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第91話 炎龍神の覚醒





 ――数分後――



 お肉と野菜のコンビはラナの意向により、雁字搦めに拘束している。


 ロールキャベツのようになった二人に道案内をさせながら、私たちは学園へ戻る。

 すでにこの一帯はサーチしているから実は転移で一瞬なのだが……この二人に転移の異能を見せるメリットはない。


 しかし寒熱のレイの容態が分からない以上、チンタラしている暇も無い。

 私は異能を駆使して飛翔しラナを置いていく勢いで、僅か一分で学園へと舞い戻った。



「意外と近かった。ラナ?ついて来てる?」


「ゼェ、ゼェ......余裕、なんだから......」


「......噓つき雑魚ちゃん乙。」


「なっ!?あんたね......」



 からかいはしたけど、流石ラナ......絶対追いつけないと思ってたのに。

 時間が立ち少しづつ心が回復しているのか、普通に振舞う事ができるようになってきた......

 加えて“気を許せない他人が二人もいる”という状況が精神を引き締めてくれる。



「ム、ムーノ様ってラナ様にはこんなんなんですね......」


「お堅いイメージがあったので......意外です。」



 前言撤回!やっぱりまだ本調子とは程遠い。

 でも私の中身に関する情報を少しでも悟らせるわけにはいかない。



「よくしゃべる奴隷。肺を絞め潰されたいの?」



 ――私は二人を加重の異能でさらに押し潰して雑に誤魔化した。



「す、すいません......」


「ごめんなさい.....」


「相変わらず脳筋なんだから......」


「......」



 うん、何も言い返せない......

 そもそも今までそれで何とかなってきたし......しかたないじゃん?


 ――そんな言い訳は胸にしまい私は”ムーノ”を演じ続けた。






 ――――――――



 少し進むと、学園の外郭が視界に入る。


 学園に着いた私達は、最強だなんだと言われていたセキュリティを障子紙のように瞬殺。

 何事もなくあっさりと旧校舎の扉の前へ到達して見せた。


 ―そして扉の前でラナが口を開く。



「朔月。どう?まだ何か罠はありそう?」


「......私たちが扉の中に入った瞬間、レイの真下にある爆弾が爆発する仕掛けがされてる。」


「あんたの速度でも助けらんない?」


「......助けられると思うけど、あの学園長がそれを想定していないとは思えない。」



 ただの陳腐な爆弾での罠を、あの慎重な学園長が仕掛けるだろうか?

 私が来ることを想定していたなら、私でも間に合わないような罠があるのでは?


「どうかしらね?あたしの実力は全然測れてなかったし?案外バカだとは思うわよ?」


「そもそも......異能さえ封じられてなきゃ、”寒熱のレイ”が捕まるなんてありえない。」


「ならとにかく救出と異能封じからの解放......同時にやるしかないわよ。あたしが爆発より早く、レイを連れて外に出る。あんたはレイに刺さった異能封じの杭を解除しなさい!!」


「分かった。ラナがどんな速度でも杭は破壊できる。だから手抜きは禁止ね?」


「抜くわけないんだから!!」



 私の異能封じ兼、病毒の杭の破壊方法はシンプルだ。

 あらゆる物体を崩壊させる共振奥義”繊月”で斬りつけて崩壊させる。

 共振奥義が死の超怪異の力を凌駕できるのは”新月”ですでに実証済みだ。


 ――私たちは扉を挟むように立ち、拘束している二人を少し離れた場所に吊るしておく。

 向かい側に立つラナの表情は鋭く、確実に救出するために神経を一点に研ぎ澄ませている。


 だからこそ......



「ラナ。タイミングは任せる。」


「3.2.1で突入するわ。パターンα、」


「分かった。」


「いくわよ.......3、2!!」



 ......私たちはカウントダウンの1を言い終わる前日突撃した。


 掛け声パターンαは退怪術師が使う専門用語だ。

 相手にタイミングを悟らせないよう、1の掛け声ではなく2の掛け声で突入する。

 3.2.1で突撃するとあえて言葉にしたのも、セオリー通りだ。



「!? キューティーハ...」


「しゃ・べ・ん・な!!」



 案の定、扉を開けて突入した瞬間に爆弾は起爆......

 恐ろしいことに爆弾の中には無数の病毒菌入りの棘が仕込まれており、殺す気満々。

 私とラナでなければ、何をされたか認識する間もなく即死だろう。



「共振奥義・繊月!!」



 私はレイに刺さった杭へ共振奥義を叩き込み、異能封じを無効化しつつラナの周囲に気を配る。

 しかしそんな心配は不要だと訴えんばかりに、ラナは私より先に自身の誇るトップスピードで部屋の外へと飛び出した。



「あっぶないわね!!殺す気満々じゃない!!」


「なんで旧校舎ごと爆破しなかったんだろう......」


「言いたいことは分かるわ。朔月を想定してる割に規模がショボいんだから。」


「なんだろう......この違和感。」



 強烈な違和感を感じる......

 爆弾に込められた力の因子、それが明らかに学園長のものではない。

 そしてそれは死の超怪異の怪能とも少しだけ雰囲気が異なる。



「まぁ思ってるよりメギドが、バカだったがだけじゃないかしら?」



 ――しかし、私は尋常ではない異変を察知する。



「ラナ!......まだ来る!」


「こ、校舎が縮んで......なによこれ!」



 旧校舎周囲の空間は、地殻が砕けるような音と共に圧縮されていく。

 空間そのものへの干渉......それは凡そ、人間の理解しうる範疇を超えた力。


 人類はその日......人の及ばぬ絶対の理を二つ観測していた。


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 ついに”寒熱のレイ”の救出に成功した最強ダッグ!

 そして死を体験したラナは新たなる異能が発現し......


 次回.....もう一つの不穏な怪異の影が??


 面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!




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