第79話 ”死々怪々―病渦毒屍大行群”
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「人に生まれたことが残念でならぬ。死ぬがよい……」
死の超怪異がそうそう発した瞬間.......
ただの一本でラナの命を奪った黒死の楔は、不快な金切り音を立てた黒い津波となり私に襲いかかった。
「壊れ、砕け……崩れて死せよ。」
人間であれば、ほんのわずか触れただけで即死しかねない代物だ。
しかし実のところ真の恐ろしさは物量ではない.......ラナさえ反応が遅れたその圧倒的な速度にある。
しかもこの空間は、病原菌やウイルスに満ち溢れ、生者を拒む瘴気に支配されている。でもおかげでラナが殺された構図は何となく分かった。おそらくラナはこの楔攻撃に加え、病原体の感染によって五感を鈍らされたのだ。
――しかし、私にとっては......
「……届くと思ってんの?」
「なに?」
私は瞬時に膨大な異能のオーラを放出した。
凄まじい圧力が周囲を震わせ、大地が亀裂を走らせ、周辺の人工物は砂のように粉々に砕け散る。
「“共振奥義・新月”」
「バカな……死が届かぬだと?」
私の周囲は漆黒の新月に包まれ、あらゆる外界を完全に遮断した。
この奥義は運命だろうが死だろうが触れるもの全てを闇へと還す、『繊月』と並ぶ最強の奥義だ。
新月を纏い敵に接近すれば絶対の矛となり――
動かずその場に留まれば、全ての攻撃を無効化する絶対の盾ともなる、攻守一体の完全奥義。
「これはね。あんたらが崇めてる神にさえ届いた技。超怪異ごときに崩せるわけないでしょ!」
「神に……届いただと!? 我らが神は! 万全とは程遠い状態で受肉なされた!! 図に乗るでない!」
「そう? なら精々無能な上司の代わりに頑張ることね?」
「貴様……我らが神を愚弄するか! 必滅の理の中で死するがよい!!」
先ほどよりもさらに速く、さらに巨大な黒い津波が押し寄せる。
しかし私が展開した新月は、押し寄せる死の波を容易く消滅させ微塵の揺らぎさえ見せていない。
――それどころか、新月に触れる”死”さえ飲み込んでいる。
「もう満足した? あんたに私は倒せない。」
「……まさかこれほどとは。怪能最終錬化前とはいえ……我が、たかが人間如きに遅れを取るか……」
「神でも勝てない私に……あんたごときが勝てるわけないでしょ(笑)」
「無知!傲慢!そして不敬の極み!! 我らが神が完全であれば貴様など!!」
「もういい……いたぶって殺してやろうと思ったけど限界!!」
絶対に許さない......ズタズタに切り刻んで殺してやる。
ラナを殺したことも、人類に戦争を仕掛けたことも全て後悔させてやる。
怪異は皆殺しだ.......神だろうが皇帝だろうが、黙示録の伝説だろうがこの私が全て破壊してやる!
――しかしそう決意を固めた時、突然死の津波が消えた.......
「これは温存しておきたかったのだが……仕方あるまい!」
「……?」
.......超怪異は複数ある腕を広げ、崇めるように祈り出す。
「死の胞子は風に舞い、腐爛の種は血に芽吹く。
悠久より病を撒きし喰命の代行者、ここに群れとなりて天地を蝕まん。
哭け、呻け、崩れて堕ちよ……
封束の果てて尚、蠢き止めぬ忘却されし祖師の食残。
祖師に倣い、あまねく輪廻を拒絶した果てに再び穢れを放たれり……
――|死々怪々・病渦毒屍大行群――」
「なっ!?」
直後......死の超怪異から夥しい屍の群れが溢れ出した。
――夥しい量の微生物に埋め尽くされた屍の大軍。
そこには現代では凡そ見たことのない生物の影も垣間見える。
死の大怪異から溢れる骸の群.......それは古今東西あらゆる生物の死の記憶。
あらゆる生命......それは”生きる”という業を背負った全ての終着点と言わんばかりに。
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
駆けつけた最強、そこに待ち受けていたのは”超”怪異.......
迫り狂う””死””さえも圧倒的な力で粉砕する彼女に迫る死の大行軍、揺蕩う月は揺らぐのか?
次回......最強術士VS四大超怪異、次回いよいよ決着!!
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