に立つ皇太子アルデバランもまた、わずかに肩を落としていた。


 その様子をじっと見ていたオルガは、ぽん、と手を叩いた。


 


「えーとアリバ、違うなー。アルバラ?うーんと、えーと、お疲れ気味のそこの偉い人にはこれあげるよ。」


 


オルガが取り出したのは、小さな赤い実。指先にちょこんと乗るほどのサイズだが、ほんのりと甘い香りが漂っていた。


 


「これは……?」


 

「体力がちょっとだけ戻るやつ。たくさん動いて疲れたときにいいよ。」


 


アルデバランが目を細める。


オルガの皇太子に対して無礼ともとれる無邪気な口ぶりと、差し出された実の素朴な見た目に、少しだけ頬が緩んだ。


 

「……受け取っていいのか?」


 


「うん。倒れられたら困るしね。息子さんが大変だしパパは心配だよね。」


 


そう言ってにこにこと笑うオルガに、周囲の空気がふっと和らいだ。


アルデバランはほんのわずか、息を吐き出してから実を手に取る。


 


「ありがとう。助かる」


 


「うん、うん」


 


肩の力を少し抜いたその横顔を、ゼーレがちらと見やりながら、ぼそりとつぶやいた。


 


「……ただの花屋じゃないな、この娘」


 


 それにマッシモとルーカスが無言でうなずき、レオニダスだけが相変わらず難しい顔をしていた。

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