第83話 最高傑作
……おい。テメェ、死ぬのか?
うっさいわね……絶対にぶっ飛ばしなさいよ。
たりめぇだ雑魚が! 舐めてんのかクソが! とっとと死ねや!
ちょっとあんた! 最後くらい優しい言葉はないわけ!?
あぁ!? あるわけねぇだろ、ぶち殺すぞ!!
もう瀕死なんですけど!? ……ほんっと、頭イカれてんだから!
……バカはテメェだ、このクソ雑魚が。
ハァ!? 雑魚って何よ……実力は拮抗してるんですけど!?
ここでくたばる雑魚のくせに吠えんな、ボケ!
くっ……絶対……絶対あたしは……#&%$#%&
*#&”%&$#*。..........
――確かに言葉だったはずの音が、次第に聞き慣れた響きから遠ざかっていく。
やがてそれは龍の唸り声のような重低音に変わり……静かに、ゆっくりと消えていった。
それが何だったのか、あたしには分からない。
ただ、確かにそれは――ひとつの"終わり"であったのだ。
―――“2038年8月1日 日曜日 13時37分”―――
次に意識が戻ったとき……
あたしは空から全てを俯瞰するような、不思議な視点で物を見ていた。
目の前に広がっていたのは、壮麗で荘厳な大聖堂のような空間。
中心には厳重に封印されたカプセルが設置され、その中で赤瞳の赤子が眠っている。
周囲には格式高い装束に身を包んだ大人たちが集まり、口々に祝辞を述べ合っていた。
その光景を見て、あたしは奇妙な既視感を覚える。……そう、あの赤ん坊。多分あれ.......あたしだ。
――すると、空間に高らかな声が響いた。
「まさに……最高傑作だ! 我がシュヴェルツマン家に、最強の人間が誕生した!!」
「当主様! おめでとうございます!」
「「おめでとうございます!!」」
「この子は有史以来、最強の人間となる。我々の教育プログラムと、この才能があれば、人類にかつての栄誉を取り戻すこともできるやもしれぬ!!」
……そうか、そうだったわね。
この時代の人類は、まだ“朔月のムーノ”という怪物を知らない。
人類最強どころか、後に“種の頂点”と呼ばれる存在が現れることも知らぬ時代。
今よりも世界人口は5億人も少なく、完全に衰退の一途を辿っていた人類は……紛れもない“弱小種族”だった。
だからこそ――彼らは、《《あたし程度》》にすら“人類再起”の夢を託したのだ。
「何としても怪異を撃滅し、我々人類が世界の実権を握る……!」
「そうだ……少し計画は狂ったが、我が一族の宿願が実現するかもしれぬ!」
「おぉ! では人類を異能と同化させることも……!」
「より強き怪異の細胞さえ手に入れば、不可能ではない!! この子には、それだけの力がある!」
「「「 パチパチパチパチ 」」」
......そして当主が突然向き直り、胸に左手を置き高らかに発する。
「人類に......栄光あれ。」
「「人類に、栄光あれ!!!」」
拍手喝采が巻き起こるその情景は、祝福というよりも……狂気そのものだった。
彼らが掲げていたのは――異能を単なる能力ではなく、“人間の器官の一部”として制御・強化する思想。
つまり、異能そのものを改造し、人体に組み込み、進化を促す技術の開発だ。
そして、その実験を完成させるための最後のピース――それが、あたしだった。
けれど結局、あの当主は何も成し遂げられず、何もあたしに伝えないまま死んだ。
一体、どこへ向かおうとしていたのか。
分かり合うこともないままに――。
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
信じられないくらい忙しく、かなり更新が遅くなりました!!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
遂に突入する第4章!!
始まりは死の縁で垣間見る彼女の過去の記憶.......
千斬のラナは劣悪な環境の中で、自らの美学や思想を形作っていく。
次回......彼女の壮絶な幼少期が少しづつ明らかに?
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