第5話 人類最強の仕事
私は保健室に運ばれる前に目を覚ました……
しかし!もう今日は教室に帰りたくない!
無理無理無理!
あの空気の中に帰るのは無理!!
このままタヌキ寝入りならぬ、キツネ仮病?でも使って放課後まで乗り切ろう。
ーーーー保健室へヽ(*´∀`*)ノーーーー
そして保健室の布団は……寝心地が最っっ悪だ。
だが寝心地が悪いのなら、良くしてしまえばいいだけの話!!
布団の触感のこだわりは低反発メモリーフォーム!
どうせ『物質創造』の異能で何でも作り放題なのだから。
だが気をつけなければいけない最大の注意点がある。
それは……サクラだ。
彼女の性格的に必ず訪ねてくる。
その際に、どうやってキツネ仮病を続けるかが最重要案件に……
「先生!月乃ちゃんは大丈夫ですか!!」
うぇ!?早すぎない!?まだ一限の時間だよね?
まだ痛々しい独り言、脳内で始めたばっかりなんですけど!?
「月乃ちゃん……ごめんね。」
そしてサクラは顔を近づけくる。
オマケに寝ている私に抱きついてきた。
「月乃ちゃんは……私が守るから。絶対。」
サクラ!?私の凡乳に、そんな豊かで立派なものを押し付けないで!?
柔らかい触感でなんかこう......ムズムズするから!!!
「じゃあ……ね。早く元気になってね……」
そういうとサクラは、私の頬にキスをして去っていった。
「…………????」
私の脳内はまぁさにカオス……
まるで広い宇宙の中に投げ出されたような、浮遊感に襲われた。
結果、私は悶々としながら気絶のフリをし続けることになった……
授業とは、また違う意味での地獄の時間だった。
どうして人類最強がこんな事に!?
ーーー帰宅(´;ω;`)ーーー
さぁ学校が終わり、遂に帰宅してしまった。
普通の学生にとって、帰宅後は楽しくルンルンな時間なのだろうが……
私は学校が休憩であり、帰宅後が仕事なのだ。
学生達は「寮に住む」or「要塞都市内の安賃貸を借りる」このどちらか2つの選択肢が与えられる。
そして『人類最強』の私は当然『安い賃貸』……に住んでいる訳が無い!!
要塞都市内でも有数の高級マンション。
私はその最上階のペントハウスに住んでいる。
親が金持ち……という設定だ。
「ふぅ、自宅最高〜景色も壮観~。ルームサービスでも頼んじゃおっかなー。」
すると仕事用の通信端末から着信音が鳴り響く、学校の時は全て脳内に通信が来るようにしているからバレる心配はないが……
【ムーノ様。出動依頼です。怪異等級は『公爵級』。出現地域は地中海沿岸です。また現在3位の『千斬』が応戦中。】
地中海ぃぃぃ!?いやいや遠くない!?
ロンドンの次の日に、地中海まで連れてかれるの私!?
「分かった。チャーター便はもういい。置いてかれるし?自分の戦闘機で向かう。到着まで30分くらいだから、それまで持ち堪えて。」
【その旨、『千斬』にお伝えしておきます。】
とまぁ......こんな風にリラックスタイムなどいつも音速で終了するのだ。
「仕事仕事仕事仕事仕事仕事……でも命令に従うのは嫌いじゃない……何で?」
私はクローゼットを開ける。
一見なんの変哲もないクローゼットなのだが、ここが私の地下基地との通路になっているのだ。
「テレポート:ムーノ第1出動基地へ。」
私の地下基地は、特殊な方法でワープする以外にいく方法はない。
第1出動基地は地底約20kmの所に建造してあるのだ。
「今日もマグマが綺麗ですこと……」 ※皮肉です。
丸い重厚な窓の外には、ドロッドロのマグマが元気に流れている。
侵入されにくい場所に作ったのだが……最近ではやり過ぎたと後悔している。
私は立てかけられた紺色の装束に、ペラっとした穴のない緑と淡い紫の仮面を付ける。
部屋中、武器やらファイルやらでビッシリ埋め尽くされており、我ながら仕事熱心だと自画自賛もしておく。
「地中海方向の格納庫出口はっと……」
朔月専用戦闘機も地下に格納されている。
そしてこの地下基地は、数百の様々な場所に繋がっており、そこから出動できるよう作ってあるのだ。
しかしあくまで出口。
入口では無い。なので当然、侵入は不可能だ。
「エンジン起動。反重力システム正常。ステルスシールド作動確認。」
紺色に塗装した、近未来型の専用戦闘機は、我ながらカッコイイ……
普通の戦闘機に比べると極めて小ぶりだが、またそこがカワイイ!!
森の中に突如として蓋が開く。
そしてそこから戦闘機が現れるその姿は、自分で見ていても不可解だ。
前回はたまたまチャーター便を使っただけだ。
すぐに準備がある言われ、自宅に帰るより速いと思い使ったのだが......
到着に3時間もかかった上、置いてかれるというイジメを受けた。
「もう二度とチャータージェットは使わない!」
機体がフワリと浮き上がり、紫と緑のラインが期待に浮び上がる。
そしてボタンを押し高らかに叫ぶ。
「出撃!!」
こういうのを外でもやってしまうから、黒歴史ができるのかもしれないれない……
私は自分の行いを少し反省し、私は地中海へと向かった。