表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/94

第77話 神への供物”人外”

――――




 焔の猛威と空間を断つ斬撃を合わせて、あたしは相反する二つの現象を融合させる。

 人間としての身体の境界線を曖昧にし、自身の存在を肉体という器ではなく異能で縛る。



「異能融合……『断絶ノ炎龍神』」


【……愚かと言った。】


「あんたはここで倒す……その『死』ごとズタズタに切り刻む!!」


【死は必定の定め。触れること、消す事も逃れること……忘れる事さえ叶わぬ。】



 凄まじい死の気配だわ.......全身の細胞が悲鳴を上げている。

 さらなる覚醒で人類の限界を突破したのに、それでも私の本能は””まだ勝てない””と告げている。


 それでも、ここで引くなんてできない。

 私は絶対に生きて朔月の隣に並んで見せる.......出し惜しみはできない!!



「融合奥義......龍炎・裂月塊刃!!」



 私は赤黒い刃の波動をタナトスに向かって放出した。



【等しく我が前に屈するがよい。】



 しかし死の大怪異がそう告げた直後、私の放った刃は黒い泥のように溶けて消えた。



「異能が......消された?」


【余は死の大怪異。万物に死をもたらす、この世の終わりの化身なり。】


「なら......相殺しきれないくらい叩き込むまでの話よ!!」


【見せてみよ。我らが神に弓を弾く、愚かな猿の子よ。】



 最強の防御とは何だろう.......?朔月に勝つにはどうすればいいんだろう?

 私はずっと考えていた。空間断絶の新たな可能性、新たなる解釈を……。


 空間断絶は、あらゆる存在を切り裂くことのできる最強の異能。

 当たりさえすれば、朔月だろうが怪異の神だろうが届き得る可能性がある異能。


 そしてその確率は、さっき死の大怪異が空間断絶を防いだことでさらに上昇した。

 何らかの術で防いだという事は.......四大超怪異であっても、直撃させればダメージを与えられるということ!



「やってやるわよ! はぁぁぁぁぁぁ!!」


【ほう? 月神以外にもこれほどの力を持つ存在がいたか。】


「焼き尽くして、細切れにして、更にそれをすり潰してあげる……肉片一つだって残してあげないんだから!!」



 灼熱の咆哮、熱放射、炎龍の爪刃.......そして大空を縦横無尽に駆け巡る龍翼の機動力。

 それを、死角なく!絶え間なく!降り注ぐ豪雨のように一点集中させる!


 持てるすべてを一息で重ねて......

 それをより自然に、それ自体が一つの生命活動であったかのように融合させる――!



「融合奥義:終ノ斬式......崩月!!」


【死するがよい。】


「甘いわよ!!」


【……ぬ?攻撃が死なぬ? いや……死した端から新たな斬撃を生み出しておるのか。】



 空間の至る所を起点に降り注ぐ、不可視の刃の雨.......

 目にも止まらぬ速さで空間を自在に飛び回り、灼熱の業火を浴びせ続ける炎龍の軌跡.......


 それはまるで、どれだけ死のうとも新たな命を繋ぎ続ける生命の歴史――。

 炎龍の翼で飛翔するラナと、青白い巨馬に乗り駆け回る怪異の軌跡は.......空間に禍々しい赤と紫の模様を刻み込んだ。



「これはあんたが死ぬまで止まんないんだから! 死の大怪異が死ぬなんて前代未聞ね!!」


【よくぞ......よくぞ.......人の身でここまで。 認めよう、貴様は強い。】


「いまさら命乞いしても、助けてあげないんだから!!」



 押してるわ……。数分前まで圧倒されていた敵を押している!

 勝てる、このまま押し切れば勝てるわ!あいつは僅かに異能を殺す速度が遅れてる!

 まだ何か切り札があるだろうけど、それを使わせる前に仕留めてやるんだから!!


 もっともっともっと――私は強くなってやる!

 朔月……絶対あんたのこと、一人になんてさせてあげない!!



【人外へと至るか.......貴様は我が神の供物に相応しい。】


「笑わせんじゃないわよ! あんたこそ人類繁栄の礎になりなさい!!」


【貴様はここで死した。これは逃れられぬ定めであった。】


「何言ってんの? そういう、のは.......あたしを、倒して.......言いなさい......」



 ……違和感。

 微かな、しかし致命的な違和感――。



【その必要はない.......もう終わった。】


「は? 何、言って……?」



 ――待って......なんで視界が逆さになってるの?


 .......どうして私は地面に向かって落ちてるの?


 手足の感覚がない......胸が焼けるように熱い。

 顔も熱い。凄く苦しいし視界がどんどん狭まっていく……。


 一体、何が起こったの?

 嘘でしょ……そんなはずは――。



【人は怪異には勝てぬ。】


「……ぇ?」


【叶わぬ夢に酔いしれたまま、人としての生を終えよ。】



 視界が消えゆくさなか中、ようやく自分の状態に気づいた。


 四肢は完全に失われている。

 残った体の至るところに、レイと同じ黒い棘が深々と突き刺さっていた。


 でも、レイの時とは違う。

 私の心臓には、致命的な黒い棘が貫通している......。




 ――こんなところで死ぬの?何も果たせないまま?


 ――朔月を超えることもできず......人としての誇りさえ証明できず、一人で惨めに死んでいくの?


 ――サクラ……あんた、こんな虚しくて冷たい終わりを何百回も味わったの?







 ――抗えない死の中......最後に彼女は見た。


 ――絶望と憤怒に顔を歪める戦友の姿を......



 ―――2053年9月14日、日本時間 午前5時31分 

 FCT序列2位””千斬のラナ””心臓外傷よる心肺停止により死亡。


 .......時を同じくして同時刻、””朔月のムーノ””……現着。




 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!

 

 主人公のような覚醒を見せ、死の超怪異と交戦したラナ.......

 しかし......それは人はおろか地球生命では逆らう事のできない、死の権化だった。


 次回......朔月のムーノVS死の超怪異タナトス。開幕!!


 面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ