表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/95

第60話 自死の桜花




 おじいちゃんの見舞いを終えた私は、自分の弱さに打ちのめされていた。

 心の中で渦巻くのは、どうしようもない自己嫌悪。

 矛盾している自分が気持ち悪い......ムーノじゃない時の希守月乃に、価値なんてない。


 そんなことを考えていると、目の前にサクラの姿があった。



「月乃ちゃん!! 良かった! 生きてた……本当に良かったよ……」


「サクラ……」


「何かあったの? 辛そうな顔してる……私で良ければ話聞くよ?」


「これ以上……サクラに甘える訳にはいかないの。」


「えぇ? いつでも甘えていいんだよ~?」



 ダメ……。

 そんな優しい言葉を、今の私に掛けないで……。

 絶対に言っちゃいけない言葉が、喉の奥からせり上がってくる……。



「もう……もう私に構わないで!!」


「ちょっ、どうしたの?」


「うるさい! もうほっといて! 付きまとわないで!!」


「月乃ちゃん! 待って!!」



 私はサクラがギリギリ追いつけない速さで走り出した。


 ――最低だ……。


 何があっても私を助けようとしてくれるサクラに、最悪の形で八つ当たりしちゃった......

 こんな私に、生きてる価値なんてあるのだろうか?

 人類最強という力を除いた"希守月乃"という人間に、本当に何かの価値があるの?


 他の人……そう、ラナがこの力を持っていたら、一体どれだけの人間が救われていたんだろう。



「どうして私なの……他の人にこの力があれば……」



 初めて……

 私は自分が生まれ持った強さを後悔した。


 気づけば、私は小さな公園に辿り着いていた。

 時計を見ると、深夜1時を回っている。


 誰もいない。

 静かで、少し物寂しい空間。


 ......私は小さなベンチにうずくまり、静かに呟いた。



「なんか……疲れたな。」



 おじいちゃんが目を覚まして、ラナにも正体を明かして……

 張り詰めていた"ムーノ"としての気が抜けたのかもしれない。


 ......今の私は、希守月乃だ。

 毅然とした態度で世界に希望を振りまき、怪異の神と命懸けで戦った"ムーノ"じゃない。


 今までは、どんな怪異だって一人で圧倒できた。

 誰にも頼らず、誰にも正体を明かさず、それでもなお生まれ持った強さで圧倒的な結果を飾ってきた。

 自分の最強さに絶対的な自信を持っていたのだ......


 けれど怪異の神との戦いで、私は……"最強"という唯一の拠り所を失った。


 あの戦いが証明した。

 私は"地球最強"という自負以外、何も持っていなかったのだと。



「守れるのかな……誰も失わずに勝てるのかな……」


 そんな弱気な思考が、脳裏をよぎる。

 今まで必死に否定してきたけど……あの戦いたとえこちらが不利だったとはいえ、ルーク様がいなければサクラを失っていた。


 ──私は本来、怪異の神にサクラを奪われていたのだ。



「サクラが死んだら私……」


「月乃ちゃん! やっと見つけた!」


「え? どうしてここが……」


「月乃ちゃんの思考パターンを読めば大体わかるよ!」


「……ほっといてよ。もう、私に構わないでよ!」



 私、何を言ってるだろ......


 こんな夜中に追いかけてきてくれた親友に向かって。

 心配そうな瞳で見つめてくれるサクラに……どうしてこんな最低の罵声を……。



「何かあったの?」


「うるさい……サクラには関係ないでしょ!」


「……私のこと嫌い?」


「いつも鬱陶しいの!邪魔なの!!」



 ──あぁ……もう、死んじゃいたい……。


 こんな酷いこと、言いたくないのに。

 なのに、どうして言ってしまうんだろう……。


 すると、サクラは静かに返事した。



「そっか……」


「分かったらもうほっといて……消えて……」


「うん、大丈夫。」



 その無機質な声色に、私は嫌な予感がした。



 ──振り向いた瞬間、サクラは、自分の頸動脈にナイフを突きつけていた。




「サ、サクラ? 何やってるの……?」


「消えるから、大丈夫……」


「サクラ……違うの! さっきのは……」


「さよなら……」


「ダメェ!!」



 ――頭の中が、恐怖一色に染まった。

 私は正体を隠していることすら忘れ、サクラに向かって飛び込んでいた──。




 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 自己卑下の果てに遂にサクラに八つ当たりをすてしまう月乃......

 その先に見たのは何の躊躇もなく、喉にナイフを突き立てるサクラの姿だった。


 次回、サクラと月乃......二人の関係は如何に??


 面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ