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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
94/309

94、忘却は幻日の様に

ジンは落ち込んだ表情で私に語り掛ける。


「まぁ、お前には嫌われている覚悟はしているが、ストレートに元の世界に帰らないの?って結構傷付くんだぜ。」

「ごめん。・・・後は、ジンの事は嫌いではないよ。」


私はジンの言葉に素直に謝ったのだが・・・気になる事があった。


「みんなは神様の事覚えてないの?」


ルークもレイも首を傾げている。


「何ですか?その神様って・・・」

「ん~分からないな~」


・・・もしかして、これが神殺しが使った魔法?の力なのだろう。

魔法なら、アレで無効化出来るかな。


私はレイピアを抜いて、地面に突き刺した。


「「「!!」」」

「みんな、大丈夫?」


やはり魔法の効果だったらしく、みんな違和感に気が付いた。


「すまない、ジェシカ。何か魔法を受けていたみたいだ。」

「ジェシカさん、ありがとうございます。」

「ジェシカ、助かったよ。」


ただ、“神様を認識出来なくなる。”という効果なのでそれがどんな・・・!!


「そうか、だから『神殺し』なのか!」

「・・・なんだ?その神殺しとは?」

「実は、かくかくしかじか・・・」


ジン達に魔王城での話を説明した。


「神様を認識できなくなるようにする魔法を使う黒龍か・・・そして、俺たちは・・・」


言葉が消えかかりそうなジンの背中を私はポンと叩く


「神殺しを倒しに行くんだよね。」

「・・・でも、良いのか?既に魔王軍との戦争もなくなって平和が来たというのに。これは無駄な戦いじゃないのか?」

「ジンにしては弱腰だね。神様も絶対ではないし、いずれは消えてしまうかもしれないけど・・・こんな形で消滅させるのは間違っているよ。」

「やっぱりユキに渡すのは勿体ないな・・・俺が欲しい言葉をくれる・・・」


ジンはそんな事を言うのだけど・・・


「ジン、それは違うよ。」

「ん?」

「アオイとアキラもジンに寄り添っているからこそ、ジンは二人を元の世界に返す為に頑張っているんでしょ?経験から言わせてもらうけど、大事な人は離したらダメだよ。」


「「!!」」


私の言葉にアオイとアキラは図星を突かれた様に驚いていた。


「まぁ・・・そうかもな。あと、魔王とどうやって決着つけるのかも考えなくてはな。元の世界に帰る為に魔王を倒すにしろ、魔王を倒さずこの世界に残るにしろ。」

「うん、その意気だね。」

「僕の事も忘れないで下さいよ。」


ここにルークが会話に入ってくる。

私とジンが話し続けていたからしびれを切らしたらしい。


「おいおい、ルーク・・・数少ない俺とジェシカとの会話の機会を奪うなよ。」

「あの、僕よりもジェシカさんとの会話多いのに何言っているんですか?僕もその神殺し討伐に一枚かませていただきますよ。」

「あと、私も忘れないでよね。相手が黒龍なら放っておくわけにもいかないから。」

「もちろん、忘れていないよ。レイ。」


みんなの意思は固まった。

神殺しを倒して、モニカときちんと決着をつける。


「ところで・・・モニカってどこにいるんだろう?」

「「「あ・・・」」」


私の言葉にみんなは唖然とした。


モニカは神殺しの上に乗って飛んでいった訳で・・・

昨日までなら魔王城という拠点があったから突撃すれば良かったんだけどね。


そう言えば、神殺しの外見からして目立つよね・・・

外見は黒龍だから目撃者がいるほど動きにくいはず。


あの外見を目立たなくするとすれば・・・


「みんな、ちょっと私に考えがあるんだけど。」


ーーー


場面は変わり・・・ここは魔王城研究室?

部屋には色々な器材があり研究室の様だが壁が肉感のあるもので覆われており、天井は魔法の光で照らされて明るくなっている。

そこには机が向かい合って置いてあり、モニカとウィルが座っている。

ウィルは何か拗ねた表情をしており、モニカと顔を合わせない様にしている。


「まだ拗ねておるのか?ウィルよ。」

「拗ねてなんかいませんよ・・・」

「まぁ、わっちの部下に花を持たせるつもりだったからの。お主にはジェシカが来る事は話していなかったのはすまんかったの。」

「だ、だから・・・俺はジェシカさんなんて・・・」


照れながらそっぽ向くウィルを微笑ましい表情で笑いながら


「ふふふっ、思春期の少年らしい反応じゃのう。あの時は素直になっておったではないか。」

「あの時?」

「魔法を暴発させた時じゃよ。上手く伝わってなかったみたいじゃが、さしずめ・・・ジェシカと一緒にいたいといった内容じゃろう?」

「!!」


ウィルはモニカが映像魔法で様子を見ていた事を思い出すと顔が真っ赤になる。


「お詫びと言っては何じゃが、お主には退屈しのぎにこれをやろう。これで気を紛らわすと良い。」


モニカは自分が座っている机の引き出しから、カプセルを取り出してウィルに渡す。


「・・・これは?」

「わっちの発明品の1つでな、ディザイアという名前じゃ。」

「只のカプセ・・・うわっ!?急に光り出した!?」


ウィルが掴んだカプセルは光を放ち、驚いたウィルはカプセルを放り投げた。

カプセルの光は大きくなり、次第に人の形をとる。


「これは・・・」

「なんじゃ、お主もノリノリじゃな。」


決着をつける為に神殺しとモニカを追う勇者達

そして、モニカとウィルはどこにいるのだろうか・・・


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

神殺しの放った魔法は神様を認識できなくなるものだった。

ジェシカはレイピアの効果で神殺しが使った魔法の効果を打ち消しました。

そして、勇者たちは神殺しの討伐とモニカとの決着を決意します。


設定補足:ディザイア

欲望を意味するアイテム。アイテムを発動させた本人の欲望に沿ってその形状が変化する。

モニカがスライムを原料にして作った遊び道具。

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