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第17話 『人間』の絶望






 ――サクラ&月乃サイド――





「舞桜・儚華武装。」


「......黒い桜?」



 私は何度も打ちのめされた......

 現実に何度も心を叩き壊された。


 一度目の人生......私の親友の月乃ちゃんは4級怪異に殺された。

 青等級の紋章を持っていたのにも関わらず......私は恐怖で委縮して動けなかったのだ。


 あぁ......あの時の私が心底憎い......そして私は誓った。


 もう誰も......誰も奪わせないと!!



「儚華武装・叛逆の黒花剣こっかけん


「......ほう?何かあるな??」



 しかし......そんな私の決意はゴミにもならなかった。

 弱い私の決意など所詮、世界からしたら幼児の妄想。


 この世の摂理の前では、私の努力や苦悩など意味がないのだ。


 そして2054年11月12日。

 ついに人類最後の砦、ヒマラヤの「FCT」本部は......押し寄せた君主級怪異によって壊滅した。


 その時の人類個体数.....僅か5000人。

 その5000人のうち......4998人がそこで命を落とした。


 そんな過去を思い出しつつ目の前の敵に向かい合う。



「黒花剣 一ノ情・未練」



 私は目の前の敵に黒い微風を放った。



「何だ?大層な技名の割に大したことはない......だがなんだ?この、気持ちは......」


「あぁ......そう......あなたにもあるのね。」


「何の話だ?」



 4998人が命を落とした......何でそんなに分かるかって?



 ......それは人類最後の一人が『私』だったから......



 私ともう一人残った者は......『人間』じゃなかった。

 人間のフリをしていただけの......ありえない【何か】



「黒花剣 弐ノ情・決意」



 次の攻撃は鈍重な落花......

 数枚の黒い桜の花弁が、敵の上空からゆらゆらと舞い落ちる。



「ふざけるな!!そんな鈍重な動きで当たるわけが!!」


「当たるんだよ。」



 一枚の花弁は怪異の体に突然触れる。



「ガァッ。だ、だかこれも効いておらぬ......何だ。何だこの重さは......体?」


「あなた決意をしたことないんだね......」



 そう......私はその【何か】に祝福を与えられた。

 新しい『固有能力』という力を......


 最後に残った人類である私に祝福を授けたのだ......

【何か】からすればきっと記念のつもりなのだろう。



「黒花剣 参ノ情・覚悟」



 次は桜の小枝が高速で怪異の体に突き刺さる。

 速度は所詮人が目で追える程度......しかし怪異は避けられない。



「ぐは......何だ......どんどんと攻撃力が上がって?いや違う......」


「サ、サクラ?」


「大丈夫だよ。月乃ちゃん大丈夫。こいつの攻撃は......暗記してるから。」



 速度も、パワーも……

 何なら敵の動きを目で追う事さえできないでいる。


 ........でも何も問題はない。こいつには何度も殺された。


 風を切る音の微妙な差で、何の攻撃が来るか全て分かる。

 もうこいつは私にとって......ミスしようとしてもできない相手なのだ。



「絶対......絶対に助ける。黒花剣 ̪肆ノ情・無力」



 次の攻撃は桜の緑葉が怪異の周りで停滞している。

 そして先ほど地面に落ちた、桜色の花弁が段々と茶色く変色していく。


 それど同時に怪異の肉体が少しだが崩れ始めた......



「わしが......わしが弱くなっている!?」


「私に深く刻まれた八つ感情。それを上回る激情を抱いたのない相手の力を強制的に奪う。黒い桜の花弁剣。」


「何故避けられん!!上回る激情だと!?一体どういう事だ!!」



 回帰を続ける内に変化した、後天的な「異能の進化」......

 黒い桜が舞う時......私の異能のランクは一時的に『漆黒』になる。



「強者は......いいよね?これはあなた達が持ちえない弱者の絶望......それを武器にする異能。それが『儚桜武装』。」


「何を言っている!何なのだ!!お前は何なのだ!!!」


「......誰よりも自分を呪った......『人間』だよ。」


「ゾワッ......サク......ラ?」


「黒花剣 伍ノ情・絶望」



 突如、桜の木が顕現し満開の桜に雪が積もる。

 その雪は怪異にも積もっており、その重み故か怪異は立つこともままならない。



「ば.....バカな!!こんな雪ごときで......」


「アハハ......重い?苦しい?それが『人間わたし』の絶望だよ?」



 あぁ......私は何て.....

 ......何て醜い顔をしているんだろう.......


 憎しみと怒りが顔に張り付いている。



「ぐぁぁぁぁ。力が......怪異としての力が抜けていく......」


「もう今のあなたにはこれで十分だね。舞桜・花吹雪。」


「キェェェェェェェエ。」



 聞きなれた断末魔だ。もう何度も聞いた。

 でも......何度聞いても心地がいい。


 そしてそんな醜い自分が心底嫌い......



「......ラナちゃんも倒したみたい。やっぱり私と違って天才だなぁ......」


「サク......ラ?」


「......月乃ちゃん。私のこと......こわ...」


「怖くない。ありがとう......」


「......うん!」



 しかし......私は感じてしまった。

 これまでの回帰で感じたことのない怪異の気配を......


 君主級を超える怪異の重圧を......






 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 第17話をここまで読んでくださりありがとうございます!


 明るい準ヒロインサクラの明るくない過去......

 サクラの見た『人類滅亡』の未来とは?


 そして祝福を与えた相手はまさかの「あの方」......


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!

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