ツンデレ女子と委員長(男)
ツンデレ女子と委員長の両片思いのお話です。
「えー、インチョーと席となり〜?」
面倒くさそうに、そして嫌な口調でそう言った私はインチョーに細い目を向けた。
朝、登校してくると教室は騒がしかった。
今日から席替だからだ。朝学校に着くと新しい自分の座席が黒板に書かれていた。そして、隣になったのは、なんとインチョーだった。
「そうだね。よろしく〜」
にっこりと笑ってそう言ったインチョー。インチョーは頭が良くて、見た目もスラッとしている。長いまつ毛と丸い瞳。髪型はマッシュセンターパートで、インチョーのくせにチャラそう。
でも、朝から今日の宿題を机に広げてやっている。やることはしっかりやる。そして、面白い。だから皆んなからの信頼も厚い。
「相変わらずマジメー……。マジウザイ……」
私は椅子に座りながら言った。
「あはは〜。まぁ、今日僕多分当てられるからやらないといけなくて」
私は席に座るとインチョーとは反対の方を向いて黙っていた。
……どうしよう??
──めっちゃ、うれしい〜〜〜ーー!!
今日もインチョーカッコいい!嬉しすぎて顔見れない。私の顔今絶対やばいよね??絶対ゆるゆるだよ。やばい。抑えられない。顔の緩み早く治れ〜!!
どうしよ?まだ朝だからそんなに崩れてないよね?髪の毛も大丈夫。もしもインチョーと隣だった時のことを考えて、少し気合い入れてきたっていうのは秘密だ、うん、ひみつ……!!
私はそーろっとインチョーの方を見る。
インチョー、真面目に宿題してる……。
横顔カッコいい。これ毎日拝めるのかー。嬉しい。やっぱりインチョー賢いもんなー。
てか、私インチョーにいきなり酷いこと言ったよね?『マジウザイ』とか言ってしまった……。なんでそういうこと言うの?私のバカ!!マジで私ウザイ!
私は体を震わせて後悔した。自分の頭をポカポカ叩いて、俯いていた。
そして、私はため息をついた。
……インチョーのおかげで、地元の子が一人もいない私がようやくこのクラスに馴染めた。私は地元から遠い高校に来たから。
クラス会とか、行事の後のオフ会とかずっと誘ってくれたし……。やっぱりインチョーって優しいんだよなー。
よし!せっかく隣になったんだし、もっとインチョーと仲良くなりたい!
……ここは、私の腕が試させる!!
「あのさ、インチョー。教科書忘れちゃったんだけど……」
よし!これはいける!教科書忘れたから、見せてあげるためには机をくっつけないといけない。これで、私とインチョーが話せる時間が作れる!
「見せてくれない?」
「あー、これ貸すよ。予備ね」
即答で返事をされ、ポンと机の上に置かれた教科書。私はそれをポカンと見つめた。
……え?予備?
そんなのアリー!?え?てか何?教科書の予備??何それ?教科書って一人一冊までじゃないの??
──くそ、失敗。こうなったら次の手を……!!
「ねね!インチョー。愛してるよゲームしない?」
私は上目遣いで言った。よし!この手も結構良いはず!これで私のことを見てくれる!これでインチョーのことも落とせるでしょ!
「あはは。なんで今?それに、もうすぐ授業だから、準備しようねー」
……だ、ダメだ。全く太刀打ちできない。どうしよ?これは本当にまずいぞ??あっさりとやられてしまった。
……全然イチャイチャ展開が起こらないんですけどー???怒
私は大きなため息をついた。私は涙ぐむ。
……どうしよ?このままじゃ仲良くなれないよ?私のことも全然見てくれないし、やっぱり私ってインチョーの眼中にすらないの……??
「……どうした?体調悪い?」
「え?」
インチョーが覗き込むようにして言ってきた。心配の目をして私をじっと見つめている。
インチョーは俯いてため息ばかりな私を心配してくれているようだ。
私の心は一気に晴れ上がった。雲一つなくなった。嬉しい!インチョーが私を見てくれた!
「べ、べつにーーー」
私は嬉しさを隠そうと平然を装うが、多分できていないだろう。それでも良い。今は、この嬉しさが私の心の中でいっぱいだから。
「そっか」
──やばい。こいつ、分かりやす過ぎるだろ!!めっちゃ可愛いじゃん!
てか、隣になれたの実はすごく嬉しい。僕は委員長として平然としているけど、やっぱり嬉しい。
僕は笑いを堪えるために窓の方を向いた。こんな顔見られたら本当にやばい。
教科書の予備渡した時の反応良かったなー。ちょっと悪いことしちゃったかな?
てか何?愛してるよゲームしよ?って笑。面白すぎて笑い堪えるの大変だったよ。でも、本当はしてみたい、めっちゃしたい。たぶん負けるな、僕。
もうちょっと反応見たいな。
「ねぇ。今日放課後どっか行こうか?」
僕がそう言うと、彼女は目をキラキラとさせて、にっこり笑顔で反応してきた。
「あー、クラスのみんなでね。行事終わりだし」
と、僕が付け足すと口を開けてポカンとした。ガーンと言う効果音が聞こえてきそうだ。
「やっぱり、二人で行く?」
僕が今度はそう言うと、また元気を取り戻していた。
「うーん、まぁ、仕方なく、行ってあげてもいいかな?」
彼女はそう言ってニコニコ笑っていた。
──最後にクラスのみんなからの一言。
ツンデレと委員長も分かりやすい……。
おしまい。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。評価よろしくお願いします。






