第1話 人類最強『朔月のムーノ』
――『要塞都市ロンドン』――
「はははは!!私は子爵の大怪異、キウカだ!貴様らは今日で終わりだ!!!」
「クソ……何て強さだ……」
「こんなのに勝てるわけ……力の規模が……」
「そうだ!!絶望しろ!!それが私の糧となり、この都市と飲み込む!!」
「市民の避難は......」
「周囲10キロは完了している.....だが、ここで止められなければ意味が.....」
退怪術士が目の前の化け物に絶望していた、その時......一本の通信が入る。
【援軍到着。国際連合、異能特務局『FCT』認定序列……1位。人類最強、朔月のムーノ様ご到着です。】
「ムーノ……様だって!?」
「助かった……人類最強がここに……」
突如として空が裂けるような轟音が響き渡る。
巨大な衝撃波がビッグベンを揺らし、その風圧で鐘が鳴り響く。
周囲の建物の窓ガラスが一斉に割れ、
あまりの風圧に他の退怪術士は、必死に地面にしがみ付いた。
「援軍か?ならばそやつもまとめて屠り去ってやろう!!」
遥か上空から、一人の少女が舞い降りる。
緑と紫の仮面で顔を隠し、紺色のマントと戦闘服に身を包む。
彼女こそ、人類最強の退怪術士【朔月のムーノ】
「なんで……ロンドン?明日学校なのに……」
「え?」
「ンン。何でもない。で?敵は?」
黒髪のボブヘアをたなびかせ、問いかける。
その髪はまるで絹糸のように滑らかで、毛先は一分の狂いもなく並行に揃えられている。
「え?め、目の前の……その怪異です!」
「……え?こんなのに私を呼んだの?」
「貴様……我を舐めているな?我は偉大なる純悪より、魔性を受け取った偉大なる王ぞ!!その辺の土塊と共にするな!!」
「そう……じゃ、偉大なる土塊さん。」
ムーノは、淡く輝く白銀の猟銃と、月の意匠が施された日本刀をその手に顕現させる。
その姿は圧倒的を超えもはや神秘的だ。
しかし、冷徹な眼差しは、強大な圧となり戦場の空気を一変させる。
「睡眠妨害罪。」
「は?」
その瞬間、ムーノは消えるように動き、次の瞬間には大怪異の前に立っていた。
彼女の動きは音速を超え、周囲の空気が激しく揺れる。
まるで瞬間移動したかのように見えたその動きに、大怪異は全く反応できていない。
ムーノの高速で刀を振り抜き、その一閃は音の壁を優に突き破っていた。
「貴様……我が体を……」
大怪異は口を開いたが、その声もまた切り裂かれる。
ムーノの猟銃から放たれた弾丸が、大怪異の肉片一つ一つに的確に命中し、ビームのような砲撃が次々と打ち込まれていく。
大怪異の肉片はまるで星屑のように空中で輝き、瞬く間に粉々に消えていった。
「ばか、な……せっかくオリから……出られ、」
大怪異キヨウカの意識は完全に途絶え、彼の体は完全に消滅した。
周囲の退怪術士たちは、ただ茫然とその光景を見守るしかなかった。
「凄い……爆撃でも歯が立たなかったのに……これをこんなあっさり……」
「彼女こそ人類最強の退怪術士……朔月のムーノだ……」
「そういうのいいから……早く帰りの戦闘機手配して……」
「「はっ!!承知いたしました。」」
「なんで……私を降ろした戦闘機帰ったの……イジメ?」
「……」
大怪異を倒した後で、勝利の喜びに包まれていた戦場は......
何とも言えない空気感で、締め括られるのだった。
どうもこんにちわ。G.なぎさです。
この度は私の新作「満輪因果の反逆譚」を読んでいただきありがとうございます!
1話は要塞都市ロンドンでのお話でした!
次の話は学園でのお話になります!
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