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第70話 ”存在改変”の起動条件





「彼女の異能が“熾天使の戦装”という超強力な異能で……それを、装備所有者である私が異能共振も含めて使えます。」


「え……?」


「あと、彼女の異能以外の技能も……色々使えます。」


「はい……?」



 死んだ人の異能を……そのまま受け継ぎ、使用できる?これは革命どころの話じゃない。


 もしこの事実が世に広まれば、世界中が彼女を手に入れようと躍起になるだろう。

 そして――もし怪異にこの異能の存在がバレたら?

 間違いなく、怪異たちは何を置いても彼女を最優先で殺しにかかる。


 彼女が戦場に出れば、怪異は即座に彼女を最優先の排除対象とするはず。

 何故なら、この異能があれば人類の損失が"武器"へと変換される。

 彼女が存在する限り、術士は死してなお怪異と戦い続けることができるのだから。



「それだけじゃないんです。このペンダントには他にも、身体能力の向上とか異能の偽装能力とか……強力な能力がいくつも付いてるんです。だから今まで、本当の異能を隠し通せたんです。」


「もしかして今のあなたは……怪異の怪装・異装も自分の異能として扱えるの?」


「それができたら......今頃このクラスで一位だったかもです。死んだ後に武器錬成すると、作れる武器性能が大幅に下がるんです。それに、錬成される装備種もランダムなので扱いきれなくて……」


「じゃあ、使わない武器は異界庭園の亜空間に放り込んでるってこと?奇跡的な組み合わせをもって生まれたね?」


「亜空間とはいっても、そんなに広くないので……庭園というより、ゴミ捨て場になってます……」


「でしょうね……話から察するに、相当な数あるみたいだし。」



 もしこの異能が死んだ怪異からも異能を抽出できれば、彼女はラナを抑えて世界二位の退怪術士になっていただろう。

 それどころか、人類の戦力バランスを根底から覆す存在になりかねない。


 この異能は、戦闘力そのものではなく"戦場の法則"を変える力を持っている。

 退怪術士の力を死後も継続させる、という事実だけでも十分に規格外だ。


 異能単体の性能でいえば、私の持つどの異能よりも優れている可能性すらある。

 この子の力は、私が知る数多の異能の中でも間違いなくトップクラス……いや、下手をすれば "最強" かも。



「でも生きている命を武器に錬成するには、かなり複雑な条件があるんです……」


「今、完全鑑定で見させてもらった。……なるほど、これは条件を達成できる相手が相当限られてくる異能。」


「そうなんです……この条件をクリアしないと、死体と無機物しか錬成できなくて……一部の植物は大丈夫なんですけど……」


「やっぱり、そう上手い話はないってことか……」



 彼女の異能で "生きた存在" を錬成するためには、いくつもの厳格な条件をクリアしなければならない。


 1.錬成対象が瀕死の状態、または死後5分以内であること

 2.錬成対象の外的圧力を加味しない"心からの同意"、及びそれに準ずる好意を得ること

 3.錬成対象と装備者の間に"絆と愛"があること

 4.セラフィア(彼女)が、錬成対象と装備者の双方の本名と顔を知っていること


 この四つの条件を全て満たさなければ、異能の"存在改変"は発動しない。

 もし一つでも欠けてしまえば、異能は単なる"武器錬成"として機能し、ランダムな性能の装備を生成するに留まる。


 それでも――この異能は、十分に "最強クラス" ではあるのだが。



「理論上、装備者が私でなくても大丈夫なので。条件さえ満たせれば......死して尚、大切な人を守れるかもです。」


「死してなお......守る......」


「もちろんその人たちを私が知らないとアウトですけど......」


「......それでも凄まじい異能だからね?」



 その瞬間......私の脳裏に思い出されたのはおじいちゃんの話だった。

 おじいちゃんの奥さんの異能はおじいちゃんに受け継がれている......

 もしかしたらおじいちゃんの奥さんには、隠れたもう一つの異能があったのかもしれない。



「そ、そんなことよ!私内気ですし......バックアップくらいしかできないです......」


「......自分の価値、分かってない?」


「い、一見強そうに見えるけど全然です!結局......この異能だって私じゃなくて彼女が持ってても同じですし......」


「でも不味いかも......」



 この子をこんな場所に置いておくのは危険すぎる......

 何としてでもここから出して私、もしくはラナに保護してもらう必要がある。


 それともまさか.......この学園に侵入している怪異は、このことに気付いている?

 その可能性は十分に考えられる。ならば私の取るべき行動は一つ......



「ムーノ様?」


「今から、この学園を出るまで私と行動して? ここの責任者には適当に話をつけておくから……」


「学園を……出る?」


「理由は話せないけど、この学園は危険なの。私とラナがただ臨時講師をしに来ると思う?」


「……!?」


「ひとまず、そういうことでよろしく。それと......絶対に異能のことも、それ以外のことも誰にも他言無用でね?」


「は、はい!」



 すると戦闘の大きな音を聞きつけたのか、先ほど運転手をしていた教師が現れた。

 この会話は異能で完全に遮断していたので、外には漏れていないはずだ。



「これはこれは……まさかSSクラスの生徒たちをここまで圧倒するとは。流石に"世界最強"の名は伊達ではありませんな?」


「正直、目も当てられないくらい弱いけど、才能は認める。甘やかさずにちゃんと指導すれば、もしかするとナンバーズになれるかもね?」


「お褒めの言葉をいただきありがとうございます。ご指摘いただいた点も考慮して、これから改善に努めてまいりたいと思います。」


「それはそうと......お願いがあるの。この学校の責任者、および権限がある人に会わせてくんない?」



 すると教師は一瞬、驚いた表情を浮かべた。

 私は念のため 《完全看破》 を発動し、教師の内心を探る。

 だが、天使ちゃんに関する認識は "SSクラス9位の生徒" というものでしかなかった。


 この異能は、相手の本質を暴く強力な力だ。

 しかし以前の戦闘で"怪異の神"に通用しなかった前例から油断は禁物だ。

 その経験がある以上、この教師が本当に何も知らないのか、それとも隠しているのかは断定できない。



「元より、学園長もご挨拶を、と申しておりましたので問題はありませんが……何かお話でも?」


「そうだけど? とにかく早く繋いでほしい。それと、この子も同伴させるからよろしく。」


「か、彼女をですか? 流石にそれは……」


「この子についての話なの。」


「しょ、承知いたしました。少々お待ちください。」



 こういう場面で「後で~」と言って目を離すと、たいてい碌なことにならない。

 気がつけば攫われていた、なんて王道の展開が待っているのがオチだ。


 だが、私はそんな"お決まり"には従わない。私が肌身離さず連れまわせば、たとえ怪異の神が現れたとしても対処できる。

 テンプレートだろうがフラグだろうが粉々に破壊して、最優先で この子の安全を確保する!


 ――教師は短く誰かと通話した後、改めてこちらを向いた。



「ご許可がおりました。それでは、ご案内いたします。」


「話が早くて助かる。……コソ、絶対に私から離れないでね。」



 天使ちゃんは小さくコクコクと頷き、私の腕にぎゅっとしがみ付いた。

 そして私は彼女を連れ、再び教師が乗ってきた自動車へと乗り込んだ。


 ――しかしこの時の私は分かっていなかった......この学園がどれだけ危険な場所なのかを。



 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 存在改変・武器錬成......それは条件はあれど存在そのものを書き換える最強の異能。

 その価値に気が付いたムーノは最優先でセラフィアの保護に......?

 『輝冠摂理の神生譚』のネオンの御業を超えうる異能の今後の活躍とは??


 次回......ついに学園の学園長が姿を現す?ラナとセラフィアも対面??


 面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!




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